小さな体だと、始めから思っていた。
身長は勿論のこと、折れてしまいそうな細さに華奢だとか女特有のものなのかそれ以上にキサラは小柄で小さく見えた。
特別目につく髪と瞳の色ぐらいだけで主張するものが無いと思ったくらい普段は物静かに微笑っている。
だが加えて意志の強さが彼女の小さな体という先入観を内から破壊したのだ。
臆病な割に頑固な事をしったのは最近。
言葉に動じず意見をはっきり伝える傾向が濃くなったのはそれより前。
意表な雰囲気にのまれたのは出会って間もなく。
それぞれをまとめる様な現状が今。
だが、欲薄な性格でどうしてソレを求めたのか、やはり結果的にはキサラも世間一般な女の思考だったようだ。
返答に詰まらされてかれこれどのくらいか。
捕まえるのは容易い、動きを塞ぐのも造作無い。腕の中に閉じ込めてしまえば口も動きも、己が表情も見せる事が無いのだから。
わがままを言わないこの女唯一の無意味に欲する言葉を俺が言うのはあまりも情けない姿に思えた。だからこうした現状に至った。
無欲な女への気紛れの計らいがこうも頭を抱えさせるとは。
嗚呼、叶えると言った以上こうなっては此方も意地だ。
一度だけ。口にするのは一度のみ、。



(あなたが無意味という言葉が欲しい)

欲 し い
欲 し い

「  だ、」


だから泣くか喜ぶか、どちらかにしてくれ。




*

キサラはただその一言がずっと欲しかったのです。

22/5/9







あきゅろす。
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