現パロ



目が覚めるとカーテンの隙間から明かりがもれた部屋の、漂う冷たい空気に気づいた。
半分だけ閉ざした雨戸のおかげでほんのり、ほんとうにわずかな太陽の光が俺の瞳をならしてゆく。
くわっ。あくびが出て枕元に置いたコードのつなげっぱなしの携帯のディスプレイをみるととっくに昼過ぎだった。
昨日寝たのは2時。小さなころのように楽しみが興奮となり寝付けなかったわけではなく、単にメールのやりとりをした最中に力尽きたのが送信画面の時間からわかる。
夢も希望もない、大人になって普通でつまらないもっとも多い就寝の仕方だった。
ただ俺が1番くだらない寝方と思うのは、たいしてイッてもいないセックスのべたべたの体で力尽きた女の隣て寝ること。
朝の不快感はとてつもないし、一日の気分もそれによって不満足なまま始まる。

だから今日は休みとして自分のベッドで過ごした最高の起床であり、とりあえず暖房のスイッチをいれ途中で終わったメールの再開から始まる。
寝返りをうって寝ボケた頭でぽちぽちとうちなれた文字盤に指を動かして身じろいをした。
冬はさむい。まだ布団からはでたくないからそれこそ30分は無駄に布団に居座る時間がたまらなく好きである。

けれどメールの返事はいつもより早いものだから面倒なやり取りを二、三回して携帯を放った。
のんびりをぶちこわされ、仕方なく俺はようやく暖まった部屋温度を確認すると布団から体を出しカーテンと雨戸を開けた。
眩しい。冬の陽射しだというのに暗闇にいた俺にはとても強いキラキラした光に目を奪われる。
たまには休みの日くらい外にでるべきだと後押しさせるそれは窓に映った自分自身に囁く。
お腹もなって空っぽの冷蔵庫にも笑われた気がする。

その時玄関のチャイムがなった。
頭をかきながらペタペタとフローリングの床を歩いて玄関を誰かも確認せずに開け放つ。
迎えた先にいたのはここにもまた陽気で憎たらしい笑顔一つ、嫌味顔が一つ、無愛想で心配な顔一つ。
ああ当たり前なことをまた一つ、見つけてしまった。





*

いつも人の家に押しかけるので逆だととまどいながら喜ぶ鬼柳さん。
鬼柳さんはあの見た目なので女には不十分しません。来るもの拒まず去るもの追わず。
満足組には追っかけるけど(笑)
ようは一人が好きだけどさみしがりやな鬼柳さん。


23/1/11





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