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次の日目覚めると、一樹は布団を抱きしめたまま眠っていた。
よくこんな格好で眠れるな。寒くないのか。

誰もいないリビングで、ソファに座りながらテレビを眺める。
今日は大学も無いし、夕方までゆっくりしていよう。それから勉強をすればいいさ。なんて考えながら菓子の袋を開けてくつろいでいたら、リビングの扉からカリカリと音がした。
シャミセンか?と思って立ち上がり扉を開けてみると、一樹がするりと部屋の中に入ってきた。

「お前、いつの間に戻ったんだ?」

抱き上げて問いかけてみるが一樹は、にゃ、と一声鳴いただけだった。
下ろしてやると、腹が減ったのかにーにー鳴きながら俺の周りをうろついていたから、餌入れに鯖の缶詰を一つ開けてやる。
足元でがつがつ飯を食う一樹から視線を外して、誰もいないリビングを眺めた。
今日は昨日よりかなり遅い時間に目が覚めてしまったため、妹はもうとっくに登校しているし、母親も丁度買い物に行っている。今この家にいるのは俺一人だけだ。
一人で留守番ってのは寂しいもんだが、家族がいないほうが好き勝手にだらだらできる。何をしても文句言われないし、ある意味清々するな。
…うん。そうだ、よな。
自分の思考に自分で相槌をうつ。
うちには誰もいない。俺以外。
そう考えると、変な気分になってきた。いや、変な勘違いはするなよ。成人男子として当然の反応だ。たぶん。

自室に戻って、一応部屋に鍵をかける。
今ならば普段ならひっそりとやらないといけない事が、堂々とできるわけだ。何かとは聞かないでくれ。
机の下段の引き出しから、愛用しているDVDを取り出してデッキにセットする。
再生を押して、真っ黒い画面を眺めた。そろそろこのDVDにも飽きてきたから、今度新しいのを買ってこよう。いや、谷口辺りに頼んで、あいつのコレクションを何枚かコピーさせてもらえばいいか。
そんなことを考えてるうちに、本編が始まった。
最初は普通の女子高生三人組の日常風景から始まる。演技力の欠片も無い三人の会話シーンに少し気分が萎えつつ、ベルトのバックルを外して前のチャックを開けた。
まだ軟らかいままのペニスを取り出してぎゅうっと握ると、腰の辺りにもやもやとした感覚が生まれる。まだ肝心のシーンに到達していないDVDをちらちらと眺めながら、握りしめたペニスをゆっくりと扱いた。
一気に激しく扱いてしまいたいのを我慢し、少しずつ、少しずつ快感を蓄積していく。
暫くして、ブラウン管の向こう側にいる少女達があられもない声をあげ出した。その声が鼓膜を刺激して、聴覚が妙に冴えてくる。
じわりじわり襲いくる快感に、俺自身の先端からたらたらと透明な液体が垂れてきた。まるで、もっと強い刺激が欲しいとねだっているかのように見える。

「…………んくっ…」

口の中で溢れる唾液を飲み込んで、両足をさらに広げる。
もう、そろそろ…。
段々と我慢できなくなり、ペニスを握る力を強めてさらに激しく扱いた。

「…ふ…ぁっ…」

息が荒くなり、唇を噛み締める。
あともう少し、で…。

「…にゃー」

…は!?い、一樹?いつの間に俺の部屋の中に入って来たんだ?
声の聞こえた方向をちらりと見てみると、一樹がちょこちょこと俺に近付いてきていた。だけど、今さら手を止めることなんてできない。
滴る体液を指に絡ませると、滑りが良くなった。室内に響く卑猥な水音に、俺の興奮がさらに高まる。

「…ぁ…あぁっ…!」

鼻にかかった声が漏れる。が、そこで自分のペニスをぎゅっと握ってさらに焦らそうとしたのだが。
足元に近寄っていた一樹が、突然ぺろりと俺のペニスを舐めた。

「ぅぁ!?」

ざらざらした猫の下の感触が、痛みとそれ以上の快感を俺に与える。びくびくと身体が痙攣して、背筋が仰け反った。

「やあ、ああっ!!」

今まさに、テレビに映っているAV嬢のような声をあげて、俺は達してしまった。
なんてことだ。
背中にあるベッドに身体を預けて、荒くなった息を整える。
首だけ動かして足元を見てみると、自分で受け止められなかった精液が垂れていて、さらに一樹の頭にも微量だが白い液体が飛び散っている。
最悪だ。これじゃバター犬ならぬバター猫じゃないか。
両手で顔を覆い隠して項垂れる。ペット相手に何してんだ。もう俺、死にたい。死んだ方がいい。

「…くしっ」

うーうー唸りながら身悶えていたら、昨夜聞いたものと同じような音が聞こえてきた。
嫌な予感がして、恐る恐る足元を見てみると、

「…どうも」

でっかくなった一樹が、そこに座っていた。しかも、俺の吐き出したモンを顔につけたまま。
その姿は猫の状態より生々しい。

「お、まえ!さっさとそれ拭…ひっ!?」

慌てて一樹の顔を拭おうとしたのだが、突然ペニスを握られて思わぬ声が出てしまった。

「ど、どこ触ってんだよっ…!」

絶頂を迎えたばかりで敏感なそこは、微かに触れられただけでも甘い刺激を伝えてくる。

「だって、ここ触ったら気持ちいいんですよね?」

一樹はそう言って、腹立たしいほど爽やかに笑うと、両手で俺のを包み込んで扱きだしやがった。

「ぅあっ、ちょ…や、やめっ…!」
「大丈夫ですよ。ちゃんと気持ちよくしてあげますから」

そう言いながら、ちらちらとテレビに映る映像を見る。丁度今、女子高生がおっさんの股間を扱いてるシーンだ。あれの真似をしてるのか、こいつ。
そして女子高生がおっさんのグロテスクなペニスを咥えるのを見て、ぱくりと俺のを口に含みやがった。
ちゅうちゅうと吸われて、根元からストローのように体液が吸い取られる感覚がする。尿道が熱を帯びてくる。目元に涙が溜まって、視界も歪んできた。
このまま続けられたらすぐにでもイッてしまいそうだったのだが、ぎりぎりで口を離された。
どうしたのかと思ったら、根元から雁首の辺りまでを舐め上げられる。

「ひっ、あっ!」

猫の時の名残か、舌がざらざらしている。
だけど、猫の舌ほど痛くはない。むしろ尋常じゃない程気持ちいい。
頭の中が白く霞んできて、足の間に顔を埋める一樹の頭を掴んだ。さらに深く咥えさせるように、股に押し付ける。

「あっ!ああ、やぁっ!い、きそっ…!」

口なんて開きっぱなしで、声は駄々漏れ。
でも、そんなことに気を使っていられるほど余裕が無い。

「ああああぁっ…!!」

歪んだ天井を見つめながら、俺はあっけなく達した。
一樹の頭を押さえつけたまま。
男の口で…最悪だ。いや、最悪どころじゃない。

またしてもぐったりとベッドに背を預けて、呼吸を整える。
今回の疲労は先ほどの比ではない。
朦朧となった意識でぼんやりしていたら、一樹が顔を覗き込んできた。
口元に俺が出したであろう白濁としたものが付着している。飲んだのかこいつ。正気の沙汰じゃない。

「気持ちよかったですか?僕、お役にたてました?」

…なにが、気持ちよかったですか?だ。
勝手にこんなことしやがって。お前のせいで俺の男としてのプライドなんてぼろぼろだ。
気がついたらAVはとっくに終了していて、真っ暗な画面が流れている。ほとんど見ていなかったため、再生していてもあまり意味が無かった。それがまた悲しい。
二回達した疲労も相俟ってか、俺の怒りのボルテージは一気に最高潮だ。

「…くそっ」

身体を近づけてくる一樹を突き飛ばすと、思い切り睨みつけてやった。

「ふ、ざけんなよお前っ!余計な事しやがって、気持ち悪いんだよ!!」

そう怒鳴っても、一樹はきょとんとした顔で俺を見上げる。

「何をしたいのか知らんがいい迷惑だ!さっさとここから出て行け!しばらく顔も見たくない!」

はっきりと言い切る。一樹は呆然とした顔で、座ったままだった。
だが、少し頭を下げると、何も言わず無表情で立ち上がって部屋の扉に手をかける。

「…ごめんなさい」

ぽつりと一言だけ呟いてから、部屋の鍵を開けて出て行った。

一人だけ取り残された途端、一気に室温が下がったような気がする。
…俺、言い過ぎたか?
乱れてしまった服装を整えながら、先ほどの自分の発言について考える。
だけど、悪いのはあっちだ。いきなりあんなことされて、怒らない人間なんていない。
随分と落ち込んでしまったようだが、それは俺の気にするような事ではないだろう。
そうだよな。
心の中で再度自分に言い聞かせてから、俺も自室から出る。
別に一樹の様子を探ろうとしている訳じゃない。ちょっと飲み物を取りに行くだけだ。

リビングにいるかと思ったのだが、一樹の姿は無い。ついでに風呂やトイレも覗いてみたんだが、誰もいなかった。
階段を下りていく音が聞こえたから、てっきり一階にいるかと思ったんだが。
ふと玄関を見ていたら、かかっていたはずの鍵が開いていた。
…まさか、外に?
いやでもあいつ服着てねえはずだし、それは無い…よな。














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