Mini
2012.12.05(水) 08:03


【幸福ロマネスク】
怖いもの知らず

樋浦「あ・・・雨」

雲雀「天気予報通りだね」

樋浦「・・・ということは、雷も鳴るんですね」

雲雀「君、雷怖いの」

樋浦「いえ、怖くはないんですけれど、不安にはなります。近所の木に落ちたことがあるので」

雲雀「それを怖いと言うんじゃないの」

樋浦「いえ、私は音を聞いたり光の走り方を見たりとかはいけるのでちょっと違うかなぁ、と」

雲雀「へぇ、変わってるね。女子って結構うるさいのに」

樋浦「そうですね。私も一度くらいはああやって叫んでみたいです」

雲雀「やるの?」

樋浦「・・・出来ませんでした」

雲雀「やろうとしたことはあるんだね」

樋浦「だって、なんだか楽しそうなんですもの」

雲雀「本人たちは割と本気で怖がってるみたいだけど。何、楽しそうって」

樋浦「お化け屋敷みたいなノリかなぁ、と。叫びあって安心する? みたいな」

雲雀「それは楽しいものなの」

樋浦「わかりませんけど、楽しいならやってみたいです」

雲雀「君には無理だよ」

樋浦「え、断言? いや、出来ませんでしたけど。なんだかちょっと凹みます」

雲雀「君の叫び声なんて聞いたらこっちがもたない」

樋浦「あれ、超音波扱いですか?」

雲雀「違う。超音波よりタチが悪い」

樋浦「(雲雀さんの前ではあんまり叫んでないはずなんだけどな。なんで近所迷惑を通り越すほどの騒音だって思われてるんだろう)」

雲雀「何か言いたいことがあるの」

樋浦「いえ、とりあえず。叫ぶというお話は置いておこうかな、と」

雲雀「うん」

樋浦「・・・(そっか。叫ぶのはダメなのか)」

雲雀「・・・必要な時は叫びなよ。君、弱いんだから」

樋浦「はい?」






2012.09.18(火) 02:04


苦労人


私はいつものように応接室で風紀委員の事務作業をしていた。黙々といろいろやっていたらリボーンが久し振りに訪問してきた。私は彼を見ると何か厄介事がついてくるので無意識に身構えたのだが、彼は一言だけ言ってその場からすぐに消えた。


「屋上でヒバリが闘ってるぞ」


その言葉を受けたのもあり、今、私は屋上にいるのだが――――。


「えっ、あれ? 委員長が女の人にトンファー向けてる」

「てめぇ、見てわかんねえのか! 今それどころじゃねえだろ!」


目の前で繰り広げられる息つく暇さえ与えられない闘いは私に衝撃をもたらした。思ったことがそのまま口に出てしまったようだ。独り言と受け止めてくれたらいいのに、隣で佇んでいた獄寺に真剣にツッコまれた。空気読めよ! と公言されたわけだが不思議と罪悪感が湧かない。


「え゛っ、ホントに来ちゃった?!」

「よっ! お前も来たのか」


獄寺のせいで他の人達も私の存在に気づいたようで皆一様に驚きの声をあげた。見慣れない制服―――先日、転校してきた至門中だったか―――に身を包んでいる眼鏡の男の人もこちらに気付き、声をあげた。


「結局、仲間を呼んでいたのか。しかし残念だったな。貴様ではアーデルには勝てないぞ!」

「あぁっ! 委員長の服のボタンが・・・!」


闘っている女の人が蹴り上げたと同時にピンっ、と弾けた音が微かに耳に届き、彼の学ランのボタンが一個取れたことに気づいた。仕事が増えたなぁ・・・、と溜め息を吐くと眼鏡の男の人が声を荒げた。


「結局無視とは何事だ! 貴様!」

「やかましい! こっちはささやかな仕事が入ってスケジュールに狂いが出たのよ?! ていうか、ツナ!」

「え、オレ?!」

「委員長止めるなら早く止めて!女の人が・・・ってもう殴ったーーー?!」


ボタンが取れたことへの怒りか、すぐさま委員長は女の人の顔面を狙ってトンファーを振り落とした。
綺麗な方になんてことを!


「委員長!」


咎める声も最早聞こえないらしい。
彼の瞳には相手の女の人しか映っていないようで、そのことにも凄く腹が立つ。

そうして委員長と女の人は互いに近付き、相手に打撃を与えようとした瞬間――――何故か無謀にもツナが間に入り、両者からの攻撃をまともに食らって地面に伏した。そんな止めかたをしなくても。しかし、腫れた頬を押さえながら「いつつつ」とか言っている辺り、大丈夫そうだ。前々から思ってたけど、ツナって打たれ強いね。

彼のお陰で委員長は興が削がれたのか、それともリボーンが話を始めたからか、ゆっくりとした足取りでこちらに歩いてきた。


「委員長、何をしているんですか」

「君はなんでここにいるの」

「リボーンに呼ばれたんです。委員長が闘っていると」

「仕事は」

「・・・今日中にはちゃんと終わります」

「そう」

「あの、今大事なお話、されてませんか?」


明らかに「てめぇら黙って話聞け!」という獄寺の鋭い視線が感じられた。マフィア関係、ツナ関係とくれば彼も大いに関係者であろう。曲がりなりにも雲の守護者なのだから話は聞いておいた方がいいと思うけれど。


「僕には関係ないよ。それより、ボタンが取れた」

「はい。見てました」

「後で仕立て直してね」

「・・・はい?」


委員長の代わりに説明を私が聞いておかなければいけないのだと思いながらリボーンの言葉に耳を傾けていたが、突如として聞き捨てならないことが耳に入った。


「・・・すみません。ボタンを付け直す、ではなく?」

「うん。一から仕立て直して」

「ま、待ってください!」


悲鳴混じりの声を上げれば、一気に皆の視線はこちらに集中した。しかし、そんなことに構ってはいられない。


「昨日、委員長のスーツを仕立てたばかりですよ!? 学ランのボタンひとつ取れただけで一から仕立て直しだなんて・・・!」

「(えっ? スーツ?)」

「一週間以内ね」

「一週間?! 無理です。絶対に無理です! まだ書類も片付いてないのに!」

「今日中には終わるんでしょ」

「一週間分のノルマがってことじゃないですよ!? それに最近、野球のボールが窓ガラスを割ったり」

「あっ、この前のな」

「・・・すまん」

「机が軽く十個ぐらい破損してたり、壁が凹んでたりして予算の計算とかが・・・」

「むっ、それは・・・」

「結局あの机がやわいだけなのだ」

「・・・待って。さっきから聞き捨てならない言葉が・・・。私の仕事を増やしていたのはあなた方?」


冷たく問いかけると案の定、気まずそうに顔を背けた計四名。
お前らホントに・・・。マフィア関係しか器物破損してないじゃない。
残りの人達に牽制のために睨みを利かせるとツナと炎真くんが大袈裟に肩を上下させた。
この二人ぐらいにしか私の精神攻撃は効かなかったようだ。


「・・・話は終わったようだから行くよ」

「あ、委員長!」


スタスタと応接室に帰っていく委員長の後に続いてその場を後にする。


「なぁ、アーデル。あれでもこの学校乗っとりたい?」

「・・・あの男の下にいなければ問題ないでしょう。心配ないわ、らうじ」

「・・・なんか、大変そうだったね」


至門中の人たちがそんな会話をしていたなんて彼らは知るよしもないだろう。



2012.01.02(月) 17:09


【幸福ロマネスク】
火に油

樋浦「――――!」

宮脇「何!? ひきつったような声出して」

樋浦「ミーちゃ・・・こ、これ・・・」

宮脇「? 何よ。――――うっわ!」

樋浦「どうしよう、お弁当壊れちゃった・・・」

宮脇「なんで壊れんの!? 壊れる要素あった!?」

樋浦「・・・地面に落とした時?」

宮脇「どんだけ脆いのよ」

樋浦「辞書とか入れてたからかなぁ・・・。重圧に耐えきれず・・・?」

宮脇「それより、あんたそのお弁当の中身、何入れたのよ。凄い匂いするわよ」

樋浦「サバ」

宮脇「なんでそんな脂身多くて匂いもキツイもの入れてくるのよ!?」

樋浦「美味しいからいいかなぁって」

宮脇「あ〜あ。鞄の中もサバの匂いしてるじゃない」

樋浦「サランラップに包んでたんだけどね」

宮脇「サランラップにも限界はあるわよ」

樋浦「それにしても、これじゃあ食べれないなぁ」

宮脇「? なんで弁当、2つあるのよ」

樋浦「え? なかったら雲雀さんがお弁当、食べれない・・・よ?」

宮脇「ちょっと待って。あんたが作ってんの?」

樋浦「うん」

宮脇「・・・ずっと、手作り?」

樋浦「う、うん。・・・ミーちゃん?」

宮脇「・・・(あのヤロウ・・・!)」

樋浦「(わぁー! なんか怒ってるー!)」

Dr.シャマル「お、なんだなんだ、愛妻弁当ってヤツか?」

樋浦「えっ!?」

宮脇「!」


(ち、違います! これは、その、約束で・・・)
(!!!)
(あれ? なんかミーちゃん、もっと怒った?)





2011.11.15(火) 17:12


【幸福ロマネスク】
ポッキーの日



樋浦「雲雀さん、よかったらコレ、どうぞ」

雲雀「・・・」

樋浦「・・・(なんだコレ、って思われてそうだなぁ)」

雲雀「今日、何かあった?」

樋浦「えぇっと、特に、何も・・・」

雲雀「ふぅん。君がこういう菓子を持ってるなんて意外だね」

樋浦「・・・女の子ですから」

雲雀「そういう意味じゃないよ。君は校則をきちんと守る方だからね。イベント事以外ではこういう物は持ってないと思ったんだけど」

樋浦「あ」

雲雀「何」

樋浦「ごめんなさい。実はイベント系なんです、ソレ」

雲雀「さっき特にないって言ったじゃない」

樋浦「本当にごめんなさい。てっきり私の心境の変化のことだと思って・・・」

雲雀「まぁ、いいよ。それで、これは何?」

樋浦「ポッキーです」

雲雀「見ればわかるよ」

樋浦「(普通はそこでピンと来るんだけどなぁ。やっぱり雲雀さんって特殊だ)えーっと・・・、ポッキーの日っていうのがあるんですけど」

雲雀「へぇ・・・」

樋浦「(あ、冷めた目つき)ほ、ほら、11月11日! 日付の数字が皆真っ直ぐで、まるでポッキーが並んでいるようでしょう? ですから、ポッキーの日っていうことになったんです。それで、皆、ポッキーをお裾分けしているんです」

雲雀「そう・・・。2月のアレよりマシかな」

樋浦「え?」

雲雀「なんでもないよ。ありがたく受け取っとくよ」

樋浦「ありがとうございます」



――――その後の応接室。

草壁「こ、これは・・・!」

雲雀の机の上に置かれているポッキーを見つけた草壁。

草壁「なぜ、こんなところにチョコが・・・! いや、バレンタインはまだのはず。なんだ、今日は何かあったか?」

(風紀委員はポッキーの日があることを知らないのであった)





2011.03.16(水) 02:09


【幸福ロマネスク】
服装から全ては始まる



樋浦「そういえば、雲雀さんはいつも学ランですね。窮屈ではないんですか?」

雲雀「窮屈な服なんて着るわけないでしょ」

樋浦「……すみません。趣味でしたか」

雲雀「ちょっと。なんでそこで距離を置こうとしてるのさ」

樋浦「ごめんなさい。雲雀さんがお休みの日も学ランなのって、義務だからだとばかり…。ビックリの度合いが結構凄かったんです」

雲雀「まぁ、風紀委員がこの服装に重きは置いてるのは確かだよ。全部一から仕立てさせてるし…」

樋浦「……え? 仕立て…?」

雲雀「長時間着続けるからね。それなりに金は払ってるよ」

樋浦「(えぇ、なんか別次元の人みたい…)高級品だったんですね。……あれ? そのお話でいくと、風紀委員さん全員ですか?」

雲雀「うん」

樋浦「どこからそんなお金が…」

雲雀「……知りたい?」

樋浦「あ、いえっ! ごめんなさい! 深く考えないように努めます」

雲雀「そう」

樋浦「え、と…。それじゃあ、私服は着ないんですか?」

雲雀「私服…? たまには着るけど―――」

樋浦「本当ですか!?」

雲雀「僕にもいろいろあるからね」

樋浦「(なんでそんなに含みがあるんだろう…なんかちょっと怖い)」

雲雀「それがどうかしたの」

樋浦「いえ、一度でいいから雲雀さんの私服姿を見てみたいなぁって、思わないのか!、とミーちゃ…友人に怒られたので、確かに気になるなぁ、と思ったので聞いてみました」

雲雀「へぇ…」

樋浦「私なんて家に帰ったらすぐに私服に着替え直すのになぁ…。そっかぁ。雲雀さんはたまにしか着ないのかぁ…」

雲雀「………」

樋浦「あの、今度私服を着た時、すぐに連絡を頂けませんか?」

雲雀「は? なんで」

樋浦「記念に見たいです」

雲雀「君、転校する予定とかないでしょ。何、記念って」

樋浦「一度でもいいからどうしても見たいという願いから、つい…」

雲雀「君は日本語にも意訳をつけてるわけ。相変わらず奇抜な思考してるね」

樋浦「すみません…」

雲雀「まぁ、考えといてあげるよ」

樋浦「! 本当ですか?」

雲雀「気が向けばね」

樋浦「ありがとうございます!」



〜その頃、陰からの応援者〜


宮脇「おしっ! デートの約束取り付けた! さて、今度は…」

ツナ「あの、もしかして宮脇さんが全部画策してるの?」

リボーン「ツナも見習え」

ツナ「どこを!?」





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