痴話喧嘩ブルース




執務室って知ってる?
ボスとか社長とか偉い人が仕事をするところだよ。
そこで部下が静かにするのは当たり前。
ボスの断り無しにしゃべっちゃいけないんだ。

「…沢田…なんでここにこいつがいるわけ?」

ドスを利かせた声なんて以っての外。しかも部下と言う名目、役職の人なんか特にだよ。ボスが驚いちゃうしね。切り捨てごめん。な状態になっても文句は言えないんだよ。

「…ツナ…今日の商談はリボーンが来るはずだったろ…」

相手方にもそれは適応されるんじゃないかと俺は思うよ。まぁあちらの方が俺より上位な方なら仕方ないかな、とは思うんだけどさ、自分的に気をきかせたつもりだったし、何よりこう意味の解らない殺気を向けられるのはごめん被りたいわけで…つか彼は立場上俺のファミリーの傘下の組織のボスであって(もちろん俺はこの人を兄弟子として慕っているけど)日頃のプライベートは別として、こう言う正式なビジネスな場面では形式上…見た目だけでも上座、下座は守るべきだと思うわけ。そこは日本人としてさ。(ここにいる6人中日本人は2人だけだけどね!)

「あ…あの雲雀さん?ディーノさん?」

もう一度言うよ。ここは執務室。ボスが仕事する場所で、絶対権力者はボスであるこの俺。
商談の場では決して声を荒げるべきではないし、殺気を見せるべきところでもない。
なのになんでこの人らはそりゃもう風もないのに髪が逆立つくらい殺気全開で、手には仕込みトンファーと愛用の鞭なんてファイティングOKですボスみたいな感じなの。意味がわからない。俺何しましたっけ?本当身に覚えがないんですけど!

「ゔぉ゙ぉい。何してんだぁてめーらぁ!さっさと終わらせんじゃなかったのかぁ?」

ああぁ…!!ちょっスクアーロ!なんて余計なことを!ザンザス!!そのとーりだみたいな顔してないで止めてよ横の人を!さっ殺気の質量が上がった気がするんだけど!
よ…よし俺…まずお茶を飲もう。そして落ち着こう。あーカップ持つ手が震える〜。
「ねえ沢田…僕はなんでこいつがここにいるのか聞いてるんだけど…」
何暢気にお茶すすってんの?
そう言って笑う元最強風紀委員長雲雀恭弥様。その眼光の鋭さはあの頃のまま…むしろそれ以上に鋭く鋭利で…恐ろしい…限りです。
「…今日の商談相手はキャッバローネだと言ったはずですが…」
すごいね俺。よくこんな落ち着いた声出せるよまったく。さすが泣く子も黙る…どっちかってゆうと益々泣きながら擦り寄ってくることの方が多いけど…。スラムの子供達のヒーロー…サッカーボールとか投げられるけど。まぁさすが。混乱は外に出さないこと!あの家庭教師が口をすっぱくして言ってたことだ。守れてる俺えらくない?あわや片方はボンゴレ幹部一残酷な男と評価され、もう一方は敵には容赦しないボスの大塔と謳われるヘタレボス。その二人から謂れのない殺気を送られてるにも関わらず、ナイス冷静。ナイス沈着。
10年前のリボーンがいたら拍手喝采だよ。
「もちろん聞いたよ。でも来客リストの中にこいつの名前はなかったと思うんだけど。」
「時間の余裕が出来てディーノさんも来られる様になっただけです。商談の確認だけですけどディーノさんがいてくれるに越したことはありませんから…。」
「…そう…」
おもむろに腕を下げる雲雀さん。
「…悪いけど僕は帰らせて貰うよ。こいつの半径10M以内にはいたくないんだ。」
「えぇ…!」
「おい雲雀!」
「…そこの彼と飲みに行ったでしょう?僕が家にいることしってて…」
「…行ったけどそれが?」
「………呆れてものが言えない…ザンザス。」
「ちゃんとスクアーロのたずな握っておいてよね。でないとこの種馬がスクアーロに盛っちゃうかもしれない。」
「だ…だったら言うけどな恭弥!お前だってこの前山本と飲みにいっただろ!俺が出張から帰ってくる日に!」
「結局先延ばしになったじゃない。」
ディーノさんがおかしい。いやだこんな兄弟子。
「おいカス。」
「へっ?」
「跳ね馬と飲みにいったのはいつの話しだ…。」
「…えっ…と…。」
「いつだ。」
「前の日曜……かなぁ……」
「……」
「ザ…ザンザス?」
「ツナヨシ。悪いが失礼するぞ。」
「えっあっちょっとザンザス!?」
ちょっとスクアーロ!頬染めてないで少しは抵抗しろよ!
「ちょっ…ザンザス…いてーよ…」
そうだ!その調子!
「うっせーよカス。よりによって俺の留守にでかけやがって。」
「調度誘われただけだって。どうせ一人だったし。」
「やましいことでもあったのかよ。」
「ねーよ。一人が嫌だっただけだぁ。」
ああ俺こんな昼ドラ見たことある。
「あんたがいりゃ他の奴と飲みになんかいかねーよ。」
「当たり前だカスが。」

…わかった。こいつらバカップルなんだ。
バカップルは部屋を出ていく。
ザンザスはスクアーロの腰に腕を回して。
…いちゃつきながら。
「この浮気者!」
…今叫んだのはだれ?
雲雀さん?
まさかね。雲雀さんはそんなキャラじゃないよ。
だって雲雀さんは並盛の覇者で、統治者で
「寂しかったから誘いにのっただけだよ!」

…俺が日本人だからおかしく思うだけ?
イタリアでは普通なわけ?職場で修羅場るのがおかしいと思うのは俺が日本人だから?
俺だけまだ日本感覚なの?いくらマフィアがライフワークだからって。
いくらファミリーってゆうものの中で生活してるからっていって、それを仕事場に持ち込むのはどうなの。
ああ。風邪が吹いてるよ。窓割れた?子供かよ。誰の仕業だほんと。


「…ボンゴレ十代目…」
「…何ロマーリオさん…」
「俺達だけで商談を終わらせてもいいんじゃないだろうか…?」
「うん…そうだね。」

きっとあの人達はここに友達の部屋くらいの認識で訪れているにちがいない。

泣いちゃだめだ俺。心を強く持つんだ。
窓が割れたからってなんだ。
経理に維持費が増えたなんて厭味言わるのがなんだ!

「…どうしました?ボンゴレ。」
「…いやちょっと胃が…ね…。」
「はぁ…」


この日ボンゴレファミリーは年間諸維持費を越えた。
まだ若葉萌える温かい春の日だった。



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