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パロ
ずっといっしょ 2(柔勝)


≪柔造side≫



東京駅まで迎えに行けば、緊張した面持ちで待ち合わせ場所に立っていた。
俺の姿を見つけると、安心したのか笑みを零す。

ああ、やっぱりいつまで経っても可愛らしい。

これがデートの待ち合わせやとか、それこそ同棲生活のスタートやとか言うんやったらどれだけ幸せな瞬間だろうか。

「お久しぶりです」

「お世話になります」

そう言って、ぺこりと頭を下げる。

「なんや他人行儀な挨拶やめてくださいよ」

「せやて・・・・なんか会うの久しぶりやし、なんかいつもと服装も違うし、別人みたいやから・・・」

久しぶり・・・。
そう、俺は東京に出てきてからは盆と正月くらいしか京都には戻ってない。
それも2〜3日ばかりの短い期間だけ。

「そんな寂しい事言わんといてください」

「堪忍な」

「ほな行きましょか」


家に着いて、用意していた坊の部屋へと案内すると、予想通りに驚いてくれた。
坊がこちらの生活が快適に暮らせるようにと、一応それなりに一式揃えたつもりだ。

もしかしたら大分好みも変わってしまったかもしれないが、それなりに坊が気に入るであろう家具を揃えた。

驚きつつ、謙遜しつつも、はにかみながら礼を言ってくれた。

こんなところが可愛くて、愛しくて仕方ない。
抱き締めたくなるのを堪え、話を逸らした。


初めからこんなんやと、ホンマどないしたらええんやろか。
先が思いやられて仕方なかった。




***



歓迎会やと称し、近くで美味しいと評判のレストランへと連れて行ってあげた。
京都とは違う雰囲気に飲まれながらも、美味しいと喜んでくれた。

坊が喜んでくれるなら、俺はどんな事だってしてあげたい。
坊の喜ぶ顔が大好きなのだから。



それからまた家に戻り、風呂を勧めた。

「使い方は・・・分かりますか?」

「おん。大体分かる。先に入ってええのん?」

「疲れてはるでしょ?ゆっくり温もってきてください」

「おおきに」


暫くすると、ガチャリと音がして、坊が出てきた。
振り返って、その姿にぎょっとする。

「坊!!!なんて格好で出てきてるんですかっ!!!」

「・・・着替え・・・持って行くのん忘れとってん」

タオルを腰に巻いたまま、まだしっとりと濡れた髪、ほんのりと色づく肌、まだ年若い肌は遠目に見てもしっとりと潤っているのが分かる。


目の毒や・・・・。


「服取って来ますから、動かんとってください」

「・・・すまん・・・」

なるべく坊の方を見ないように、坊の部屋へと行き、荷物の中から適当に服と下着を手に取り渡す。

「これ、あっちで着てきてください」

「おん」

「あんまそないな格好でウロウロしはったらあきませんよ。風邪引きます」

「せやて、湯上りは暑いで?」

「あきません!」

「・・・心配しすぎや」

ポツリと小さく可愛らしい文句を呟いて、脱衣所へと戻って行った。

心配とかそんなんちゃう。
俺が持たんねや。

あんなん見せられたら喰らいつきたくなるし、触りたなって仕方ない。
鍛えてはるからか、無駄な肉のないしっかりと均整の取れた体つき。
手にしっとりと馴染むような肌。

ああ、もう、アカン!!アカン!!アカン!!
消えろっ!消えろっ!消えろっ!!!



何のために3年間も離れて過ごしとったんや。
自分の気持ち落ち着かせるためやろ?!

せやのに、まるで思春期かのように、高鳴る鼓動。
落ち着け。落ち着け。落ち着け。

手は出したらアカンのや。

やっぱり耐え切れへん・・・・。
思ってたより、自分の気持ちが重症であったことに今更ながら気が付いた。



「柔造?」

「うわっ!!!」

「?!どないしたん?」

「あ・・・すんません、考え事してました」

「そうか・・・」

「あ、また髪もこんなに濡れっぱなしで」

「ええよ、すぐ乾く」

「あきません。ここ座ってください」

「ええって」

嫌がる坊を半ば強制的に椅子へと座らせ、首にかかったタオルを取って髪を拭いてやる。

「もう、子供ちゃうんやで」

「柔造にとったらまだまだ子供です」

「10しか離れてへんやん」

「10も離れとったら十分です」

「ほんなら柔造は俺のことずっと子ども扱いなんか?」

「そうですねぇ・・・大人になっても可愛いて、可愛いて仕方ないかもしれませんね」

「可愛いってなんやねん。もう、俺かなり大きなったんやで?」

「体格やとかそんなん関係あらしまへん。坊は坊ですから」

「なんや分からん」

「分からんでもいいです」

「ふぅん・・・」

ゆっくりと柔らかな髪を拭きあげ、昔と変わらない髪の感触に懐かしむ。
小さい頃からずっとこうやって拭いてきてあげたんやなぁ、なんて思うと、それはとても長い年月のような気がした。

「なぁ、柔造」

「なんです?」

「俺、髪染めようかと思うんやけど・・・アカンやろか?」

「風紀には引っかかれへんのですか?」

「なんか髪形はどうでもええみたい」

「せやったら、別にええんとちゃいますか?」

「後な、ピアスもしたい」

「せっかくの綺麗な体にわざわざ傷付けんでもええんちゃいます?」

「アカンかな?」

「柔造はお勧めしませんねぇ」

「ほんなら止めとく」

「髪染めるんやったら、ええ、店知ってますわ」

「ホンマ?!」

そう言って俺を見上げた顔は、めっちゃキラキラしてた。

アカン・・・・・
やっぱり限界や。


「・・・・・・また教えてあげますね」

「おん!」

まさか1日で限界を感じるやなんて思いもせんかった。

打開策を考えねばなるまいて。

さて、どないしよか。





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