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百年後も





色んな理由があって、クリリンは悟空にご飯を奢ることを約束した。
その理由に、昔クリリンのせいで飯を食いっぱぐられたお詫びだとか、悟空に色々世話になってるからだとか。
だけどそんな理由は、悟空は腹いっぱいに飯を食べられることが出来ればどうでもいいことだった。

日にちと場所を指定された悟空は、その日にカメハウスへと足を運んだ。
「どっか食いに行くんじゃねぇんかな?」
奢る、というのだから、てっきり外で食べるものだと思っていた悟空だったが、やはりそんなことは飯の前ではどうでもいいことだった。

気を察知したのか、来てすぐクリリンは笑顔で悟空を迎え入れた。
「悪いな、わざわざ」
「いいって」
そう言って改めて目にしたクリリンの姿はエプロンに腕まくりという格好だった。
「ソースついてんぞ」
クリリンの頬のソースを指で拭き取り、しゃぶる。
「あ、サンキュ。今まだ作ってたとこなんだ。時間早いぜ」
悟空の腹の鳴き声を聞いて、クリリンは苦笑いしながら悟空をテーブルへとうながした。
料理はテーブルいっぱいに並べ立てられ、それだけでは飽きたらず、クリリンがまだ台所で何品か作ってる最中だった。
「うひゃー!これ全部一人で作ったんか!?」
「途中まで18号に手伝ってもらってたけどな」
マーロンと出掛けちまったよ、と苦笑いで応えた。
「じっちゃんとかは?」
「昨日から亀と温泉旅行。出会って100周年記念だってさ」
「ハハッ、桁がちげぇな!」
「オレと悟空も結構経つけどなあ」
料理する手を休めず、慣れた手つきで仕上がっていく。
「オラ達も100年いこうぜ!」
「生きられたらな!」
その後しばらく、クリリンは料理の方に集中し、悟空は居間で暇な時間を持て余した。
「悪い悪い!出来たぞー!」
「ホントか!?」
寝転がり少し眠たげだった悟空だが、すぐに飛び起きた。
「さあ、たんと食え!」
悟空は目の前の溢れんばかりの料理に目をキラキラさせて、しまいにはよだれまで垂らしそうだった。
「いっただきまーすっ!」
いざ!と箸を料理につけようとした時、悟空は箸を止めた。
「クリリンは食わねぇんか?」
「オレはいいよ。全部悟空のもんだ」
「いや、おめぇも食え!オラ一人で食べたって味気ねぇよ」
悟空のしょぼくれた表情に、クリリンは笑みを浮かべて箸を取った。
「分かった。じゃあ遠慮なく」
「ああ!」
食べ始めた悟空は、弾丸が飛んでこようと敵が襲いかかろうと、その勢いは止まることがない。
目の前にある料理がなくなるまで、口いっぱいに、そして嬉しそうに食べる。
「おいしいか?」
「すんげぇうめぇ!すげぇなクリリン!」
ホントは半分以上何言ってるのか分からないのだが、喜んでいるのは確かなのだから、クリリンは安堵した。
悟空が殆どの料理を食べ終わるころ、クリリンは台所からまた1つ持ってきた。
「なんだ?ケーキ?」
「お前の誕生日」
「オラの?」
思ってもない言葉を聞かされ思わずすっとんきょうな声を出す。
「今回の料理は、これも含めてだったんだよ」
ケーキに差してあったろうそくに、火をつけていく。
「さすがに年の数はさせないけどな」
笑って、ろうそくの揺れる火を眺める。
「電気消すぞ」
真っ暗になった部屋の中、ろうそくの火だけが二人の顔を照らしていた。
「オレ、お前と会えてホント良かったと思ってるよ」
「オラもだ、クリリン」
「おめでとう、悟空」
悟空は一気に火を吹き消した。





ありむ様作

悟空とクリリンの友情物語を書いてみました。
この二人は本当に大好きなので、仲睦まじい姿が描けていればそれで満足です♪
(一応誕生日なので、それっぽい描写も入れてみました♪)




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