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放課後、部室に行く前に、なんとなく遠回りをして9組の前を通り過ぎてみた。
古泉はまだいるかな。なんて思いながら、教室を覗き込む。が、そこには誰もいない。

……もう部室に行った後、か。

人気の無い、閑散とした9組の教室。
そういえば、ここにはまだ入った事が無かったな。
一歩足を踏み入れてみると、俺のいる5組の教室と構造は同じはずなのに、どこか物珍しく思えて、気持ちが落ち着かない。
教壇に立って、綺麗に並ぶ机を眺めてみる。
あいつの席はどこだったか。
このクラスの前を横切った時に、後ろの方に座っている古泉を何度か見掛けていた。教壇から下りて、机の間を通り抜けながら探してみる。
たしか、一番最後の列の、窓から……

「これ……か?」

うっすらとした記憶の中の光景を頼りに、一つの机に目星を付けた。
机の中を探って、入っている教科書を取り出してみたら、確かに『古泉一樹』と書かれている。
これで確定、だな。
教科書を中に戻してから、古泉がいつも座っているその木製の椅子に腰掛けてみた。
席が一番後ろなのは背が高いからだろう。あんなやつが前にいたら、黒板が見えないだろうし。
頬杖をつきながら、前にある黒板を見つめてみる。古泉はいつもこんな光景を眺めながら、授業を受けているのか。
ぱたり、と机に顔を付けてみる。
あいつ、いつもここに座ってるんだよな。
目を閉じて鼻で息を吸ってみると、なんとなく古泉の匂いがしたような気がした。どきどきと胸が高鳴る。
激しくなる鼓動は、一種の熱を生み、それはだんだんと下の方へと下っていく。

「……んっ」

少し布が擦れただけで、反応してしまった自分が恨めしい。
こんな場所でこんな気分になってしまうだなんて、どんだけ飢えてるんだよ、俺。





誰か来るかもしれない、なんて考えは、いつの間にか完全に頭の片隅へと追いやられてしまっていた。
古泉の机に頬を寄せたまま、制服のズボンの前だけを寛げて、その隙間に手を差し込み、硬くなりかけている自分自身を握りこむ。

「ぁ……んっ」

荒くなる息を噛み締めて、口内に溢れる唾液を飲み込みながら、強弱をつけながらペニスを擦る。

「あっ、ぁ…、ぃずみ…こいずみ……」

目を閉じて、あいつの香りに包まれながらする自慰行為は、いつも以上に興奮した。
朦朧とした意識の中で、まるで古泉に触れられているかのような錯覚を覚える。
絶頂へと上り詰めていくのも、普段より断然早い。

「……ゃ、あっ!もっ…もう…」

達しようと、ぎゅうっとペニスのくびれの部分を握りしめた。




「………なに、してるんですか?」



……っ!?
突然聞こえてきた声に、全身が強張る。
イきそうだったペニスは、絶頂を迎えかけたまま欲望が塞き止められた。
目を開いて、恐る恐る声のした方向を見てみると、教室の入り口で立ち竦みながらも、信じられないものでも見たかのように、古泉が俺を見ている。

「ぁっ……、こ…古泉…」

古泉の机に前のめりになりながら座り、完全に勃起した状態の自分のペニスを握ったまま、俺は固まってしまった。
古泉の視線に射抜かれたまま、動けない。

「何をしているのか、聞いているんです」

嫌悪を顕に、眉を寄せて俺を睨みながら、一歩踏み出す。

「い、いや…これはっ…」

動揺して急いで立ち上がろうとしたのだが、中途半端に寛がせたズボンが腿のあたりまでずり落ち、足がもつれて転んでしまった。
古泉の椅子も巻き込んで、がたん、と大きな音が、静かな教室に響く。

「……はぁ」

呆れたような、古泉のため息が聞こえてきた。
頭だけ起こして自分の姿を見てみると、ズボンが膝まで落ちてしまっていて、下着の隙間からペニスがちょこんと飛び出している。
な、なんて姿を古泉に晒してるんだっ!早く、隠し……!
ズボンを上げて、前を隠そうとしたのだが、また一歩俺に近寄る古泉の足音に手が止まってしまう。
古泉の靴先が視界に入ってきて、思わず視線でその足の先を辿る。その上では古泉が冷めたような目線で俺を見下していた。
あの張り付いたような笑顔なんて全く無い。

「僕の机で、僕の名前を呼んで、オナニーですか。あなたもしかして、男が好きなんですか?」

その問いかけに答えようとしたのだが、顎が震えてしまい、上手く言葉にならない。
違う、違う、男が好きなんじゃない、俺は、お前が、……なだけで。
だが声にならず、ぱくぱくと口を動かしていたら、古泉が目の前にしゃがみこんだ。

「……それにしても、よくこんな場所で勃ちますね。露出の気でもあるんですか」

じっと俺のペニスを見下ろす。興味深そうに。
古泉が、見てる。俺のあそこを。
また股間に熱が溜まっていき、じわりとペニスの先端から、透明な汁が滲み出てきた。
それはたらたらとペニスを伝って、床へと流れ落ちる。

「うわ、もしかして、僕に見られて興奮してます?」
「…ぅ、…み、みるなっ…」

震える唇から、なんとか言葉を搾り出す。
足を閉じて隠してしまいたいが、俺の身体は言うことを聞いてくれない。
古泉が俺を見てくれている。それだけで腰が震えて、どこから出てきたかも分からない快感を拾ってしまう。

「見るなって、あなたのここはもっと僕に見て欲しいみたいですが」

意地が悪そうに、古泉が笑った。
いつもの作ったような柔らかい笑顔とは全然違う。
古泉が俺に顔を近づけてくる。どくり、と心臓が脈打った。
耳元に唇を寄せる。
耳周りの皮膚が、その気配を敏感に感じ取り、ざわざわと粟立つ。





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