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断片とっ散らかり屋
・書いたけど本編には載らなかった断片
・書き直したため不要になった初稿
・ちょっと思い付いただけのIF
・CP妄想セルフ二次創作
など。
見あパラ多め。ネタバレ超超注意。観覧は自己責任にてお願い申し上げます。
2017.03.26(日) 21:09

凍りつく。
四肢が、やがては心臓が、脳髄までもが、冷たく、冷たく。

「ぁ……あああああ!!」

差すような痛みが喉に走れども叫ぶ。
ああ。僕はまだ生きなきゃならないのに。無慈悲な世界の欠陥構造になど負けたくないのに!
なぜこんなことになってしまったのだろうか。
あの、人類最後の希望たりえた研究所は、もう目と鼻の先まで来ているというのに。せっかく僕は生きてもよいと許可されたのに。なぜこんなところでくたばらなければならない。

「たすけて……たすけて、たすけてよっ」

プライドもくそもない。
凍った地べたで動かなくなった手足を引き摺り、涙ながらに咽び続けた。

ぱん。

涙が次々と凍ってゆくのを、呆然と眺めていたところに、耳に鮮やかな銃声が響き渡る。
濁った視界の中心にかろうじて見た人影。
彼は結った黒髪を揺らし、淡い銀色の目で僕の魂の奥を見通していた。

「死なないさ、君はまだ。迎えが遅くなって悪かった。少なくとも半身不随は免れないだろう。けど、きっと生きられるよ」
「ほんとうか?」
「本当だ。また過去で会おう」
「あぁ……あぁ、ありがとう」

安堵で、意識が滲み、急速に薄れる。
自分の胸の真ん中に風穴が開いていることは知っていたのだが……それでも、おそらく奴は本当の命を僕にくれたのだろうと信じたかった。


世界の終わる瞬間まで、奴は無慈悲に抗い、不条理であり続けるのだろう。

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