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「男の人と経験無いのに、一人でここをこんなにしちゃったんですか」

指の間を開けて、穴を広げられる。ひんやりとした空気が内壁を掠めた。

「そんなにここでセックスがしたいのなら、お相手でも紹介しましょうか?」
「……はっ?なっ……んあ、あっ!」

古泉の信じられない提案を、すぐに否定しようとしたのだが、前立腺の付近を抉られて、思わず声が出てしまう。

「大丈夫ですよ、あなたは大切な鍵なのですから、変な人物を割り当てたりしません」
「そ、んなの、いらないっ……!」

ぎゅっと拳を握って、与えられる快感に耐えながら、なんとか言葉を吐き出す。
古泉はにっこりと笑うと、空いている方の手で、俺の頭を優しく撫でた。

「強がらなくてもいいんですよ、ちゃんと可愛がってくれますから、たぶん。あなたは特殊な立場の人間ですからね、機関の上の方の中に、あなたに興味を持ってる人が多いんですよ」

お金持ちな人もいっぱいいますから、お小遣いも貰えちゃうかもしれませんね。
そのあまりにも酷い発言に、思わず目元に涙が溜まる。

「お……れは……別に、男が好きなわけじゃ……!」
「だったら、なんでこんな場所が広がっちゃってるんですか。普通に暮らしていたら、こんなことありえませんよ」

ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てられ、自分のそこがどれだけはしたないか思い知らされる。
萎えかけていたペニスも、すっかりと硬く勃起していて、先ほど吐き出した精液がまだ管の方に残っていたのか、白い体液がちろちろと先端から流れ出ていた。

「あはは、面白いですね。まるで僕の指の動きに合わせて射精しているみたいだ」
「これ、はぁっ!お、お前が、すき、だからっ……!」

あまりの快感に白く染まりつつある意識の中で、必死に古泉に想いを伝える。
本当なら、もっとちゃんとした場所で、しっかりと保たれた意識の中で、この気持ちを伝えたかった。
ずっと前から、お前のことが好きなんだ、と。

「……そんなこと言って、僕に相手をしてほしいんですか?」

その声音は、周辺の熱気に溢れた空気とは違い、淡々としたものだった。
すっと古泉が目を細めて、俺を見る。

「ち、違う!ちが、ぁっ……!や、あっ!」
「でも、残念ながらそんなことをしても無駄ですよ。僕はあなたを恋愛対象として見ることができない」

一瞬、目前が真っ暗になったようだった。熱く滾る身体とは反対に、思考回路は段々と冷めていく。
古泉の言葉が深々と突き刺さり、目元に生理的なものではない涙が溢れた。
ですが、と古泉がさらに口を開く。

「こうして虐めるのは楽しいみたいです」
「ひっ……!」

ずぶっと挿入している指を、一気に根元まで入れられた。
たった今片思いだった相手に振られたばかりだというのに、冷えた感情とは裏腹に、身体は素直に快感を受け入れてしまっている。

「ぅ、あっ……ぐぅっ……!」

そんな自分が惨めで、情けなくて、ぼろぼろと涙が流れた。
それを、汚れた手で拭う。
いきなり泣き出した俺を、古泉が呆れたように見た。

「泣くほど気持ちいいんですか?もうどうしようもない身体してますね、あなた」

ふ、と笑いながら、また俺に顔を近づける。
後ずさりして逃げようとしたのだが、快感に緩んだ腰は、素直に俺の言う事を聞いてくれない。

「それで、前のお話に戻りますが」

ぴくり、と身体が震えた。

「どうですか?僕を仲介して、あなたが上の人間の機嫌をとって下さったら、僕としても機関内での立場が良くなるのですか」
「……や、あっ、な……にをっ……!」

こいつが何を言いたいのか、わからない。わからない。
ふう、と耳の穴に息を吹きかけられ、ぞくりと甘い刺激が脳内に直接伝わる。

「先ほど言っていた、僕のことが好きって言うのが本当なのであれば、僕のためと思えば、これぐらいどうってことないですよね?」

かぷりと耳を甘噛みされたのと同時に、アナルに挿入された指に前立腺を擦られ、絶望感に包まれながら俺はあっさりと射精した。






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