【VARIA's Diary2冊目】
〜ある日の記録〜
■リアルタイムで更新中(現在更新停止中です)■
※名前変換機能はありませんので、ヒロインの名前はデフォルトの「葵」となっております。
2021.02.03(水) 22:41
※これまでの『Varia’s Diary』を移動しました。
いつも『勿忘草』をご覧くださり、誠にありがとうございます*
過去に更新してきた『Varia’s Diary』を、広告無し版に移動しました。
→新『Varia’s Diary』
過去ログとなりますが、ヒロイン達の小話をお楽しみいただけましたら幸いです^^
管理人 richt.
2020.09.01(火) 00:00
※サイト移転しました。
いつも『勿忘草』をご覧くださり、誠にありがとうございます。
2020年3月中頃から、これまで使用していたサーバーがダウンし、それ以降ずっと当サイトのトップページが閲覧できない状態が続いておりました。
いつも足をお運びくださっていた皆様、ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありませんでした。
サーバーの復旧を待っておりましたが、その後復旧されず、このたび新しくサイトを移転することに致しました。
本日から、新しい『勿忘草』で再スタートさせていただきます。
ゆっくりペースでの更新となりますが、今後もご覧いただけましたら幸いです^^
どうぞよろしくお願い致します。
※リアルタイム小話の『Varia’s Diary』は、現在更新を休止させていただいております。
過去ログのみとなりますが、ご覧いただけましたら幸いです。
管理人 richt.
2020.03.21(土) 23:42
※サーバーエラーのお知らせ
ただ今、サーバーエラーのためサイトのトップページ及び一部ページが表示されない状況となっております。
大変申し訳ありません。
復旧次第、更新を再開させていただくか、万が一復旧しない場合は新しくトップページを作成し、こちらでご案内させていただきます。
このVaria’s Diaryは引き続き更新させていただきますので、ぜひご覧いただけましたら幸いです^^
どうぞよろしくお願い致します。
管理人 richt.
2020.02.22(土) 13:15
「ニャー」
「・・・!
猫っ!」
ぽかぽかと日差しが暖かい、屋敷のバルコニー。
あたしの部屋の前のその場所でぼへっとしていたら、不意に聴こえた鳴き声の先に猫がいた。
ここは屋敷の3階にあるから、広いヴァリアーの庭が見渡せる。
今年は雪が少なくて、銀世界ではない景色に、手足が白い黒猫の姿。
前のバレンタインの時、あたしが唯一成功させたチョコレートケーキを危うく盗られそうになった相手だ。
あの時は思いっきり喧嘩しちゃったけど・・・元々この庭に棲みついているらしいその猫は、変わらず悠々と暮らしてる。
「へぇ・・・敷地内に猫が居るんだ」
意外そうに言葉を漏らしたのは。
あたしの隣でその手に湯気の立つカップを持ちながら、バルコニーの手すり越しに庭の猫を見つめているツナ。
そうなのです。
今日は珍しくお昼過ぎにツナが遊びに来てくれて、バルコニーに現れた彼がお土産に持って来てくれた良い香りのする紅茶を手に、暫しまったりと二人でお茶をしています。
庭をうろうろパトロールしている猫をじっと眺めていたツナは、おもむろに口を開いて。
「そういえば、日本には“猫の日”っていうのがあるんだ」
「猫の日?」
「うん。2月22日」
2月22日?
それでどうして“猫の日”なんだろう・・・?
と小首を傾げたあたしは。
「・・・あ、そっか!
にゃーにゃーにゃーだ!」
と、思わず声を上げていた。
「・・・!」
「ね、ツナ!
にゃーにゃーにゃーだよねっ!」
まるで謎が解けたような喜びに、ぐるんっとツナの方を見て嬉しくなって伝えれば。
ツナはなぜか、目を丸くしてあたしを見ていて。
「・・・っ」
急にさっとあたしから目を逸らすと、そのまま向こうを向いてしまった。
「え?・・・ツナ?」
「・・・っ、ほんと、君って・・・!」
肩をぷるぷるさせて。
あれ?ツナ・・・笑ってる?
頭に疑問符を浮かべて小首を傾げれば、そんなあたしをチラリと見てツナはまた小さく笑って。
薄茶のその目を優しく細めた。
「ほんと・・・可愛い子猫みたいだよね」
2020.02.14(金) 20:39
今日はバレンタインデー。
この世界に来てから何回か経験して、今ではすっかりその内容を理解したあたし。
だから今年も頑張って、手作りのチョコレートのお菓子を作ろうとしたけれど・・・。
「・・・まさかの全滅」
「・・・・・・ええ、全滅ね」
お菓子作りの師匠であるルッスも遠い目で呟くほどの、キッチンの惨状。
残っているのは黒コゲのお菓子の残骸と・・・数枚残っている板のままのチョコレート。
通称“板チョコ”だけだった。
まさかの惨敗に、煤まみれのキッチンに膝をついて項垂れるあたし。
そんなあたしの肩をぽん、と叩いて。
煤まみれの顔のサングラスの向こうから涙の筋を流しながら・・・ルッスはあたしの手に“板チョコ”を握らせた。
「やむを得ないわ・・・葵!
ボスにこの“板チョコ”を持って行くのよ!」
「えぇっ!?」
しかも「その格好で行くの!顔も洗っちゃダメよ!!」と鬼気迫る勢いで押されて、慌ててルッスの部屋から飛び出したあたし。
赤いパッケージの“板チョコ”を手に、訳がわからないままザンザスの部屋へと走る。
・・・ええいもうどうにでも成ればいい!!
スパァン!!
「ザンザスっ!!」
思い切り押し上げたザンザスの部屋の扉、そのままあたしは部屋の中へと飛び込む。
相変わらずデスク以外は明かりが消えた暗い部屋の中仕事をしていたザンザスの元へ、一気に駆け寄って。
「ザンザスこれ・・・っバレンタインの、チョコ・・・!!」
目を丸くしてこちらを見上げたザンザスの前に、赤い“板チョコ”を差し出した。
「・・・・・・」
ザンザスはちらりと“板チョコ”を見るなり、またあたしを見上げる。
変わらずその紅い瞳で、じっと。
・・・うう、やっぱり“板チョコ”じゃ・・・ダメかな?
ぷるぷると震える指先で。
“板チョコ”を差し出したままあたしは泣き出したくなる。
不意に。
クッと、ザンザスが笑って。
あたしが目を見開いた時には、君はあたしの手から“板チョコ”を受け取っていた。
「・・・っ」
「顔」
「え?」
「真っ黒だぞ」
・・・!!
言われてあたしはカッと頬が熱くなる。
慌てて顔を拭おうと手を引っ込めれば、その前に掴まれた手。
ザンザスは、あたしの手をぎゅっと握って。
そのままゆっくりと手の甲に口付ける。
「え!?あの、ザンザス・・・っ」
「・・・礼だ」
礼っ、て・・・その“板チョコ”の?
戸惑うあたしを知ってか知らずか。
ザンザスは私の手の甲を見つめたまま、ぽつりと囁いた。
「・・・また、こんなに煤だらけになるまで菓子を作ろうとしやがったのか」
と。
とても嬉しそうな、声で。
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