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Long Novel




あのとき、僕は必死だった。

どうしてあのときお前を助けたのか、僕にも正直わからない。気がついたら体が勝手に動いていた。

そう、勝手に体が動いていたんだ。




あの日、現場に潜入して僕がデータを入手し、チルドレンを呼ぶときまでは良かった。


予想より早く敵に察知されるのに加えて、予想外のパンドラの介入。


やはり、エスパーが悪用されるとあらばパンドラも黙ってはいられなかったんだろう。
彼らは奴らに報復をしに来たようだった。


そこで僕は見てしまった。


あの兵部が撃たれるのを。



能力で体を支えていられなくなって地面に落下した兵部をさらに狙おうとする敵の姿が目に映って……






僕はいつの間にか兵部の前に飛び出していた。






「ふっ。君に助けられるとは、僕も落ちぶれたものだな」



「あのときは仕方なかっただろ。お前出血が酷かったんだし。あれ以上攻撃をくらったら…」



¨死んでしまう¨



そう。僕はとっさにそう思った。だから行動したんだ。



助けたくて。



「そうして君が今の状況な訳だ?」



「うっ……」



確かに、代わりに撃たれて僕は気を失ったんだった。



「……あれからどうなったのか、知りたいんだろ?」



兵部はあの後どうなったか話してくれた。



誘拐されていたエスパーたちはバベルが保護し、武装勢力はパンドラが一掃。チルドレンたちは無事バベルに帰還したらしい。

いや、正確には帰還させられたのだろう。

彼女たちのことだ。残って僕を捜そうとしたに違いない。だが、パンドラの攻撃で施設に誘爆が生じ、爆発寸前だったあの状況では、留まることすら困難だっただろう。


今頃、バベルは僕のことを捜しているのだろうか…?



「ああ、君のこと必死に探し回っているようだよ。特に彼女たちが」



…また勝手に読んだな?



そう言ってやりたかったが、欲しい情報を出してくれている兵部にあまりにも失礼だと思い、言うのを抑える。


バベルが僕を捜してくれていると聞いて、なんとなく心が和らいだ気がした。


僕を心配して捜してくれているのなら、早く戻らなければ。これ以上心配をかけるわけにはいかない。



「おい、その体ではまだ動くのは無理だとさっき言っただろう?」



無理に起きあがろうとした僕を、兵部はベッドへと押し戻した。



「それに、そんな体で戻ったところで彼女たちに余計心配をさせるだけさ。しばらくここで傷を癒すといい」




食欲があるのなら、何か食べるものを持ってこさせるよ。

そう言って部屋を出て行こうとする兵部に、ずっと思っていたことを口にした。



「ま、待ってくれ兵部。ここはどこなんだ!どうしてエスパーでもない僕にここまでする?」


「ここは、パンドラの住処とでも言っておくよ。君を助けるのは…さて、どうしてだろうね」



僕の胸に気になる言葉を残して、兵部の姿は部屋からかき消えた。





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