大変な失敗をしてしまった。
それはどうあっても覆せない事だった。
過ぎてしまったものは仕方がない。
失敗は消えないのだ。
だからといっては何だけど、意気消沈して、ベッドに突っ伏しているのだ。
今日は居ても邪魔とまで言われてしまったのだ。
家で出来る仕事をこなすように、との上司命令。
会社に居ては、今はいけない。
外は真昼間。
明るい日差しが、カーテンから漏れてる。
昼夜逆転生活にはならないように気をつけているのだけれど。
今だけは、日差しがとても眩しい。
「…これで社員全員、敵に回したものよね」
独り言。
新入社員だからと言っても、あの失敗はない。
この後の残務処理を、上司や先輩方がやっているのだと思うと後が怖い。
あーあ、
呟いて。
昼過ぎまで寝てしまいたいと思って目を閉じた時だった。
「ねぇ!帰って来てるー!?ご、は、んー!」
この声は。
「…玲司くん。ごめんね、今日はちょっと…」
嫌だ。
何で泣きそうになっているんだろう。
玲司の声を聞いただけで、安心するなんて。
その声に気付いたのか、トントン、と扉を叩く音が止む。
帰ってしまったのか、と思ったから、少し安心して。
少し油断して。
少し残念に思って。
溜息を一つだけ、吐き出した。
「…溜息は幸せ逃げちゃうぞー?」
「!れ、玲司くん!」
「鍵、開けっ放しは危ないぞよ」
驚いて起き上がった彼女の視界に入るのは、玲司の優しい笑顔。
何時も元気をくれる、暖かい笑顔だった。
ああ、どうしよう。
その笑顔は、今は優しすぎるわ。
泣き出しそう。
そう思うと、顔を隠したくなった。
見られたくなかった。
きっと化粧が崩れて、酷い事になっているから。
泣き腫らした顔になってる。
顔を逸らしたのを見た玲司は、そっと抱き締めた。
背中に置かれる手は大きくて温かい。
そして何時もの温かい声で、耳元で囁くのだ。
甘えたくないと思っても、甘えたくなる。
「ねえ、泣かないで。何があったのかは知らないけど、気持ち、吐き出して良いんだよ」
その囁き。
全て身を委ねたくなるのは何故なのか。
ゆっくりと。
染み渡る気持ち。
同じようにゆっくり。
呟いて。
失敗でも何でも、口から零れていった。
全て話し終わった所で、恐る恐る玲司の顔を見た。
呆れた顔をされるのか。
それとも。
すると何時もの笑顔を向けて、彼は言うのだった。
「大丈夫!もし本当に世界中の誰もが敵に回っても、おれだけは傍に居るでござる!」
(その笑顔は幾万の敵より、無敵なのだ。)
全てが敵だとしても!
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
おれだけは、君の味方なんだから!
玲司の夢みたいなもの。
実はこの時、設定では玲司は深く考えてません(←)
でも、玲司…不法侵n…何時もか(笑)
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