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背を伝うように流れ落ちた指先は、その下にある緩やかな曲線を描く尻の隙間へと滑り込む。
その奥に潜む窄まりに軽く触れてみれば、僕の腕の中にある身体が強張った。

「すぐに、暖めてあげますから」
「…ぁっ…」

つぷり、と解されているその穴に、人差し指を差し込んでみる。
先程まで散々弄っていたため、僕の指一本なんて楽に飲み込んでいく。きゅっと指に絡みつく内壁の感触を楽しみながら、二本目の指も挿入した。
外の冷たい水とは違い、内部は暖かく僕を包み込んでくれる。その二本の指で、アナルを広げてみれば、まだ入ったままだった僕の精液が、水に解けながらゆっくりと流れ出てきた。
冷たい水の感触に、彼が微かに震えながら僕にしがみ付いてくる。

「こ、古泉っ、…み、水、がっ…つめたいっ…!」
「大丈夫です。すぐに身体は温かくなりますから」

ぐり、と直腸の上のあたり、彼の感じる箇所を強く擦ってやる。

「うあ!?あっ…!!」

身体を仰け反らせながら、声をあげる。
ぐり、ぐり、と何度も何度もそのしこりを指の腹で抉ってやると、面白いほど身体を震わせた。僕の位置からだと見えないのだが、またペニスも勃起させているに違いない。

「や、あ!あ、あんっ!!」

ぴしゃりと水を波立たせながら、僕の与える刺激を素直に享受する。

「さっきまでの威勢はどこに行ったんでしょうね。ここを触られて、そんなに気持ちいいんですか?」

指をまた増やして、すっかり広がってしまったアナルの内部を、かき混ぜる。
もはや羞恥の域などとっくに超えてしまったのか、必死に僕に腕を回し、力の抜けてしまいそうな身体を支えている。

「あ、はぁ、んっ!ぃ、いっ……きもち、いいっ!」
「そうですか」

すっかり快感に溺れている彼の顔に、笑顔を向ける。そして、アナルに入れていた指を一気に引き抜いた。
ふるりと彼の身体が震える。

「っぁ、な、なんで……?」

彼が、涙で縁取られた瞳でじっと僕を見た。
高潮した頬に、濡れて額に張り付いた髪の毛。その全てが、僕を誘っている。

「もっと、気持ち良くなりたくありませんか?」
「……ぇ?」

まだ浴槽に入ったままだった彼の身体を、水の中から引き上げる。
そしてそのまま風呂の中のタイルの上に下ろした。
ほとんど身体に力が入っていない状態の彼は、僕にされるがままだ。

「ここに」

また彼の後ろの穴に、指を差し込む。
彼が瞳を細めながら、小さく唇を噛みしめているのが見えた。

「もっと大きくて、熱いものを入れたら、指なんかとは比べ物にならない程、気持ちいいと思いますよ」

ぐり、と内壁を一回かき混ぜてから、すぐに指を抜く。

「……もっと…大きくて、熱いもの…」

熱に浮かされた虚ろな視線で僕を見上げながら、言葉を繰り返した。

「そうですよ。それが欲しかったらどうすればいいか……言わなくても、分かりますよね?」
「………」

透けた体操着を身に着けたままタイルに身を預け、頭だけ持ち上げる。
情欲に濡れた視線を僕に向けて、震える唇を開く。

「…ぁ、っ………く、くださ…ぃ…」
「何をどこに、ですか?具体的に言って頂かないと、皆目見当もつかないのですが」

ゆらりと、彼の瞳が揺らめいた。赤くなった頬をさらに染めて、懇願するように僕を見つめる。

「…そ、の…おおきくて、あつい、ものを…ここに…っ」

僕の目の前で、ふるふると微かに振動する両足の膝を立たせて、ゆっくりと開いていく。恥ずかしいのか、僕から視線を外して、ぎゅっと拳を握り締めながら。
そして、片手で尻の窄まりへと触れて、ゆっくりとだが人差し指を挿入した。
いやらしい言葉を言わせようとは思っていたが、こんなことまでしてくれるとは予想外である。思わず、ごくりと喉を鳴らしてしまった。

「……まあまあ、ですね。でも今回はこれでいいとしましょう」

口ではそんなことを言ってはいるが、僕も内心彼に飛び掛りたいのを、必死に堪えている。
床に投げ出された両足の足首の部分を持ち上げてから、その手を腿へと移動させて、足を広げさせた。
挿入する位置を合わせるため、硬くなった自分のペニスを握って、先端をアナルへ合わせていたら、目を開いて僕を見つめる視線に気がつく。
じっと僕を見るその顔に笑いかけてみると、少し顔を伏せて視線を外された。

「……では、」

両足を抱え上げながら、身体を前へと進める。

「……ぅあ、ぁッ!!」

散々柔らかく解されたアナルは、少し腰に力を込めてやれば、僕のペニスぐらい楽に飲み込む。
これなら大丈夫かと重い、遠慮無く深く腰を突き立てる。がつ、と彼の頭が風呂場の床にぶつかる音がした。
だけど、いまはそんな所に気を使ってはいられない。

「あ、あぐ、うああっ!!く、るしぃっ……!!」

僕の動きにあわせて、彼の全身も振動する。アナルが濡れてきたのか、ぐちぐちと結合部から粘液の擦れる音が聞こえてきた。
まだこの行為を始めて一日も経っていないと言うのに、面白い程都合の良い身体だ。

「ひ、ああ!あっ、うぁあ!!」

激しく腰をぶつけながら、ぼろぼろと涙を流す顔を見ていると、すぐ横で握り締めたままの拳が見えた。
随分と力が入っているらしいその拳を解いて、僕の手を絡ませる。少しでも快感に堪えようとしているのか、その指は縋り付くように僕の手を強く握った。

「あうっ、ああああぁっ……!!」

彼の感じるだろう箇所をペニスで狙って擦ると、背を仰け反らせて悦ぶ。
僕の前でゆれる彼のペニスは、一度射精したにもかかわらずすっかりと元気を取り戻し物欲しそうに尿道をひく付かせながら透明な液体を滴らせていた。

「……ふっ、いやらしいですね」
「ふ、ゃあ!?」

空いている方の手で、そこを握りこむ。きゅ、っと内部の締め付けが強くなった。

「だめ、だめっ!そ、んな所っ…触る、なぁ…っ!!」
「何を、今更」

ペニスをきつく扱きながら、腰の動きもさらに激しくする。
粘膜の水音はさらに酷くなって浴室に響き、耳の中を犯す。
もっと焦らしてしまいたかったのだが、僕自身かなり我慢していたため、あまり自制が効かない。
びくびくと手の中で彼のペニスが震えた。達してしまいそうな所を、また軽く握り射精を塞き止める。

「あ、ぐぁっ!?あ、やだっ!も、やっ…!!」

ぎりぎりで絶頂を引き止められ、彼が顔を歪ませて涙を流す。
その苦しそうな表情に少しだけ罪悪感を覚えつつ、腰を突き立てた。

「ぼ、くも、もう少しですから…我慢して、くださいっ…」

彼の苦悶の表情に、先程感じた罪悪感とは裏腹に背筋がぞくぞくと震える。
何度もペニスを突き立てるたびに、吸い付くように動く内部にきつく締め付けられ、僕自身もだんだんと上り詰めていく。
そして、自分が射精する直前に、彼のペニスから手を離した。

「あっ!く、あああっあっ!!」
「……ふ、っ…」

勢いよく吐き出された彼の飛沫を感じながら、その内部に欲望を注ぎ込む。

「あ、熱いっ…ぅ…」

最後にそれだけ吐き出すと、がくりと力が抜けた。
僕も彼を見下ろしながら、荒い息を吐く。
彼は身体を寝かせたまま横を向き、泣きはらした目でどこかを見つめている。その瞳には何が映っているのか。
僕は脱力してしまっているその身体に腕を回して、優しく抱きしめた。

「……好き、です」

耳元に口を寄せて、愛の言葉を囁く。
しかし、彼からは何の反応も無い。
元々返答なんて何も期待していない。彼は、僕の言葉を聞き入れてくれているだけでいいんだ。
力なく開かれていた彼の瞳が、ゆっくりと閉じられた。






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