パロ
ずっといっしょ 22(柔勝)
≪勝呂side≫
柔造が俺を好きだと言った。
俺も柔造が好きだ。
つまりは両思い。
と言うことはこれからは恋人と言うことになるんだろうか?
そんな事を考えながら、いつもの通学路を歩いた。
恋人って何するんやろうか?
まず・・・キスはするんやろな。
せや、柔造はキスが凄い好きそうや。
今朝かて、もっとしたそうやったやもんな。
キス・・・はいっぱいするもんなやろ。
別に嫌やないし、それはええか。
キスの次は・・・
やっぱり・・・・エッチな事とかすんのんか・・・・
アカン・・・
俺にはまだまだ無理や思う。
昨夜は勢いで『何しても良い』なんて言ってしもたけれど、やっぱり、順序立ては必要やと思う。
やから・・・
まだ当分それは我慢してもらってもええやろか?
ほんなら恋人って何するんやろ?
昨日までは同居やったけど、今日からはやっぱり同棲になるんやろか?
同棲って何や?
一体何するんやろ・・・・。
分からん・・・・。
せや、奥村君やったら分かるやろか?
きっと俺よりもそう言うことには詳しいはずや。
聞いてみようと、俺は意を決した。
**
「え?同棲?」
「おん・・・同棲」
「え?!なに?!勝呂って彼女と住んでんの?!」
「ちゃ、ちゃうわ!た・・・例えばの話しやっ!例えばのっ!!」
昼休み。
いつものように奥村兄弟と弁当を広げながら、俺は朝から考え続けていた疑問をぶつけてみた。
ホンマは奥村君だけに聞きたかったんやけど、なかなか今日は合う時間がなくて、結局兄弟二人揃ってる時にしか話が出来んかった。
奥村は俺の今の状況を全く知らんから、敢えて俺の話題じゃないようにして振る。
「た・・・例えば、お前が誰かと同棲したらどないするんかなぁ・・・って」
「同棲なぁ・・・・」
もぐもぐと口におかずを放り込みながら、奥村はう〜んと考え込んだ。
「ん〜〜〜やっぱり、俺の作った手料理をいっぱい食わせてやりてぇな!」
「・・・俺、料理出来へん・・・」
「え?」
「いや、なんもない!!」
そうか、料理か・・・・。
いつも柔造に作ってもらってばっかりやけど、俺もやっぱり覚えなアカンねやろかなぁ。
「ほんであれだよ!」
「なんや?」
「ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?ってやつ!!!」
「は?!」
「これ憧れじゃね?」
「そうなんか?」
「まぁ、言われれば定番だけど楽しいかも」
「ええっ!?」
奥村だけが言うんやったらまだしも、奥村君までもが頷いた。
なんや、それってやっぱり憧れなんか?!
そんなんしたら皆喜ぶんか?!
は・・・恥ずかしすぎるやろっ!!!
「あとはやっぱりお帰りのちゅーとかなぁ」
「おかえりの・・・ちゅー・・・・」
「玄関開けてただいまーって言ったら、彼女がバタバタ出てきて「おかえりなさい」ってちゅーされたらたまらなくね?」
「そ・・・・そうなんか?!」
「うん。それもありだね」
うんうんと、大きく頷いてる奥村君。
え、そんなんやっぱり恥ずかしいやろ?
柔造が帰ってきたら、おかえり言うてキスするんか?!
まぁ・・・でも、きっと柔造はキス好きやから喜ぶんやろなぁ・・・。
「あとはぁ・・・なんだろ?」
「僕は一緒にお風呂が良いな」
「えっ!」
そう言ってにこりと奥村君は笑った。
「それも捨てがたいよなぁ」
「お風呂って・・・・恥ずかしないん?」
「ん〜ちょっと恥ずかしいけど、その恥ずかしそうにしてるのが堪らなくね?!」
「ええっ!」
「うん。恥ずかしいそうにするのがいいんだよね。逆におおっぴらにされちゃったら引いちゃうかも」
「そう・・・なんか・・・」
柔造と風呂・・・。
狭い・・・・やろ・・・。
大の男二人で狭い風呂入って楽しいんやろか?
そりゃ昔は一緒に風呂入ってたけど。
銭湯やったらありやけど、あないな家の小さい風呂で一緒に入るんは・・・・やっぱり恥ずかしいと思うけど、この恥ずかしい思うんが大事なんか?!
ううん・・・・。
「風呂上りはリラックスで膝枕とか!」
「膝枕・・・」
「やっぱり夢だよなぁ。膝枕」
「膝枕して、髪とか触られるとドキってするよね」
膝枕・・・。
まぁ、これはいける。
それくらいやったら恥ずかしくない。うん。
「一緒にホラー映画もよくね?」
「ああ、それ良いよね。怖がってるのを後ろからぎゅって抱き締めてあげたりとか」
「俺、ホラー映画怖いないしなぁ・・・・」
「え?」
「あ、いや、なんもない!!!」
ホラーじゃなくても映画か・・・。
まぁ、テレビもありか。
後ろから・・・抱き締められて・・・・見るんか?!
かぁぁぁぁっっと顔が熱くなる。
「勝呂、お前想像しすぎ」
ケラケラっと笑って奥村がこっちを見てる。
「あっアホ!!そんなんとちゃうわ!!」
それを見て今度は奥村君もくすくす笑って、
「まぁ、でも後ろから抱き締めるのはありだよね」
なんてホワンと言い放った。
「そうか・・・」
「で、あとはやっぱり一緒に寝る!!!」
「やっぱり一緒に寝た方がええんか・・・・」
「えーだって、ぎゅってして寝たいじゃん!」
「うん。恋人の匂いとか感じてぎゅって抱き締めて寝たいよね」
「抱き締めるだけ?」
「まぁ・・・俺はまだ抱き締めるだけで良いなぁ」
「そうなん?」
「だってなんか温かそうだし、良く寝れそう」
「抱き枕みたいやんか」
「ん〜・・・・俺はそれで良いかなぁ」
「そうか・・・分かった」
大体のことは分かった。
やけど、やっぱり大概が恥ずかしい事ばっかりやないかっ!!!
どうしよ・・・・。
けど、きっと今話してたような事したら、柔造は喜ぶんかも知れん。
せやったら、ちょっとだけやってみようかな・・・・。
「よし・・・っ・・」
と、俺は意気込んで弁当の残りを腹の中に掻き入れた。
家に帰って、まずは「おかえりなさい」から始めてみよう!!
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