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屑籠

ネタのような違うような。


2012.04.30(月) 05:30
■勿体ないお化け(Fate)



ツイッタでリクエストされた軍パロ夢主とモブの話。









「浮かない顔してるわねー?」


人混みでざわつく、軍施設内の食堂。
整然と並んだ席の端に座り、配給された食事を前にぼうっとしていた自分へ、不意に上から声が落ちた。


「――――軍医殿」


顔を上げれば、テーブルを挟んだ先に立つ白衣をまとった女性。ただでさえ怪我の多い職業の上、暴力沙汰を起こしやすい上司のお陰で自然と顔見知りになった彼女は、その手に持った食事をテーブルに置いて向かいの席へ腰掛けた。


「さっきから見てたけど、食事全然進んでないよ」

「……あ、」


指摘を受けて手元を見ると、始めの一口以降口に運ばれることも無いまま手慰みのようにかき混ぜられ続け、おかずも飯もいっしょくたになってしまった食事が目に入る。調味料が混ざりあい、変な色味を出していた。最早確かめるまでもなく、食べられる味でないことに予想がついた。


「どうかした?」

「ぁ、いえ。これは、その…」


彼女に問い掛けられたものの、自分でも今気づいた事の説明など出来ずとっさに口を突いて出たのは食欲が無いんです、という在り来たりな方便。


「ふーん。具合悪いなら医務室おいでよ?」

「……はい」


それに相槌を打ち、自分を見つめる彼女の瞳に見返せずに、逃げるように俯いた。発した声は虫のごとく掠れて、自分でもよく聞こえない。
黙りこんだ自分を眺めていた彼女は、少しして箸を取って食事を始めた。小さく、食器の音が響き出す。
落ちた沈黙の中で、食堂のざわめきと、食器のぶつかるかちゃかちゃとした音だけがノイズのように鼓膜を揺らす。


「…………」


気まずいというより、合わせる顔が無かった。目の前の彼女は立場以前に隊長の友人で、そんな彼女が、隊長に来たあのふざけた辞令について知らない訳がない。
そしてその、原因も。
申し訳なさと遣るせなさで、顔を上げられなかった。


「――そういえば、ロビンの次の任務だけどさ」

「っ、」


そんな時。
彼女が口にした話題に、びくりと大きく肩が跳ねる。
そんな自分に気付いては居ただろうが、そのまま彼女は話の続きを口にした。


「エミヤの奴、自分にも任務捩じ込んで着いてくんだって。まあ同じく私も着いてくけど」





――一瞬、何と言われたか理解できなかった。

顔を跳ね上げた先、彼女は、笑っている。


「な…んで……っ!」

「優秀な指揮官がなんたら、って言ってたけどほんと素直じゃないお節介だよねぇ。素直に心配だって言えば良いのに。あ、私は普通に希望したら許可が出たわ」

「っ、そうではなく!どうして、貴女やエミヤ大佐まで!!」

「え。何、君もしかしてロビンに1人で突っ込んで来いって?ロビンなら別に問題は無いだろうけど…君って案外大人しい顔して鬼畜?」

「違います!そんなこと思ってません!」

「じゃあどうしたの」

「だから…っ!」


どうして貴女方まで、戦場に行ってしまうんですか。
続く筈の言葉は声にならず、呻き声だけが口から漏れる。

彼女やエミヤ大佐が、隊長を想って任務に名乗りを上げたのは分かっている。軍内一と誉れ高い狙撃主に、腕が良く経験豊富な軍医。彼女らが同行すれば自軍の生存率は上昇し、結果隊長も無事に帰還できる。
そう、彼女らはあくまで隊長のために自ら希望を出したのだ。
しかし、それでも。
彼女たちが同行を決めた隊長が戦場へ送られる原因を作ったのは自分で、ひいては、彼女たちを戦場に行かせてしまう原因も自分となって。
自分のせいで、また2人の人間が命の危険に晒される。
自分が、大事に思う人達ばかりが。

共に死地へ向かうのならばまだマシだった。
身代わりになれる位置に立てるのならばまだ楽だった。
しかし自分は、ここに残るのだ。1人ぬくぬくと、安全地帯に。

唇を噛み締めたせいで、閉じていた傷が開いて再び血が流れ出す。感じる鉄錆び臭い味は、先程より、苦い。


「もしかして、自分のせいだって思ってる?」

「……――はい」


彼女の言葉に、頷く。


「私とエミヤは自分から希望出したんだよ」

「分かっています。しかし、貴女方に希望を出させた原因は、元を辿れば自分にあります。本来なら、自分が送られるべきだというのに…っ」

「ロビンに連れていってもらえない、と。厳しいこと言うけど、彼処は最近抗争が激化してる地域だ。入隊したばっかりの君が行っても死ぬだけだって分かってる?」

「……はい。それでも、ロビン隊長の壁くらいにはなれます。軍医である貴女に、言うことではないかもしれませんが」

「……そっか」


命を粗末にするなと、怒られるだろうか。自分は今、兵を生かす立場の人間に自殺を宣言したようなものだ。彼女らの仕事を侮辱したと取られても仕方がない。
ああでも、思い上がるな、とも言われるかもしれない。新兵ごときが壁にすらなれるか、と。
かたり、と箸を置き食事を止めた彼女は、頬杖をつくと1つ、大きな溜め息を吐いた。


「なーんでロビンばっかり、君みたいな部下に恵まれるかなぁ」


私もエミヤも下の教育に四苦八苦してるっていうのに、と続けて彼女は胡乱気に空を睨む。何か、厭なことでも思い出したのだろうか。
否それよりも、自分が隊長にとって良い部下というのはどういうことか。
入隊してからこっち隊長に迷惑をかけることしか出来ずに、今に至っては友人共々殺しかけている自分を。


「ありえないって顔してるね」

「………」

「まあ、入隊したばっかで部下も後輩も居ないからわかり辛いと思うけど。そうやって、戦場に連れていって貰えないことを不満に思ってる時点で、君はいい部下だ」

「ですがそれは、自分に責任があるからで」

「……全く、君も頑固だねぇ。じゃあ、例えばの話だ。もし仮に、ロビンが戦場に送られる原因が君じゃないとして、君のせいじゃないとして。代わりにお前が着いてこいと言われ――」

「行きます」


即答だった。
思ったより、声が響く。
問いの答えは考えるまでもない。それが隊長の指示であるならば、自分は何処まででもついていく。

真っ直ぐに目を合わせた彼女は、虚を突かれた様子で数度瞬いた。そうして間を開けて、次いで僅かに頬を震わせたかと思うと、ぶはっ、と女性がどうかと言いたくなる程の声を上げ腹を抱えて笑い出す。
突然の笑い声に周囲の視線がこちらを向いた。


「な、何がおかしいんですか!」

「っ――くく、即、答…!ていうか私最後まで言えな、か…っひー…っ!」

「軍医殿、」

「ほんっと、これだっからロビン、の部下は…っぶふ!だめ無理っふ、ぁは、はっはははははははははははは!!」

「軍医殿!!」


自分が真面目に答えたのを笑われて、思わず頭に血が上る。
声を張り上げれば、折角外れていた先程の視線が戻ってきて別の意味で顔が赤くなった。

そして暫くの間笑い転げる彼女を前にして、漸く笑いを収めて貰えた頃には、自分の目が据わっていたのも仕方のないことだろう。


「――っふ、ふふ…!ごめん、ね…っ、君の本気を笑った訳じゃないんだけど」


目に滲んだ涙を拭いて、彼女は切り替えるように深呼吸をした。この際だ、それでもなお肩が震えているのには目を瞑る。


「……それで、何がそんなに面白かったんですか」

「だから、ごめんってば…。そんな拗ねた顔しないでよ」

「してません」

「してる。でも君も悪いんだよー?先輩たちと全く同じこと言うんだから」

「…?先輩と同じこと、とは?」


首を捻った自分に彼女は柔らかく微笑んだ。


「ロビンって、あんな奴でしょ?だからこうやって激戦地に送られるのもこれが初めてじゃないの。まあそれで生きて帰ってくるからアイツの生命力に感心するんだけど………その時置いてかれた子たち全員、これでもかって不満たらたらで」


言われた意味がいまいち分からなかった。置いていかれたことを不満に思うのは、普通のことではないのだろうか。
それが顔に出ていたのだろう、これだからロビンの部下は、という言葉と共に盛大な舌打ちを貰った。


「よーく考えてもみなさいよ。普通、自分から激戦地に行きたいとは思わないでしょう。留守番になったことをラッキーと思いはすれ、不満に思うなんてそうそう無いわよ」

「しかしロビン隊長が行かれるのですから」

「それよ。君、上司が押し付けられた厄介な任務に自分から着いていこう、何で連れていってもらえないんだ、って言ってるの聞いたことある?勿論、自隊は抜きで」

「ぁー…………無い、ですね」


入隊したばかりで知り合いはまだ少ないが、その場合は任務先についての愚痴を溢しているのを見ることが多い。


「つまりはそういうこと。自分には殆ど関連の無い――しかも死ににいくような任務に、ロビンが行くからって理由だけで志願しちゃうのが君たち。上司にとっちゃ、そういう部下が居てくれるっていうだけで凄く有難いものだよ」

「どうしてですか?」

「だって、後ろの心配しなくて良いでしょう?上司のとばっちりを進んで被る部下ばっかりなんだから、怖じ気付いて逃げることはない。安心して背中預けて、前だけ向ける。生きて帰る、って目標にだけ突っ走れる」

「―――」

「だから君は、いい部下だと胸を張って良い。ただ君はまだ新兵で、出来た部下とは言えないから今回は留守番になった、それだけ。いいじゃない、留守番役上等。ロビンが帰ってくるまでにアイツが驚いて引っくり返るくらいに腕上げて、次は連れてけって迎えてやんなさい」



それまでは私やエミヤ、君の先輩たちが無理矢理にでもロビンを引き摺って帰ってきてあげるから。


そう、言葉を締めた彼女に大きく頷きを返す。言葉は出なかった。唇を噛んでいないと、返事以外の、情けない声まで漏れてしまいそうで。


「さ、そうと決まればご飯をちゃんと食べちゃいな。もうあんまり時間無いよ」

「――っ、はい…!」


昼からも訓練が有るのだ。隊長の腰を抜かさないといけないのに、空腹で力が出ないとあっては笑い者だ。
急いで掻き込んだ食事は、かき混ぜていたせいで味が混ざりあって、形容しがたいナニカに変貌してしまっていた。


「まっず……っ」


思わず口を突いてでた言葉に彼女が笑う。
釣られるように自分も笑った。


口内に広がる苦さは、もう気にならなかった。
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2011.10.19(水) 09:04
■マルコ




あの馬鹿が、と。

長い航海の末、久々に上陸した島の、人で溢れ返った雑踏の中。人の壁を隔てた先に、馴染みのある特徴的な髪型を認識して、次いでその隣に見えたもう一つの人影に内心で盛大な舌打ちをした。

「マルコ隊長?」
「……何でもねぇよぃ」

ほんの一瞬、足を止めた俺を不思議に思ってか見上げて来た××へ、そう返事を返して再び足を進める。視界の端にちらつく胸糞悪くなる光景を、××に見えないよう、回り込んでさりげなく視界から隠しながら。腕に抱えた買い出しの食料が入った袋を持ち替えて、少し下の頭を軽く叩けば、××はまだ不思議そうにしながらも最終的に笑って俺の隣に並んだ。

(…俺は何をやってんのかねぃ)

と、思わない事もない。
こうして誤魔化した回数も、そろそろ両の手では足りなくなりそうだ。
一度、この事についてあの馬鹿に文句を言った事があるが、その時は驚いた顔をした後、要らぬ世話だと笑われた。そんなヘマはしねぇ、と。いつも以上に腹の立つニヤケ面で。
だから別に、放っておいて構わないのだ。むしろさっさとバレて別れた方が××の為になるかもしれない。それをこうして阻んでいるのだから、これこそ本当に要らぬ世話だ。

しかし、だけれど、それでも。


「マルコ隊長」
「ん?……あぁ、そろそろ帰るかねぃ」

隣で笑う、最早“弟”に見れなくなってしまったこいつの笑顔が陰るのが見たくなくて、俺はまた要らぬ世話を繰り返すのだろう。




浮気性サッチの恋人に横恋慕。
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2011.10.09(日) 03:54
■サッチのリーゼントをぐしゃり隊



「「「最初はグッ!じゃんけんホイッ!!」」」

「っ、よっしゃああああ!」

「セーフ、マジでセーフ!」

「危ねー!」

「……嘘だろ」

「嘘じゃねぇ、現実を認めろ」

「じゃ、××行ってこいよ」

「調度あそこに居るし」

「いやー、どうなるんすかねー」

「まあでもサッチ隊長だしそこまで酷くなんねぇだろ」

「マルコ隊長だと冗談通じそうにねぇしな」

「大体あの人崩す髪がねぇよ」

「言えてらぁ!」

「……嘘だろぉおおお!?」





「……サッチたいちょー…」

「ん?××どうかしたか?」

「先に謝っときやす」

「はぁ?」

「…………………とりゃ!!」

「っぶ!な、にすん…××テメェええええええ!!!」

「やぁーん!サッチ隊長怒んないでぇ(裏声)」

「そこに直れキモオヤジ!!三枚におろしてやらぁあああ!!」



「ぁー…追いかけっこ始まった」

「あれサッチ隊長本気じゃね?」

「くっそ、××あの野郎大損じゃねぇか」

「ほら、早く2000ベリー寄越せ」

「つまりは××<リーゼントか…」

「先は長ぇな…」

「両方自覚ねぇもんな…」




はよくっつけ。
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2011.10.09(日) 03:40
■赤也妹



テニスなんて嫌い。大っ嫌い。だってテニスを始めてから、お兄ちゃんが私に構ってくれなくなった。前は楽しそうに話を聞いてくれてたのに、今は「疲れた」って挨拶さえしてくれない。
家に帰るのも遅くなって、私の作ったご飯もただ食べるだけ。最後に「おいしい」って聞いたのはいつだったかなんてもう覚えてない。
…それに、怪我だって、数え切れないくらいしてるんだ。毎日手当てする度に傷が増えてる。
何で?どうして?ねえお兄ちゃん、何でテニスなんてやってるの?良いことなんて何一つ無いじゃない。私知ってるんだよ?毎日必死に頑張ってるお兄ちゃんを、毎日怒る恐い人が居るって。
…けど、でもね、分かってるんだ。お兄ちゃんは本当にテニスが好きで好きで好きなんだって。楽しくて仕方ないんだって。
私を誰だと思ってるの?お兄ちゃんの妹だよ?
だからこれは黙っておいてあげる。ご飯だって、美味しいの作ってあげる。だからね、お兄ちゃん。

もうちょっと構ってくれないと、ダメなんだよ。
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2011.10.09(日) 03:34
■丸井


ブンちゃんすき、と笑った幼馴染みに俺もだぜぃ、と笑顔を返す。途端、その瞳に過ぎった落胆の色なんて知るか。“好き”に“好きだ”で返してるのが1人だけだって事に、気付かねぇお前が悪い。


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