トトロパロな現世組コラボ
「すいか記念日」の和さまより、先日お贈りした挿し絵のお礼にとこちらで掲載しているトトロパロのSSを頂戴しました〜(´▽`*)
皆さまもどうぞお楽しみ下さいませ♪
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僕は、石田雨竜。
身体の弱い母さんの療養の為、この夏、都会から自然いっぱいの森の傍に引っ越して来たんだ。
ここにはね、都会にはない沢山の素敵なことがあるんだよ。
「…あ、いらっしゃい。」
古びた勉強机の向こうの窓から、ぴょこって顔を出した長い耳の白い生き物に、僕は声を掛け、窓を開ける。
その子はニコッと笑うと、ぴょんぴょんと飛び跳ねて僕の机にやってきた。
白い体に、長い耳。
でもウサギじゃないんだよ。
くりくりの目に、大きな花飾りを付けた胡桃色の髪。
僕の腕の中にすっぽりと入る大きさで、抱っこするとすごくふわふわしてる。
喋らないけど、何となく言いたいことは伝わるし、表情もくるくる変わってとっても可愛いんだ。
この生き物を僕は、トトロって呼んでる。
この森に住んでる、不思議な生き物。妖精かもしれないって、僕は思ってる。
で、この子はヒメトトロ。
トトロの中でいちばん小さくて、可愛い女の子だから。
「はい、あめ玉だよ。」
僕があめ玉を差し出せば、目をキラキラさせたヒメトトロが、ぱくんってあめ玉を頬張った。
ハムスターみたいにほっぺたをまん丸くして…「おいしい〜」って言ってるみたいだ。
「可愛いなぁ…。」
僕が幸せそうなヒメトトロを頬杖をつきながら眺めていると。
突然外から窓に突っ込んできたオレンジ色の塊が、床に激突した。
「うわっ!また来た!」
そいつはむくっと起きあがると、ヒメトトロをちらりと見た後、僕を睨みつけてきた。
こいつはイチゴトトロ。
ヒメトトロよりちょっと大きくて、全身オレンジ色で鋭い目つきで。
まるで小さなライオンみたいだ。
本当はオレンジトトロなんだろうけど、あえてひねってイチゴにしてやった。
だって、ヒメトトロと違って、コイツは乱暴ですぐ僕とケンカするんだ。
っていうか、イチゴトトロはヒメトトロが大好きで、僕にヒメトトロをとられちゃうのが嫌らしい。
あ、ヒメトトロにイチゴトトロが何か言ってる。
多分、「勝手にどっかいっちゃダメだろ?」とか説教してるんだな…。すごい過保護だ。
…そのとき。
グオォッ…って飛行機が着陸する様な音がして、今度は窓の向こうに見える家の庭に、ズンッ…て何かが降りてきた。
それは、象ほどもある大きな大きなトトロ。
茶色くて、どっしりとしたそのトトロを、僕は「チャドトトロ」って呼んでる。
チャドトトロは音楽が大好きで、月夜の晩によく森でギターを弾いているんだ。
窓からヒメトトロがぴょこって顔を出せば、チャドトトロはこちらを見て、「ム…」と鳴いた。
多分、ヒメトトロとイチゴトトロを探しに来たんだな。
そうして今日も始まる、僕とトトロ達の時間。
でも、これは大人には秘密なんだ。
その日の夕食の時間。
母さんが、不思議そうに僕を見つめて言った。
「ねぇ…雨竜。あなた、はちみつ知らない?一瓶全部、空になっちゃってたの。」
…多分、ヒメトトロだ…。甘いもの大好きだから、全部食べちゃったんだ…。
それを聞いた父さんも、思い出した様に呟く。
「そうだ雨竜、診療所の道具もぐちゃぐちゃに荒らされていてな。」
…それはイチゴトトロだよ。僕を攻撃する武器の代わりに、聴診器を振り回してたから。
「あと、庭に大きなくぼみができてたのよ。まるで爆弾でも落ちた様な…。」
…それは爆弾じゃなくてチャドトトロだよ、母さん…。
「…僕は何にも知らないよ…?」
ご飯を食べながら、僕はそう嘘をついたけど。
トトロ達も、もう少しバレない様に上手に遊びに来てほしいなぁ…。
…あ、また森の方からギターが聞こえる。
きっと今頃、チャドトトロのギターに合わせて、ヒメトトロとイチゴトトロが歌っているんだろうな…。
これは、秘密。
この夏、僕に訪れた…不思議な出会い。
「ほら、井上。あめ玉食うか?」
「わっ!ありがとー、黒崎くん!」
「待てよ、今包み紙むいてやるから…ほれ。」
「あーん…ふぉいひ〜っ!…ねぇ茶渡くん、ギター上手だね!私、その曲好きだなぁ。」
「ム…そうか?」
…何故だろう。
僕はこの光景に見覚えが…。
終わり。
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和さま、コナンパロに続き素敵で可愛いお話をありがとうございましたv
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