TENISU しゅう えん(828) 「世界が明日終わると分かったら、貴方、どうします?」 何をいきなり、と笑いかけたが、見返してくる目が真剣な色であるのを知ると、 口元を引き締めた。 「そうじゃのぅ」 暫く考え込んだ後、彼は分からん、と答えた。 だって言われても実感湧かん。まあそういう予兆?があればな、大変だってなるかもしれん。でも、いきなり言われてもなぁ。しかしお前さんなしてそんなこと聞いたんじゃ? 「別に対した理由はないです」 「嘘じゃ」 「本当に対した理由ではないんです。で、どうしますか?」 「で、って言われても…。そうじゃな」 ぽん、と手を叩いて彼は笑った。 「普通に生きるぜよ」 「普通に?」 「おん」 普通に起きて、柳生とダブルスで幸村達と試合して、みんなで話して帰る。あ、でも丸井はお菓子ばっか食べてそうじゃな。……じゃけど、我が儘言っていいんなら、柳生とずっと一緒におりたい。最後の日じゃからじゃなくて、普通におりたい。俺の隣に柳生がおってくれればええ。…柳生の意見を丸無視にしとる訳じゃない。これは俺の我が儘って言ったやん。柳生が嫌やって言ったら終わりじゃ。…俺の最期の日は、一人寂しく終わってく。 「…何よ、その目は」 「いいえ。随分寂しくネガティブなんだなと」 「なっ!」 「たとえ終わっても、私が一緒にいてあげますよ」 にっこり笑いかけると、彼は赤くなりながらそっぽを向いた。 確かに普通に生きるっていうのはいいと思います。いつもみたいに皆さんでテニスが出来ればいいです。でも、私も叶うなら、仁王君。 彼の肩が揺れた。 「貴方といたい」 「っ、やぎゅは!」 「何ですか?」 「や、ぎゅは、」 もごもごと口を動かし、暫く言い淀む。彼が自分から言うまで私は彼の後ろの空を見つめた。 「やぎゅ、」 「はい」 「最期ん時には、おってくれるん?」 「いますよ」 「最期ん時じゃなくても、おってくれる?」 何も言わずに微笑むと、彼は珍しくぐしゃぐしゃになって腕を伸ばした。 「やぎゅ」 「はい」 「愛しとうよ」 縋り付いてきた彼を、何も言わずに抱き締めた。 しゅう えん (結局何やったん?) (昨夜見た映画です) (!?) *************** 勢いに任せたにおやぎゅにお。どっちでもおいしい^P^ 20101015 玖樹 → [戻る] |