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古泉の部屋で、奴のベッドで横になりながら携帯でメールを打っていた。親に今日は友達の家に泊まると伝えておかないといけない。
用件のみをまとめた短いメールを送信したら、風呂場の扉がガラガラと開いた。頭にタオルを被せたままの古泉が出て来る。
やっと出て来たのか。待ちくたびれた。古泉は男の癖に風呂が長い。
携帯電話に視線を戻す。親からの返事はまた来ない。さっきメールを送ったばかりだから当たり前か。
「ああ!な、無い……!」
どこからか古泉の情けない声が聞こえてきた。
見てみると、冷蔵庫に顔を入れてたまま呻いている。開けっ放しにしていたら冷気が逃げちまうぞ。
「何が無いんだ?」
聞いてみると、そこから顔を上げて俺を見た。
「ぎっ……」
「ぎ?」
「いつもお風呂上がりに飲んでいた牛乳が無いんですよ!」
「……はぁ?牛乳?」
ベッドの横に置かれたゴミ箱から、空になった紙のパックを取り出す。
「これか?」
「あ!それ!それです!」
すごい勢いで古泉が飛び付いてくる。
おい、頭のタオルが落ちたぞ。
「悪い、喉が渇いちまって勝手に飲んだ」
「なっ!勝手にって、あなた人のお風呂上がりの楽しみを何だと……!!」
「別にいいだろ、牛乳ぐらい」
そんなに怒らなくても、また同じのを買えばいいじゃないか。
「これちょっといい牛乳なんですよ!普通のより50円も高いんです!」
「だからなんだってんだよ。んじゃ50円払ってやるからもう一本買って来い」
「そんな問題じゃないんです!僕はお風呂上がりにすぐ飲みたいんですよ!!」
親父か、お前は。
なんて考えながら、こいつの小ささに呆れ返る。牛乳一本程度で何怒ってんだか。面倒臭い男だ。
「うぜぇ……」
思わず本音が出てしまった。
聞こえなければよかったのに、しっかりと聞いてしまっていた古泉が、眉を寄せて俺を睨み付ける。
「うぜぇ、ですって?あなたが悪いのに」
はいはい、俺が悪かったよ。認めてやるからこの話題は終わりにしようぜ。
適当に返しながら、持っていた携帯を充電器に付けてベッドから落とす。
「……いい加減ですね」
古泉の声のトーンが一気に下がった。
やばい、これは本気で怒らせた?
険しい顔をした古泉が、ベッドの上へ上ってきた。仰向けに寝る俺の隣りに、両腕を立てて俺を見下ろす。
「僕、今から牛乳を買い戻しに行ってきます。その間、待っていて頂けますか?」
「……お、おう」
行きたかったらさっさと行けばいいのに、何でわざわざ俺の上に乗っかってそう宣言するんだ。
「でも、僕がいない間、一人待たせてしまうのは申し訳ないので……」
別にそんな事に気を使ってくれなくてもいいんだが。
古泉がベッドの脇にある隙間に手を突っ込んだ。
そんな所に何を隠してるんだ。エロ本だろうか。











あきゅろす。
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