パロ
ずっといっしょ 11(柔勝)
≪勝呂side≫
それからうろうろと館内を回り、色んなショップを見て回ったり、約束どおりテレビで良く見るあの場所へ行ってみたり。
限定グッズなんてあるのか、などと物色してると隣にいた女がこう言った。
「これお揃いで買おうよぅ」
側にいた男が、
「じゃ俺はこれ!」
なんて会話してるのが耳に入った。
お揃い・・・・か。
いやいやいや。
男と女がお揃いで持つのはええかも知れんけど、男同士とかやったらきしょいやろ。
せやけど・・・・・・。
分からへんかったら、それもありか?
俺がこっそり持っといて、柔造にお土産として渡してあげるとか!今日のお礼とかって言って!
・・・・・きしょいか?俺。
目の前にあるシンプルな根付ストラップ。
これやったら柔造の携帯に付いててもおかしない?
ってかつけるやろか?
んん〜〜〜〜〜〜・・・・・
柔造は?
あ、あっちの方でなんか見てる。
せやったら・・・
買ってみても・・・・ええか?
目の前のシンプルやけど、それなりにキャラクター商品であるストラップを2つ取ると、急いで会計に行った。
見てないな?よし!大丈夫や!
「柔造!」
「なんかええのんありましたん?」
「おん!ええのん買えた」
「それは良かったです」
「次はどこ行くん?」
「そうですねぇ・・・・」
そんな感じで場所移動。
**
色々回って、そろそろ帰りの時間。
最後の最後にふと目に止まったのは、プリクラ機。
「・・・・・・」
「どうしました?」
俺の目線の先にある、機械を見て柔造がああ、と頷いた。
「撮りますか?」
「え・・・・せやけど、柔造がこんなんで写真撮ってるのやとか想像付かん」
「柔造かて、撮ったりしたことありますよ」
「・・・・彼女と?」
「まぁ、彼女とか、友達とか。高校ん時とかですけど」
少しだけ胸がチリとしたけど、まぁ、仕方ない。
それが普通のあり方なんやから。
「柔造もそんなんするんや」
「しますよー」
なんてくすくす笑いながら、機械のカーテンを開けて潜る。
「ちょ!待ってや!」
俺も慌てて追いかけて、一緒に飛び込んでしもた。
「せやけど、最近のん大分変わってしもてるからよう分かりませんけどねぇ」
「俺もあんまわからん」
「柔造にしたら坊がこんなん撮る方が意外でしたわ」
「俺かて、中学の時に撮ってたって!」
「彼女ですか?」
「彼女なんか居らんから、志摩とか・・・」
「ああ、廉造ですか」
「せや」
「じゃ、お金入れますよ」
「おん!」
「どないやって撮ります?」
「せやなぁ・・・・」
そう聞かれて、はたとこの間の奥村兄弟と撮ったのを思い出す。
仲良うなったら男同士でもああやって、撮るのがこっちの流行なんやっけ?
せやったら・・・
「あの、流行のんとかしてもええ?」
「流行ですか?」
「せや・・・ほら・・・・この間見たやろ?」
「え?」
「ほないくで!」
画面を押して、
「え?!ちょ?!待っ・・・・!!!!」
3・2・1
ちゅ。
柔造の頬にぎゅっと目を瞑って、自分の唇をそっと押し当てた。
ぱしゃり。
「!!!!!!!!」
「あ!撮れてる」
画面を見たらやっぱりごっつ恥ずかしいんやけど、上手い事行った写真が写ってた。
「あ・・・・あ・・・・」
「やっぱ恥ずかしいけど、これでええんやんなぁ?」
「あ・・・・・え・・・・・」
「何か書く?」
「あ・・・・・・・」
「どないしたん?」
「〜〜〜〜〜〜っ!!!」
柔造がその場にしゃがみこんでしもた。
「柔造?」
呼びかけても起き上がって来ぉへん。
「柔造?」
蹲ってもうて、固まってしもた。
「どないしたんや?あ!やっぱ腹でも痛かったんか?」
そう言うと、肩がぴくりと動いた。
「す・・・・・・すんません・・・・・・ちょっと・・・・・・トイレ行ってきます・・・・」
やっぱ昼間からちょくちょくトイレ行ってたんは腹が痛かったからなんや!
調子悪いのに無理させてしもたんやろか?
「一人で行けるんか?」
「大丈夫ですから・・・・ここ、居ってくださいね・・・・」
「おん。ほな待ってるで」
それから暫くすると、なんやげっそりとやつれた柔造が戻ってきた。
「ホンマに大丈夫なんか?」
「大丈夫です・・・」
「ほんなら、はよ帰ろうか?」
「はい、すんません・・・」
「あ、せや、写真いる?」
プリントアウトされた写真は、やっぱり恥ずかしかったけど、ちょっとでも流行なことしたんかと思うと嬉しかった。
「せやけど、こんな写真恥ずかしいからいらんわなぁ?」
「・・・・・半分・・・ください・・・」
「ええのん?」
「大事にしますよって・・・・」
「そうか!ほんならあげるわな」
そうして、俺の初めての東京仮想デートは終わった。
めっちゃ楽しかった!!!
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