[携帯モード] [URL送信]
辛いことぶちまけてやる

出会いはキャバクラ。普通だよ。普通。普通に大学行ってた女の子が、たまたまスカウトされて働きだしたキャバクラで、2年目の冬、佐々木っていう男と出会った。佐々木は客。女はキャバ嬢。佐々木は当時25歳で、女は、名前をナナミと名乗り、ディオールと言う店で働く21歳だった。 週末の忙しい店内で、真っ赤なドレスの疲れ切ったナナミが、夜中12時になり、少し気を緩め、15番テーブルの五人組の中の、一番若い客に着かされた。その男が佐々木についた。佐々木は帽子を深くかぶり、ジャージ姿にサンダルを履き、目を合わせようとせず、最初、おとなしい印象だった。 ナナミは、キャバ嬢として(つまり、仕事として、金として)佐々木の顔を覗き込み、愛想良く「初めまして、ナナミです。」と笑顔で名刺を渡した。佐々木はやや恥ずかしそうに苦笑いをして、「どうも」とつぶやいた。佐々木以外の四人の男性客は、隣に座っているピンクや黄色のドレスを着飾ったキャバ嬢達と、楽しそうにはしゃいでいた。ナナミの顔をやっと見上げた佐々木は、なんだか少しうれしそうに、にやついた。ナナミはすかさず、年やら、名前やら、仕事やらと、さまざまな質問をぶつけた。もちろんナナミは佐々木に興味があったわけでもタイプなわけでもなくて、まったくもってお仕事として会話を盛り上げた。佐々木も少しずつ心を開いたのか、名前は「佐々木章二」だと教えてくれた。ついでに子供がいるのだと言って、小さな子供達の写真を見せてきた。自慢そうに、三枚の写真をならべ、長女、長男、次女の話をしはじめた。そんな話は佐々木の自己満足で終わり、ナナミの自己紹介をした。ナナミと言う名前も、年も、家も趣味も、嘘ばっかりならべてやった。なんだか佐々木はナナミを気に入り、この夜はナナミを指名して、閉店まで飲んでいった。その飲み方がすごい。金使いがはんぱないというか、とりあえずドンペリ、ドンペリ、またドンペリと、酒の強いナナミを酔わせようと、次から次へとひたすらドンペリをいれまくった。まぁ、この夜は閉店となり、期待以上の売り上げを作れたナナミは、大喜びで家に帰った。今日もそうだし、この先のいい客をゲットした喜びは、キャバ嬢にしてみたら、○○○円獲得したと喜ぶものだ。 この日から佐々木のキャバクラ通いが始まった。出勤前のナナミと毎日のように、ディオールの近くの焼肉屋やら寿司屋で食事をして、二人揃ってご出勤という、いわゆる同伴が日課となった。それは毎日のように繰り返され、ときには店の閉店後にも飲みに行くアフターなどもしていた。店での付き合い以外にも、クリスマスや誕生日、ホワイトデーなどには、高級なバックや洋服、アクセサリーを次々と佐々木はナナミにプレゼントしていた。たくさん、たくさんのお金を、佐々木はナナミのために費やした。でも、当時27歳の佐々木が、なぜそれほど金と時間を持っていたのかといえば、奴は犯罪者だったからだ。 表紙ページ


あきゅろす。
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!