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パロ
ずっといっしょ 17(柔勝)微△?


≪勝呂side≫




最初、柔造が言うてる事の意味がよう理解出来へんかった。

「好きで好きで、愛しくて仕方ないからです」

そう言って、柔造は俺をじっと真っ直ぐに見詰めた。

これはどう言う意味やろうか?

好きってどう言う事?
愛しいって・・・・俺が?

兄として?
身内として?
幼馴染として?
親みたいな感じで?

何が一体どう俺を好きだと言うんや?
キスの相手をしたい好きって・・・なに?


「やって・・・俺・・・男やで?」

「もちろん知ってます」

そう言って、柔造はふわりと笑う。

「10も年が違うんやで?」

「そうですねぇ」

「もう、子供とちゃうんやで?こないに大きなってしまったんやで?」

子供が好きな柔造が、子供の頃の俺を好きやって言うんならそれは分かる。
あの頃はホンマにたくさんたくさん可愛がってもらった。
正にあの頃こそ、愛しいと思われていたと感じ取れる程に。

「ホンマに、こないに大きなってしまいはって」

そう言って、すっと俺の頬を手の平で撫ぜた。

「ホンマに俺のことが好きなん?」

「はい。ずっとずっと、好きでした」

「やって、彼女おるやん?」

「それは・・・まさか坊にこうやって想いを伝えられる日が来るやなんて思ってもみませんでしたし・・・」

「彼女のこと好きちゃうのんか?」

「それは・・・坊と比べたら・・・」

そう言って、困ったような笑いを浮かべた。

何や複雑な心境や。
彼女よりも好きやと言われて嬉しいような、彼女さんに申し訳ないような・・・。

「坊は・・・」

「え?」

「坊は、柔造の事どない思てますんや?」

そうや。俺かて同じやないか。
こんな風にまさか柔造に想いを伝えられる日が来るやなんて思いもせんかった。

男の俺が、年も離れた俺が、柔造に好きやなんて言えるわけなどないと思っていた。
それこそ、ずっとずっと胸に隠していようと思っていたのに。



俺かて、ずっとずっと、柔造が好きやった。



「なぁ、柔造」

「はい?」

「俺のことからかってるんやない?」

「もちろん」

「ホンマに俺のこと好き?」

「はい。ずっとずっと好きでした」

「俺と・・・キスしても気持ち悪ない?」

「はい」

「俺が柔造に抱きついてもきしょいとか言わへん?」

「むしろ抱き締めたいです」

そんな事をにこりと微笑んで言われると、頬がかぁっと赤くなる。

「俺と一緒に居たいって思う?」

「もちろん、ずっと。ここが二人で仲良うに暮らせる場所やったらどんなに幸せかとずっと思てました」

心臓がドクンドクンと高鳴っていく。

ホンマにホンマに柔造の気持ちが嘘やないって言うんやったら、俺の気持ちも言うてええの?
そんな夢のような現実があってもいいのか?

「柔造・・・」

「はい」

柔造の腕をグイと掴んで引き寄せ、抱き締めた。

「俺も・・・・好き・・・・や」

「坊・・・!」

ぎゅうと柔造の体を抱き締める。
恥ずかしくて、きっと顔は真っ赤に違いないから、このまま離されへん。

やけど、耳元で柔造がいつもよりもっと低く優しく響く声で、

「キス・・・してもええですか?」

って聞くから、そっと体を離して、柔造の目を見て、

「ええよ・・・」

と、答えた。

それから、目をぎゅって瞑ると、一瞬の間があって、ふわりと唇に柔造の唇が触れた。



俺の初めてのキス・・・・。



まさか本当に大好きな人と出来るやなんて。
夢ではなく、現実にこうやって出来るやなんて。
昨夜から何度、あの夢が現実ならばと思ったことか。
こんなに嬉しいことなどない。


そう、この時は思った。


けれど、その後のことは夢にも思わぬ出来事だった。
と言うか、俺はまさかそんな展開になるだなんて、一度たりとも考えたことなどなかったのだ。


ふわりふわりと何度か触れる唇に、くすぐったくなって、もう良いかと目を開けた。


キスってのは唇を合わせて、それで、それだけで終わりだと思っていたから。

目の前の柔造の顔はいつにも増して、男前で、色香が漂っていて、こんな柔造を見たことがない。
思わず名を呼んでみようとした矢先、

「じゅ・・・っ!!!!」

再び唇を塞がれた。
今度は喰らい付くように、唇を食まれる。

「んっ・・・・!!」

そうかと思うと、口の中に柔造の舌がぬるりと滑り込んできた。
そして、上顎をくすぐる様に舐められ、舌と舌を絡めていく。

「んっ・・んぅっ!!」

感じた事のない感触に、体中にぶわっと寒気が走った。

(なんや・・・これっ?!)

それでも柔造の舌は俺の口内で暴れて、舌を追いかけて絡ませ、更にはちゅぅと舌を吸われた。

「はぁっ・・・んぅ・・・」

だんだん力が抜けていく。

(なんや?!これ?!キスって、こんなんなんか?!)

だんだん空気が薄くなり、頭がホワンとしてくる。
息が上手く出来ない。

舌と舌を絡ませたまま口を開いて、ゆっくりと唇が離されていく。
唾液が糸を引き、ぷつりと切れた。

(アカン、頭がほわほわする)

そう思いながら柔造を見上げると、いつもの柔造やなかった。


目の色が何や違う。


例えるならば獰猛な獣のような、獲物を捕らえたそれ。
舌なめずりをして、俺を見るようなそんな視線に一瞬ビクリとする。


「じゅう・・・ぞ?」


それから、今度は柔造は俺の首筋に顔を埋め、首に舌を這わせ、唇を当てた。

「っ!!!やっ・・・・」

ちくりとした感触と共に、ちゅっと、首やら肩口やら鎖骨やらを何度も何度も吸い上げられる。

「やめっ・・・・じゅ・・ぞっ・・・」

いつの間にかソファに押し倒されて、柔造は俺の上に乗り上げていた。

違う。
これは何かが違う。

俺の思い描いていたそれやない。


体が恐怖心で強張っていく。

シャツの中に柔造の手がするりと滑り込み、俺の脇腹をなぞる。

「っ・・・!!」

そのまま滑るように手は移動し、俺の胸元辺りに来ると、あろう事か俺の乳首を弄りだした。

「んっ!!あ・・・かん・・・っ」

指先が俺の乳首を捏ね、押し潰し、爪でかりっと引っかく。
奇妙な感覚にビクリビクリと体が跳ね上がる。

「あっ・・・ひっ!い・・・ややっ!!」


違う。
違う。

俺はこんなん望んでたんとちゃう!!


嫌や。
嫌や。
嫌や。


「やめっ・・・っ!!」

ぐっと柔造の体を押してもびくともしない。

なんて力やっ!

せやけど、こんなん・・・



嫌やっ!!!!




そう思い、思わず柔造の鳩尾に膝蹴りを食らわしてしまった。


「ぐっ!!!!ぼ・・・・・んっ・・・・?!」

「嫌やって言うてるやろっ!!!阿呆っ!!!!!」


ぐっと腹を押さえて、柔造がソファの下にどさりと落ちた。

アカン、感極まって涙が溢れてきてしもた。
ゆらりと視界が揺らんで行く。


「柔造の阿呆!!!嫌や言うてるんがなんで分からんのやっ!!!」

「っ・・ぼ・・・ん」

腹を押さえたまま、柔造が俺を見上げた。
さっきまでの獣の様なオーラは消え、真っ青な顔をして。

そのまま俺はがばっと立ち上がり、少しふらつく体をなんとか倒れないように動かし、自室へと戻る。


「ぼ・・・坊!!!」

「柔造なんか嫌いやっ!!!阿呆!!!」


そう言って、ぴしゃりとドアを閉めた。


「ぼ・・坊っ!!坊っ!堪忍です!!!すみません!!坊!!坊!!!堪忍ですっ!!!ぼん〜〜〜っ!!!」




俺はそのままベッドの中に潜り込み、布団を頭まですっぽり被ると、そのまま朝まで出ることはなかった。


俺のファーストキスの結末は予想だにしていない展開で終わった。






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