『はぁ…』
ここのところ連日昼夜の仕事が続き、寝不足になっていまって集中力が散漫する。
目にも疲れがきたようだ。
私は眼鏡を外して目頭を押さえた。
Rose Bath Time
『カストルー…?』
丁度タイミング良く入ってきたラブラドールが心配そうにこちらを見ていた。
『大丈夫?疲れてるの??』
『ええ…、最近少し寝不足で。』
『ダメだよちゃんと寝なきゃ。あ、そうだ』
『はい?』
何かを思い出した様ににっこりと笑うと、ラブラドールはごそごそと持っていた籠を漁りだした。
『えっと……、はい、これ!』
そう言ってラブラドールに渡されたモノ。
『これは…薔薇、ですか…?』
それは薔薇の花びららしきモノがたくさん入った小瓶だった。
疲れた時にいつもラブがくれる花の砂糖漬けや、ハーブティーとは違い、食用ではなさそうだ。
『これはね、お風呂に入れるものなんだよ。』
『お風呂に…?』
『この薔薇の花びらをお風呂に浮かべるとね、疲労回復するし、香りでリラックスも出来るから。ちゃんと湯船に浸かると温まるしね。』
『…ありがとうございます。』
ラブの、こういう優しいところが好きだ。
いつも冷たい私の心を溶かす様に笑いかけてくれる。
じゃあね、とまたはにかんでラブラドールは去って行った。
『それじゃあ、早速今夜使ってみるとしましょう…』
ーコンコン。
…コンコン。
ノックを繰り返しても、部屋の主からの返答はない。
気配はある筈なのだが。
カチャ…
『はぁ〜い……』
諦めて帰ろうかと思い歩き出したその時、部屋の主・ラブラドールが今にも消え入りそうな声で、目を擦りながら出てきた。
どうやら寝ていたらしい。
『すみません、起こしてしまいましたね。』
『…ううん、寝ちゃってたの。いつの間にか。』
まだ寝ぼけているのか、ラブラドールはとろんとした目でこちらを見る。
『カストルどうしたの…?お風呂入った…??』
『いえ、まだです。』
『使い方解らなかった…?』
『いいえ。』
『どうしたの…??』
目覚めていないし、訳が分からない、と言った表情で首を傾けるラブラドール。
『…今からお風呂に入ろうと思いまして。』
そう言うと、にっこりと笑い、カストルは部屋の中に入ってきた。
『えっ、ちょ…、ここ僕の部屋だよ…??』
『ー…貴方と一緒にね。』
キラーン、とカストルの眼鏡が光った。(気がした)
『えっ、えぇ〜?!?!』
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