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自宅であるマンションに帰り、ベッドの上に背負っていた彼を優しく横たえた。
肩にかけていた彼の鞄や、制服の入った袋を部屋の隅に下ろす。
そして、ベッドで眠る彼へと視線を移す。
早く、目を覚まさないかな。












僕もベッドに腰掛けて彼の寝顔を眺めたまま、どれくらいの時間が経ったのか。

「……!?」

暫くして、突然驚いたように横たわっていた身体が跳ね起きた。
ここがどこだか分からないのだろう、きょろきょろと辺りを見回してから、僕と目が合う。
驚いて唖然とした可愛らしい顔を見ながら、にっこりと笑ってあげた。

「……こ、古泉…!」
「はい?」

怒りか、憎しみか、それとも畏怖か。色んなものが綯交ぜになったような表情で、僕を見つめる。
今の彼の頭の中は、僕でいっぱいなんだろう。僕しかいない。僕だけ。
それはなんて素敵な事なんだろう。喜びに胸が震える。ずっとこのままだったら良いのに。
じっと彼を見つめていたら、彼がベッドから起きて、立ち上がろうとした。

「…っ、ぁ……!?」

だが、床へ降りたところで、がくりと身体が揺れて、その場に座り込む。

「な、なんで……!」

ぐ、と腕を地面にたてて、力を込める。だが、腰が上がらない。立ち上がろうと努力はしているのだが、身体がついてこないらしい。
かわいそうだから、手伝ってあげようか。
そう思って僕も立ち上がり、無駄な努力を続ける彼の傍に立つ。
僕の気配を背後に感じて、びくりと彼の身体が戦慄いた。

「大丈夫ですか?無理に動くと、危ないですよ」

優しく声をかけながら、背中と膝の裏に腕を回し、力の抜けてしまっている身体を持ち上げる。そして、ベッドの上に戻してあげた。
僕もベッドの上に上がり、柔らかい寝具に身体を埋める彼の両肩の横に手をついて、見下ろすように顔を合わせる。
彼は怯みながらも強い目線で僕を見上げた。

「どけ」

力の入っていない腕で、僕を押しのけようとする。
だけど、上位を取られた上に、その腑抜けた腕力で僕に勝てる訳が無い。抵抗する腕はあっさりと僕に捕えられ、頭上に押し付けられた。

「無駄な抵抗ですねぇ」
「う、うるさいっ!」

もう逃れる手段なんて何も無いと分かっているはずなのに、彼はまだ身体をくねらせ、僕の下から脱出しようとする。

「離せ…!離せよっ!なんで、こんなことするんだよっ…!」

また彼の瞳に涙が溢れてきた。震える腕を必死に動かしながら、嗚咽交じりの言葉で僕に問いかける。

「あなたのことが、好きだからです」

僕の告白に、固まってしまった表情のままぽろりと一筋の涙を流す。

「…そ………、そんな、ことで……」

僕から視線を外して、顔を逸らせる。
しゃくり上げながら言葉を紡ぎ、またぼろぼろと泣き出した。

「な……んで、好きだからって……俺が、こんな目に合わない、と…いけないんだっ…!意味がわからんっ…!」

両腕は僕が押さえてしまっているため、流れる液体を自分で拭うことが出来ない。
変わりに、唇を寄せて吸い取ってあげた。ほんのりとしょっぱい味が、口内に広がる。

「嬉しくありませんか?僕はこんな醜行に走ってしまうほど、あなたの事を愛しているんですよ」
「う、るせえっ!お前の気持ちなんて、知るか…!!」

僕から泣き顔を隠そうとしているのか、横を向いて唇を噛みしめた。
必死に自身を保とうとしている姿が愛おしくて、そのポーズを崩してやりたい思いが胸を締める。
片手を下に伸ばして、体操着越しに彼の股間に触れた。先程の行為の名残なのか、少しばかり湿った感触が伝わってくる。

「あ、なっ……!」

こんな体勢に持ち込まれて、こういった行為に及ぶことを予測していなかったのか。驚く彼を尻目に、そこを手のひらでぐりっと押しつぶしてやった。

「あぅ…ん…!」

目を瞑りながら、声を漏らす。
湿った半ズボンを脱がしてやると、少し触れただけで反応してしまっていたらしく、可愛らしいペニスが、その存在を主張してきた。

「ここは、いつでも僕に愛して欲しいみたいですね」

先端の膨らみを手のひらで優しく包み、ゆっくりと皮を下げてやると、綺麗な色をした表皮が露になる。親指でそのつるつるとした薄い皮膚をなぞると、微かに濡れた睫毛が震えた。

「ふ…ざけんな、よ…!この変態が…!」

うっすらと開かれた瞼から、強い光を向けられる。
こんな状態で、よくもまだ気丈な発言ができるものだ。
だが、これこそ『彼』なんだ。僕が恋い焦がれ求めている『彼』自身。
歓喜に背筋が震える。

「あなたは、本当にどこまでも僕を魅了してくれますね」

汗ばんだ彼の首筋に顔を埋めて、軽く吸い付く。
赤い痕を残してから、舌先を押し付けるように首を舐め上げ、耳たぶを口に含んだ。

「ぁ………んっ…!…うるさ、い…っ!」

ペニスを握りながら耳の中に舌を差し込むと、嫌らしい身体が震える。
親指で尿道付近を輪を描くようになぞれば、じわりと体液が滲み出てきたのが分かった。

「はっ…は……んっ…」

軽く軟骨を甘噛みしながら、耳を唾液で濡らしてそこから口を離す。
微少な快感に息を熱くしている彼を見下ろしながら、僕は予めベッドサイドに置いていたものに手を伸ばした。

「ごめんなさい。少し痛いかもしれません」

口先ばかりの謝罪を済ませると、持っているたこ糸を彼のペニスに巻き付ける。

「………ぅあ!?」

彼が、驚いて顔を上げる。僕は糸の端と端を握りしめ、ぎゅうっと引っ張った。

「ぁ、あ"ああッ…い、ぐっ…!」

血液が溜まって勃起しているペニスに、細い白糸が食い込む。そこは真っ赤に充血して血管がびくびくと震えた。






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