Nice to meet you2



シリウス・ブラックが冬休みの始め3か間、いたくもない寮に残るはめになったのは、偏に、顔も見た事無い弟の婚約者のせいだった。

今年は冬特有の乾いた空気の到来が遅かった。
いつもの冬と違い少しばかり気の抜いていたシリウスに、訃報とも言える報告をしてきたのは父だった。
それもまたシンプルなもので
「レギュラスの婚約者がくるからお前は帰ってくるな。」
そう怒鳴り散らしたかと思ったら、「寮の外に出る事は許さん」
と核爆弾同然の発言を落として勝手に暖炉の中に消えていったのだ。

つまり自分がいては思う存分弟と戦えないから、お前は家に来るなということだろう。
それはいい。百万歩ほど譲ってそれはどうでもいいとしよう。むしろ始めからあんな家帰るつもりもない。だけど、寮からでルナだと?何だあの莫迦親父は。冬休みの短さを知っているのかあの馬鹿は。三日も寮に箱詰めだと、俺の予定をどうしてくれる。まずジェームズのうちに行っておばさんのチーズケーキを食うつもりだったのだ。そのあとウエールズまで飛んで、湖の近くのコテージに泊まってのんびりと課題を片付け余った時間は新学期からのいたずらの準備期間に当てようとしてたのに!あのアホは人の休日の楽しみをなくすのか!なんて理不尽な!くそージェームズもジェームズだ。
『えっ?君居残りなのかい?そりゃ残念だ。しかたないね、僕は先にピーターと家にいるよ。チーズケーキは・・・まああきらめなよ。大丈夫さ。ホグワーツの新年の料理もおいしいだろ?まあうちの母上のほうがおいしいけどね。わわそんな顔をするなよシリウス・ブラック。シリウス坊ちゃん。三日なんてすぐにすぎるさ。大丈夫。その三日は貴重な青春時代の貴重な三日間なわけだけどね。なにすぐさ、あっともう汽車が出てしまうね。残念だ。非常に残念だよシリウス。君の事は忘れない。忘れないよ。あの空に君が輝くたびに僕は君を思い出すよ。―誇り高き居残りシリウスー僕はあの星をそう呼ぶよ。ああさよならだシリウス。さよなら、そんなゴブリンみたいな顔しないで、ほら笑って、笑うんだシリウス。もうあえないね。シリウス、ああさよならーーーーーー友達つくるんだよーーーーーーーーーー』
そう言って明らかに顔の笑っているジェームズが頭のなかぴょんぴょん走り回る。むかつく。なんだあいつは。
『そうか三日か。そうだなそれくらいなら待っても良いよ。』
それくらいいえんのか、全くなにが魂の片割れだ。くそ。

そこまで考えてシリウスは溜め息をついた。
大体レギュラスはもっと自分の意見を出すべきだ。結婚はしたくない。なんでそれくらい言えないのか。
普通ならきが強く、我のはった人間が生まれるはずのブラック家に、自分とは違う意味での異端児として生まれたのがレギュラスだ。
大人しくて、静かで。まあ存在感がない。
IamNO1!がモットーなブラック家にはめずらしい僕は二番目でいいですよなタイプ。
兄であるシリウスが不孝に走ったから、そのしわ寄せがレギュラスに来ているのだと思うけど。(実際その通りだ)それにしてもレギュラスは意志が弱い。兄が言うから確かだ。弱い。なよい。おかまなみだ。
「………くそっ」
箱詰めの3日間一体俺は何をしていればいいんだろう。
途方にくれて見上げた空は、俺が憎いのか?と問いたくなるほどの快晴だった。


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