贈
プレゼントをください 2(柔子勝←金)6000打キリリク・蓮華様へ
さっき居ったところあたりに戻ると、丁度昼飯時やったんか、柔兄がタイミング良く坊を呼びに来た。
「坊!お昼ごはんの時間ですよ!ご飯行きましょか?」
柔兄を見つけると坊の顔は瞬く間にぱぁっと明るくなって、俺の手を離してそっちに行こうとした。
「坊!」
慌てて、坊の手をぎゅっと握って、呼び止める。
「あ・・・・せやった」
坊がピタリと止まって俺を見上げ、さっき約束した事を思い出したらしい。
それから柔兄の方をまた見上げ、
「きんぞうと行くねん!」
とにこりと笑って告げた。
「え?」
「きんぞう!ごはんやって!」
「ええ、ほな行きましょか。柔兄行ってくるな」
「え・・・ああ・・・」
少し歩いて、振り返ると柔兄はこちらを見て呆然と立ち尽くしていた。
ちょっと悪いことしてしもたかなぁ?
**
それからお昼寝の時間。
やっぱり柔兄が子供らを呼びに来た。
せやけど、約束通り坊は俺の手をきゅっと握って、俺と一緒に行くといってくれた。
「ほんなら今日は俺がみんな寝かすな」
「え・・・・そうか・・・」
やっぱり柔兄は俺たちの後姿を呆然と眺めていた。
あ、なんか可哀想かも。
せやけど、坊の手は温かくて、やっぱり何だか離したくなかった。
そのままみんなと一緒に寝転んで、俺は坊をぎゅっと抱き締めながら寝た。
温かくて、いい匂いがして、気持ち良かった。
**
次は夜ご飯の時間。
やっぱり柔兄が呼びに来た。
せやけど先に、柔兄が坊にこう言った。
「金造と行きますのんか?」
「おん!」
「坊は・・・・金造が好きなんですね」
「おん!いちばんすきやねん!」
「・・・・・そう・・・・ですか・・・・」
ああ・・・・柔兄がにこりと笑ったけど、その顔はなんか泣きそうな顔やった。
・・・思った以上に柔兄が凹んでる気がする。
これはちょっとヤバイやろか?
**
それからお風呂。
柔兄に言われる前に二人で入った。
「坊・・・・」
坊の髪を洗いながら話しかける。
「今日はありがとうございました。坊とずっと一緒におれて楽しかったですわ」
「おん!おれもきんぞうといっしょたのしかったで!」
「お風呂終わったら、一番は柔兄に戻してええですよ」
「もうええのん?」
「せやないと柔兄、可哀想ですやろ?」
「かわいそう?」
「坊が俺と遊んでばっかりやから、柔兄泣きそうになってましたわ」
「!!!そうなん?!」
「せやから、お風呂上がったら、柔兄のところ行ってあげて下さいね」
「わかった!」
ホンマはもうちょっと坊と一緒に居って、夜もぎゅってして寝たかったけど・・・。
柔兄のあんな泣きそうな顔見たら、やっぱりこれ以上はやったらアカンと思った。
やっぱり、柔兄も坊も、二人で一緒にニコニコしてる方がええ。
俺はそうやっていつも一緒に笑い合ってる二人が好きなんやわ。
「坊」
「ん?柔兄好きですか?」
「おん!大好きや!」
「ほんなら俺は?」
「きんぞうも大好きやで!あ、あとれんぞうも、こねこも、やおぞうも、まむしも、うわばみも、みんなみんな大好きや!」
「そうですか!嬉しいですねぇ」
「みんなみんな好きやっ!」
坊と二人で入るお風呂は心まで温かくなって、ホワンと幸せになれた。
**
お風呂から上がって、二人で柔兄の部屋へと行った。
それからそぉっと襖を開けて、柔兄の様子を覗き見る。
机に向かっておそらく勉強をしてるのであろうが、ずぅっと溜息ばかりを吐いていた。
そうかと思うと、頭を抱えて机に突っ伏してしまった。
もう一度そぉっと襖を閉めて、坊に小声で話しかける。
「柔兄のとこ行って来てくれます?」
「じゅうぞうないてるのん?」
「かも知れないから、よしよししてきてください」
「おん!分かった!」
俺は、柔兄からは見えない死角に移動すると、坊に入ってくださいとゴーサインを出した。
坊が襖をとんとんとノックすると、中から柔兄が出てきた。
なんか今までに見たこと無いような酷い顔してる。
やっぱりそないにショックやったんやろうか?
「坊?どないしはりましたん?ここには金造いませんえ?」
「じゅうぞうないてるのん?」
「え?」
「ないてたん?」
「・・・・・・ないて・・・・ないですよ?」
「さみしかったん?」
「・・・・・・・・そう・・・ですねぇ・・・」
「ほんならよしよししたげるな?」
「坊・・・・金造はええですのんか?」
「おん!もうええねんて!せやからじゅうぞうんとこ行きぃって、きんぞうが言うた」
「え?」
あ!!!しまった!!!
坊それ以上言ったら、今日のこと全部バレてまう!!!
口止めしとくの忘れた!!!
「どういう・・・事ですか?」
「きんぞうがな、今日だけいちばんにしてって言うたんや」
「なんでです?」
「おたんじょうびプレゼントやって」
「・・・・・たん・・・じょうび・・?」
「せや!」
「そうやったんですか・・・・坊は優しいですねぇ」
そう言って、柔兄は何時ものようにふわりと微笑むと、坊の頭をそぉっと撫でた。
そしたら坊も一生懸命背伸びして、柔兄の頭に手を伸ばす。
坊が何をしたいのか分かったのか、柔兄は腰をかがめた。
すると坊が柔兄の頭をよしよしっと撫で、
「ないたらアカンよ?おれがいっしょにおったるからな!」
「坊・・・!!!」
ぎゅっと柔兄が坊のことを抱き締めると、そのまま抱きかかえ、部屋の中へと消えていった。
部屋に入る前の柔兄の顔。
ホンマ幸せそうな顔しとったなぁ・・・・。
やっぱ、ああでなくちゃアカンわ。
●プレゼントをください 2●
次の日、柔兄が俺にこう言った。
「誕生日・・・・やったらしゃぁないけど・・・・次からはちゃんと言えや」
「堪忍・・・・ショックやった?」
「当たり前や、阿呆」
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とまぁ、こんな感じになってしまいましたが・・・・。
いかがだったでしょうか?
お粗末なものでホントすみませんです!
この度は6000打踏んでくださりありがとうございました!!!
また遊びに来てやってくださいね!
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