「ま、ぶしい、です…」 声を出したのは、寝ている筈の風早だった。 どうやら部屋に入ってくる日差しが眩しいようだ。 空は曇っているのに眩しいという彼が、何だか可愛かった。 身じろぎをしてから、目を擦ると身体を寄せて。 柊にぴったりとくっついた風早は、再び寝息をたて始めた。 まだ空は明るくなり始めたばかりで。 更に曇っているのに何をそんなに眩しいというのだろう。 隣に寝転ぶ風早の髪を梳きながら、そんな事を考えていた。 彼は仲間が目覚めた後に目覚めるだろうけど、それでは何だか遅い気もする。 柊は先に部屋へ戻ろうかとも思ったが、それでは一緒に居るのに勿体ない気がしていた。 ただ流れる時間が、風早の髪に触れる柊を急かしている気がしていた。 「風早、起きて下さい」 急かすようにして、柊は風早の肩を揺らした。 無理に起こしはしないから、優しく揺らす。 その揺らし方に、風早は目を覚ました。 未だ少し眠気が抜けきれておらず、ぽやっとした様子だ。 「風早?」 「…柊…?」 「もう朝ですよ、風早。起きませんか?出来れば共に僅かな時を貴方のその優しい声で満たして欲しいのですが…」 その言葉に首をふるふると左右に振って。 風早は手を伸ばすと、柊の肩を捉える。 そのまま軽く布団へと戻された柊を抱き締めると、風早は呟いた。 実際は眠気眼で。 つまりは寝ぼけている訳で。 「…もう、少し…柊…、ねむ……」 「―――」 「柊…寒い…。抱き締め、て…」 (嗚呼、どうしてくれよう。) 柊はそう呟きそうになった。 抱き締める風早の温もりが暖かくて。 ああ言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。 つまり、柊は動けなくなってしまったのだ。 寝息を立てて。 隣でぐっすりと眠ってしまった彼を。 つい、見つめながら。 ああ、朝日が眩しい。 曇天かと思いきや、今日はどうやら晴れのようだった。 (何て事でしょう、) (一向に風早が起きる気配がしません。) 眩しい! >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 「風早、起きなさい」 「…んん……あれ?何で柊がまだ此処に居るんですか?」 (貴方が此処から逃がしてはくれなかったからでしょう!) 柊×風早。 寝てる(寝ぼけてる)時はかなりワガママっ子な風早だと良いですよね☆ 忍人さんにも我儘を言う、みたいな…!(笑) [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |