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その姿を見ていたら、何故か無性に親近感が湧いてきた。
「なんだか僕、あなたととても仲良くなれそうな気がしてきました」
「黙れ!」
がんっ、と乱暴に机の上に空き缶と消臭剤を置いて、怒鳴りだす。
「怒ることないじゃないですか」
「うるせえ!とっとと帰れ!」
僕の腕を掴んで、引っ張り生徒会室から追い出そうとする。
「もう遊びに来てあげませんよ?」
「来なくてもいい!うっとおしい!」
ぐいぐいと追い出されて、廊下に出る。
そこでふと隣を見ると、そこには僕の愛しい人の姿が。
なんで彼がここに?
「……あっ…んぐっ」
つい声をかけてしまいそうになり、自分で自分の口を押さえて塞いだ。
彼の前で喋ってはいけない。
「何止まってんだよ。ほら出て行け!」
ちょうど扉のところで立ち止まっていた僕を、会長がさらに押し出そうとした。
くっつかないでくださいよ暑苦しい、なんて言いたくても、彼の前では声が出せない。
会長に押されながら彼を見ていたら、一瞬彼の瞳に何か違う輝きが生まれた。
この目つきは……。
「ん?」
会長も彼の存在に気づき、視線を向ける。すると彼は、無言のまま僕らに背を向けてどこかへ走っていった。
……絶対、あれは何か考えていた。僕と会長を見て、何やら変な想像をしていた。
あの瞳の輝きはいつぞやのコンピ研の部室で見たものと同じ輝きだ。
ちょっと待ってください!なんて呼び止めたかったが言えない。追いかけようかと思ったのだが、会話が出来ないのに追いかけてどうする。
「何だあいつ」
会長が不思議そうに走り去る彼の背中を見た。
世の中、何も知らないほうが幸せなものだ。



放課後のSOS団の活動中、ずっと彼はちらちらと僕を見ては顔を赤らめていた。
何を想像しているのか、あまり考えたくは無い。
別に僕をネタにすることで彼が楽しんでくれるのなら、それはそれで嬉しいとは思う。誰かに迷惑をかけず、脳内の妄想だけで止めてくれるのなら、僕も何も言わない。
何度も彼にラブコールをしている身としては、他の男とくっつけられるのは少し不本意ではあるけど。
その日の彼は帰り道まで、ずっと何か考え事をしている様子だった。
彼の頭の中で僕は会長にどんなおいたを致してしまってるんだろう。彼の部屋で見たあの肌色率の高い雑誌達を考えると恐ろしくて仕方が無い。
すぐにでも彼の肩を掴んで僕の方を向かせて、僕が好きなのはあなただけなんですよ、と言ってやりたい。
でもそんなことを伝えたところで、彼は僕の言葉を理解する前に蕁麻疹で大変なことになってしまうだろう。
僕らの前で元気良く歩く涼宮さんや、それに続く朝比奈さんや長門さんの背中を見る。肩を組んだり話したりしながら、とても仲が良さそうだ。見ているだけで微笑ましく、疲れた心も癒されていく。
なんで、僕は彼女らの中から選べなかったんだろう。いまさらそんな基本的な事に戻って悩んでもどうすることもできないが、つい考えてしまう。
別れ際に彼が僕にだけ聞こえる声量で、ぽつりと口を開いた。
「眼鏡攻めって、いいよな……」
アッ、もしかして僕が下なんですか、そうなんですね。彼の思考はいつも僕の想像の斜め上を行く。
「生徒会室かぁ……ポイント高いよな、うん」
ぶつぶつと一人で呟く彼を見ながら、なんだかとてもウワーと叫びたくなった。










あきゅろす。
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