更新不定期。
話になってない事が多いです。
ザンスクばっか。
01:彼が目覚める時
「スクアーロ。」
呼んだのは一体誰だったのか。
呼ばれたのはいつだったのか。
半透明の球体に似たものだった。確かな実態の持たない酷く虚ろな、水の中でたゆとう様な。
懐かしい感覚だった。
不変な静けさが壊された。
そしてまた、スクアーロと呼ばれた気がした。
それを聞いて、ああ起きなければ、と唐突に、まるで天命を承た様に自分は思ったのだ。
遅れながらお帰りスクアーロ文。
02:危惧すること
「ザンザス。」
「……なんだ」
「あんたはザンザスなんだぞ。2代目じゃないんだ。」
「何を言ってる。」
「あんたの手も、あんたの目もあんたの声も、あんたの人生も、全部あんたのものなんだぞ。」
「だから何を…。」
「飲まれるな、2代目に。」
「………」
「記憶がどれだけ侵略してきても、どれだけ炎の力がでかくなっても。」
「……くだらん。」
「…初代はもういない。2代目が憎んだ初代はもういないんだぞ。」
「……」
「どれだけあんたの中の2代目の記憶が鮮明になったって初代はもういない。ぶつけどころのない怒りは無くしてくれ。あんたが初代を憎んでいたわけじゃないんだ。その怒りにあんたが付き合う必要なんかないんだ。苦しむ必要も。」
「俺は俺だ。その他の何物にもなるつもりはない。」
「じゃあどうして俺をそんな目でみるんだ。俺はそんな冷めた目でみるほどあんたにとって他人か?ちげぇだろ?」
「お前が検討違いなことを言うからだ。」
「俺は怖いんだよザンザス。
あんたがあんたで無くなるのが怖い。」
「馬鹿な。」
「ザンザス。俺が見えるか?」
「……。」
「その紅い目は何を見てる。」
「もういない奴なんか見るなよ。俺を見ろ。2代目の記憶が流れ込んだら今を見ろ。今あんたが存在している今を見るんだ。」
「…うっせーよ…カスが……」
ザンザスには2代目の記憶がありそう、と某リスペクトサイト様がおっしゃてたのに触発されました。
03:Dore
何度も回想する。釣り上がった目だとか、長い髪だとか、妙な口癖だとか、否に細い身体だとか、そんなすぐにでも消えていくだろう日常の遺り香を、自分は飽きずに回想する。
「願掛けだ。」
「言っただろ?俺はこれを切ったりしねぇ。」
ロココと言うには少し物足りない。ギリシアと言うには華美が過ぎるテラスだった。短い白髪の様な銀の髪をなびかせて、目の前の青年は癖のある笑みを作って言ったのだ。
「あんたも髪を切るなと言っただろ坊っちゃん。願いが叶わないぜぇ?」
「そんなもんに頼る必要なんざねぇ。」
そう言った俺に青年は違いねぇとまた笑う。
「まぁロン毛のあんたなんざみたくなかったさ。」
絶対に、似合わねぇ。
へらず口だ、でかかった言葉を舌の上で飲み込む。暗いシルバーアッシュの瞳がこちらを覗き込んでいた。
静かに、真っすぐに。
この目が嫌いだった。普段は只のアホのクセして、感だけは動物並みに働きやがる。野性の獣の様に物事を達観した、見つめられると何故か居たたまれなくなる。
この青年の目がきらいだった。
「なぁボス。俺は…」
青年は目蓋を閉じる。何か躊躇しているのか口が震えている。
「俺は死なねえよ。」
「もしかりに俺が死んだとしたら」
「それはあんたを守った時だ。」
自分は確かに聞いたのだ。
ひどく穏やかな深海の奥、波のない海底に横たわるような。
あの男の谺を。
スク追憶文でした。
日記の片隅にあったのを発見&救済。