[携帯モード] [URL送信]
呟き
2015.12.25(金) 22:22


こんなシリーズ書きたい。



「いったい何のつもり…!?」

掴まれた腕がその強さに悲鳴を上げる。どうしようもなく体が熱くて、彼女は冬にもかかわらず背中を伝う汗の感覚に肩を震わせた。

「もう分かっているだろう」

涼やかな目元はわずかに赤いが、あれほどグラスを傾けていたのに彼は酔っているようには見えなかった。

「…何の話、!?」

再び糾弾するように口を開けば、掴まれたままの腕を強く引かれる。アルコールが体中に巡って最早力が入らない状態だった彼女は、なす術無くその体を捕らわれてしまった。ぼんやりとした頭の中でガンガンと警鐘が鳴るのを感じる。だが、酒に強いわけでもない彼女が彼…二宮に勧められるまま口にしたカクテルがその体に抵抗する事を許さない。

「あんた、ほんと馬鹿げてる…っ私は恋愛対象じゃないって言ったのはそっちよ」

「ああ、そうだな」

せめてもの抵抗に力の限り睨みつけてみても、二宮の涼しい顔はぴくりともしない。むしろ次にどう出るのかとその様子を楽しんでいるようであった。いくら憎まれ口を叩こうが、くつくつと喉を鳴らして次の反応を待つだけ。目の前で揺れる喉仏が無性に憎たらしく思えて、彼女はいっそのこと噛みついてやろうかとさえ考えた。

「いい加減観念しろ」

「いい加減にするのはそっちの方よ、いつまで私を振り回すつもり!?二宮のことはもう好きじゃないの!!」

彼にこっぴどく振られてからというもの、彼女は碌な恋愛をしてこなかった。体だけの関係。そんな廃れた人付き合いをしていた時、何故か自分をふった男からアプローチをしつこく受け始めたのだ。
-今夜で終わりにしてやる。ガツンと言ってやるわ。
そう思って二人で入った夜のバー。特に会話もなく進む中、彼女は自身の前に置かれたグラスをぐいと煽った。そこで、彼女は驚きに目を見開く。液体の正体を確認して、その顔は堪えきれない怒りに満ちた。
-レディキラーカクテル。
ふざけている。
散々人のことをコケにしてふったくせに、今度はこんな手段で私をからかおうというの。

冬の冷たい風にさらされながら、彼女は静かに涙を流す。悔しさ、怒り、様々な感情が綯い交ぜになったその雫を拭った彼は、ひどく愉快そうに顔を歪める。
結局、彼女は逃げられはしないのだ。



なーんてね!20分クオリティ(笑)
聖夜の嘘だよ!シリーズ化なんてしないよ!!!!




コメントはありません。
コメントを書く
[*最近][過去#]
[戻る]
無料HPエムペ!