二人が恋人、と言う関係になってからもう随分経つと言うのに。
ー…まだ、ない!!!!!
『ラブラドール、今晩は私の部屋で寝ませんか?』
『いいよー。』
こんなやりとりは決して珍しくはなかった。
『おやすみ、カストル。』
そう言ってカストルの頬に軽くキスをする。
そして…
『…………すぅ』
秒速で寝てしまう。
寒いから、と言うせいもあるだろうが、ラブラドールは異常に寝付くのが早かった。
『くっ…今日、も……』
そして、毎回カストルはこうして一人がっくりとうなだれるのだった。
恋人になったら自然な流れだと思っていた事が、二人には全くないのだ。(キスだけはラブラドールにとって、恋人同士ならごく自然な行為らしいが)
男だから…とも思っていたが、ラブラドールには全くそういう雰囲気がないのだ。
その手の話題もあまり得意ではないらしく、よくフラウに話を振られると、とても困ったように頬を真紅に染めてカストルに助けを求める。
(まぁ、その様が可愛くもあるんですがー…)
こんなに可愛くて愛しい恋人を目の前にして、しかもこうして一緒に眠っていると言うのに何もないと言うのは、ふつうの、健全な男子にとっては生き地獄以外の何物でもなかった。
そして、いくら聖職者と言えど、カストルだってその健全な男子の内の一人にすぎない。
人並みの欲はあるのだ。
カストルの理性は、もう千切れそうになっていた。
『…ぅ、ん……』
そんなカストルの葛藤を余所に、隣ではラブラドールが無防備に愛らしい寝顔を晒し、しかもタイミング良く寝言まで漏らしている。
『ん……カストル……』
(さよなら健全なる聖職者の私!!!!!!!!)
『ラブ…』
そっと耳元で囁くように(一応)断ると(ラブラドールには絶対聞こえていないが)、カストルはラブラドールに軽く口付ける。
『ん…』
すると、寝ているがラブラドールは小さな声をあげ、微かに反応を示す。
その顔はまだ少し幼さが残り、しかしどこか妖艶で。
まるで誘われている様な感覚に陥る。
ますます歯止めが効かなくなる理性に従い、カストルはさらに深く口付けた。
『んぅ…、んっ…!?』
段々激しさを増す行為に、さすがのラブラドールも目を覚ます。
目の前にある大きな瞳はまだ少しとろんとしていて、それもまた妖艶に輝き、カストルを掻き立てる。
『カ、カストル…?』
寝ぼけているのか、ラブラドールはまだ状況が把握出来ていない様子だった。
『はぁ…、ラブ……ごめんなさい。…でも、』
『あっ…!』
静かな部屋に、ただ二人の吐息と淫らな水音だけが響いた。
『あなたと、ずっとこうしたかったんですー…』
『ふぁっ……カストル、やぁ…』
既に冴えている筈の頭さえぼーっとして、真っ白になりそうだ。
ラブラドールは未だこの状況を飲み込めない。
ただただ恥ずかしくて、頬は真っ赤に染まり、その上を涙が伝う。
それは、美しく。
それまでの激しいキスをやめ、そっと唇を離すと、二人の間を銀糸が結ぶ。
そしてカストルは優しくラブラドールの頬に手を触れた。
『…嫌でしたか?あなたが嫌がる事は無理にはしたくありません。』
『違うよっ…!!…嫌とかじゃないんだ。だけどっ…』
ラブラドールの瞳から溢れる涙は止まらない。
その涙が止まる様にと、カストルはそれを指で拭った。
『本当に恥ずかしくて……僕、どうしたらいいか分からなくて……カストルの望む様にはきっと出来ない…』
『そんなの…!私が望む事など、唯あなたと…愛する人と一つになる事だけです。』
『そっ、そうなの…??』
ぱぁっと、ラブラドールの表情が少し明るくなる。
『なんだ…僕はてっきり…』
『ラブ、一体どの様な事を想像していたのですか?!』
そう問うとまた少し紅くなり、
『それは僕の口からはとても………。フラウに無理矢理そうゆう話を聞かされた事があって。』
『あんのエロしきょ…、おっと、私とした事が!口が滑りました。』
『ふふっ…』
ラブラドールの涙はもう消えていた。
その代わりに柔らかく微笑むと、ちゅっ、と可愛いキスをした。
『僕も…、カストルとなら………』
『えっ…?』
『その、カストルの…、好きな様にして。』
俯きながらの肯定の言葉はなんとも可愛くて。
大切に、大切にしたいと思った。
『ラブ……』
『ん……』
ラブラドールの肩を抱き、ゆっくりと口付ける。
今度はちゃんと同意の上で。
『ふっ…ぅ………んっ…』
ラブラドールは周りを気にしてか、声を一生懸命押し殺していた。
『大丈夫です。皆、寝静まってますから。』
『でっ、でも誰か起きてたら…』
『それに、この部屋の壁、意外と厚くて防音効果があるんですよ…?』
今度は耳元で囁くように言う。
そのまま耳を甘噛みすると、ラブラドールはまた可愛らしく反応してくれた。
『ひゃぁッッ…?!』
普段は絶対に見る事の出来ない表情、声…
全部自分だけのモノ、と考えるだけでまたカストルは高ぶっていく。
『ぁ…、ちょっ…カストル待って…』
服の中に手を入れると、ラブラドールは待ったをかけてきた。
『何です…?私が気持ちよくしてあげますから♪』
『カストル何か楽しそうっ…!!』
『ええ、楽しいですよ』
にっこりと満面の笑みを浮かべて答えれば、当のラブラドールは膨れっ面。
『僕は余裕なんてちっともないのにっ……っぁ!』
『ふふ…ここが良いんですか…?』
『やめっ…言わないで…』
『同意の上、ですよね?』
『んっ…そ、そうだけどっ…///』
そんなやりとりをしてる間に、カストルの指はラブラドールの胸まで移動していた。
『恥ずかしがって……ふふ、でも体は素直なんですねぇ』
『ッッー…///!!!』
言葉で指で攻め立てられ、余りの恥ずかしさと快楽にラブラドールはもうおかしくなりそうになっていた。
『カストルっ………、意地悪だよ。何で…??』
懇願するようにカストルを見つめる。
その瞳からは、再び涙が溢れそうになっていた。
『さぁ…、何故でしょうね?』
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