[携帯モード] [URL送信]

パロ
ずっといっしょ 28(柔勝)



≪勝呂side≫



柔造が俺自身に直接触れたあの日から、リビングに貼られたカレンダーに3日毎に印が付けられた。

「なぁ・・・それ、書かんでもええんとちゃうん?なんやめっちゃ恥ずかしいんやけど」

「別に書かんでもええですけど、柔造はよう覚えとれませんので、うっかり毎日してしまうかもしれませんえ?」

「っ・・・それは・・・困る・・・」

「ほならやっぱり印付けとかんと」

そう言って、じゅうぞうはニコニコしながらカレンダーにきっちりハートマークを付けていく。

ハートて・・・・。
そんなん・・・、余計恥ずかしいやないか・・・・。

とりあえず1ヶ月間はきっちり印が付けられた。

何の印かって?
その・・・アレに慣れる為に・・・そう言うことをする日やって・・・。

ホンマごっつ恥ずかしい。

あの日、人工的に初めて欲を吐き出すことを覚えた日、余りのガチガチ具合に慣れた方が良いと言われた。

まぁ、そりゃな、自分で擦ることすらしてへんとか、達しただけで泣いてまうやとか、そりゃ男して情けなくて、阿呆みたいな話やと思うけど・・・・。

最初は「毎日しますか?」なんて言われたが、そんなん絶対身が持たん。
「ほんなら二日おき?」なんて聞かれても、いや、それかて無理や。
「じゃぁ、三日。これ以上は無理です」・・・・そないな事言われても・・・・。

せやけど自分でもあんな事が怖くて、体が強張って、泣いてしまうほど慣れてないことがどんなに情けないことかくらい分かってる。
それが健全な男子高生の不自然な姿だって言うことくらい分かる。


せやから、三日おきと言った柔造の言葉に、仕方なく小さく頷いた。

その結果がこのカレンダーの印や。

印が付いた日になる度にベッドに入る事に一々心臓が高鳴る。

回を重ねる毎に柔造が触れるところが自然と熱くなる。
ただ俺の肌に触れるだけなのに、何故か体中がゾクリとするのだ。

別にそんな敏感なところを触っているわけでもないのに。

柔造の手にはなんや変な電波でも走ってるんやないか?と思うほどに。

そんなだからもちろん、敏感なところを触ればあり得ないほどにゾクリと震え上がる。

こんなん慣れるどころの話やないっ!

それどころか、余計に何も分からんくなってくる。
なんでやっ!

体が強張って、震え上がって、柔造の体に必死になってしがみ付く。
恐怖はなくなったけれど、何故か涙が零れ落ちる。
変に高い声が出る。
体中が熱くなる。

最初よりどんどん酷くなっていってる気がする。

なのに、柔造は至極満悦そうに、俺を見ては「それでええんですよ」と、にこりと微笑む。

頭が真っ白になって、涙をボロボロ零して、情けないくらいにブルブルと震え上がって達しても、柔造は俺の額に優しくキスをして、頭を撫でる。

震える声で名を呼べば、とろけそうな笑みを作って、俺の名を呼んで好きだと言ってくれる。

まるで呪文のように、うっとりとする声で。

そんな声を聞くと、疲れた体は自然に眠りへと落ちていく。

そう、俺はきっと柔造にすごく甘えていたに違いない。
その優しさに、その微笑みに。


本来こう言う行為と言うのは、お互いが気持ち良くなるもの。

そう言うことをすっかり失念していた。
自分の事でいっぱいいっぱいで。

考えてみればいつも俺ばかりを気持ち良くしてくれて、俺は柔造の事まで頭が回ることはなかった。
柔造だって男なのだから、自分だって気持ち良くなりたいと思っていたに違いない。
なのにそう言うことに関して情けないくらい疎い俺は、何も気付くことは出来なかった。

きっとこんな俺を柔造は面倒臭いとでも思っていたに違いないだろう。

けれど、慣れない限り先には進めないのだから、仕方なく俺の事を手伝っていたに違いないのだ。

俺は体の関係の事なんて全くと言って良いほど無知で、世間知らずで、奥手で。


だからあの時・・・・



あの公園で女性とキスをしていた柔造を見た時、ストンと答えが頭の中に落ちた。


図書室で勉強をしていて少し遅くなった学校の帰り、寄った大通りに立ち並ぶ店の前で柔造を見つけた。
女性と二人で居た。

仕事終わりだったのだろう。
何を思ったのか俺は、声もかけずに二人の後を付けてしまったのがいけなかった。

今考えればあの時素直に家に帰っていれば良かったのだ。
そうすれば気が付かずに済んだのに。
ただの同僚の女性だろうと思う事だって出来たのに。


着いた先の公園の死角で、キスをした。
柔造から真剣な表情で彼女に口付けたのだ。

全て見える位置に居てしまった自分に苦笑する。


そう、頭の中に落ちた答えは、


他に付き合うてる人がおったんや・・・・と。
他に体を繋げるような人がおったんやと。


だから、俺の相手やってあんなまどろっこしい事なのに、ずっと付き合うてられるんやと。

俺が柔造の相手せぇへんかっても、他の・・・この今正に目の前にいる彼女が柔造の相手をしてやってるんや。

きっと、男と女は別の次元のもんなんや。
せやから別に俺と付き合ってても、やっぱり女は別なんやと。


例えばアレや、ご飯は何が好き?麺類は何が好き?みたいに食うって事は同じでも、種類が違えば1番は何種類でもあるって事なんや。

そうか・・・そう言うことなんやな。



答えは直ぐに出たのに、脳天から刺さるような衝撃は拭えなかった。


導き出された答えとは裏腹に、何故こんな所で女とキスなんてしてるんや?
俺だけやなかったんか?

もしかして彼女とはまだ別れてなかったんか?

これは浮気なんか?
二股なんか?
それとも俺とは単なる気まぐれやったんか?
やっぱりからかってたんか?
両方ともが本命だったとでも言うのか?
やっぱり付き合ってみたはいいけれど、俺の余りの子供っぽさに飽きてきたのか?
こんな子供とより、大人の恋愛の方が楽しめるから?


頭の中でぐるぐると疑問が駆け巡る。




考えれば考えるほど、ガンガンと頭が痛くなる。

訳が分からなくなって、ふらつく足取りで元来た道を戻った。

それから近場のファーストフード店を見つけると、とりあえず落ち着こうと中へと入ったのだった。






[*前へ][次へ#]

29/45ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!