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魂の共鳴





悟空が手を掲げる上で、巨大な光の玉が幾つもの光の塊を取り込み、小さな太陽と呼べるまでの大きさへと変貌した。魔人ブウを倒すべく始められた元気玉の準備。最初は本当に小さな希望の光だったというのに、サタンの働き掛けにより今までの中で最大の大きさを誇っていた。それが放つ輝きも一層眩いものへと変わっており、星の瞬きにも劣らぬ煌々しさを持っていた。それは命の力、生きようとする意思の力、未来への希望宿す光に他ならなかった。地球とそこに生きる命が、太陽とナメック星人の力が、死後の世界の思いが一丸となり、魔人ブウを倒そうとする力になったのだ。
「すごい…私にも感じられます!あの光に込められた思いが、心が…!」
水晶玉越しに戦いを見守っていた界王神が感激の声を漏らした。その光の中には自分の力も混じっていることも彼の喜びに繋がっているのだろう。
「そうじゃのう…確かにサタンとか言う人間のおかげもある…が、あの世の力をも借りられたのは呼び掛けたのがあやつだったからじゃ」
真の英雄とは正にあやつのことを言うのじゃろう…そう言葉を切ると、老界王神は満足そうな微笑みを浮かべた。英雄は多くの心を動かし、多くの心に残るもの。そして人々に良き行いをしようとする心を奮い起たせる存在。元気玉という技はそれを集合させ、一つの力に変える偉業と言えよう。それが彼のためにある、と言っても過言ではない。
元気玉は魔人ブウを飲み込もうと大地にめりこんだ。だがブウは飲み込まれまいと抵抗し、拮抗したまま膠着状態に持ち込まれた。彼には元気玉を撃つだけの体力が残されていなかったのだ。
「ちくしょう…あとちょっと、あとちょっとだってのに…!」
その様子が見えるあの世からは頑張れ、あと少しだという声があがる。それが聞こえているのかそうでないのか、悟空はなおも踏ん張り続けた。だが、彼は力を消耗しきっている。デンデが界王神に自分を悟空のところへ連れて行ってくれと頼むが、界王神も体力を使っていて瞬間移動ができなくなっていた。誰もがもはやこれまでか、と思った時だった。

“おーい、三つ目の願いがなければ消えさせてもらうぞ!”
ポルンガのかけた一言でデンデがハッと気が付いた。ドラゴンボールの力を使えば、あるいはもしかしたら。


【悟空さんの体力を元に戻して下さい!】


デンデの願いはきき届けられ、悟空の体力は全快した。それを眺めていた老界王神は、ううむ…と感心したような声でうなった。
─異星のことでは使用するなと言っておったというに…あやつは本当に不思議なやつじゃのう…。
地球の各地で、かつて悟空に救われたことを記憶しているものたちはみな彼の声に応えた。あの世の住人たちも、これから転生する命と、今生きている命のために元気をわけた。そして悟空の仲間たちと、ナメック星人たちは一番最初に思いをこめた。そしてその思いはブウを貫き、文字通り塵も残さず完全に消滅させた。大団円を迎えた悟空たちは仲間のもとに戻り、共に喜びを分かち合った。それがもたらされたのは悟空一人の力ではない。彼を励まし、力になろうとしたものたちの力でもあるのだ。それをいち早く見抜いた老界王神は、悟空たちの様子が見える水晶玉の前でうんうん、としごく満悦した頷きを見せた。





水城柚樹様作

どうしても悟空は一人で戦っているようにしか見えませんが、もし本当に独りで戦っていたとしたら誰にも勝てなかったはずだと思うのです。ベジータ戦やフリーザ戦を見ればそれがわかります。そういう意味で元気玉はかなり重要な役割を持っていると思います。




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