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long story
あいのけいしき(独楽・カイタカ)*15?

恐らく知っている人はあまりいないだろうベイ○レード。
平素からお世話になってる京夜んに捧げました!









「あ、あのさ、お前は俺をどうしたいんだ…?」
タカオが恐る恐る尋ねれば、問題のモノを持ったカイが至極真面目な顔で答えた。
「これを着ろ、と言ってるんだ」
さあさあ、とにじり寄って来るカイに、タカオは盛大に溜め息をついた。


事の始まりは、つい30分前まで遡る。
色々な事を片付け家に帰ると、じっちゃんが町内会の親睦旅行で二・三日家に居らず、その間は教授やマイクの家に世話になるようにというメモが残されていた。ちょうどベイのメンテナンスをしてもらおうと思っていたからラッキーだと受け止め、シャワーを浴び水を飲んでいたところ、狙っていたかのようにチャイムが鳴った。
教授かマイクかな、なんて呟きながらドアを開ける。しかしそこに居たのは教授でもなくマイクでもなく−…

「…カイ!?」
「邪魔するぞ」
「いいけど。いや、何で?」
「まあ色々とな」
「色々、って、おい」
タカオの声を無視して、カイは我が物顔で家に上がる。慌てて後を追うと、カイは片っ端から部屋の戸を開けては閉めを繰り返していた。
「何やってんだよ!?」
腕を掴んで止めれば、カイは振り返らずに言った。
「お前の部屋、どこだ?」
「え?俺の部屋?」
「どこだ」
どこだってお前いきなり、なんてタカオの抗議空しく、逆に腕を掴まれ部屋に案内・連行されることとなった。


それから、おもむろに袋から取り出したモノを見せ―

冒頭に戻る。

「着ろ、って…ムリムリ!!着れるわけないだろ!?しかも何でメイド服なんだよ!」
「気にするな。それに、お前のサイズに合ってる」
「いつ調べたんだよ!!って、待て!」
「…脱がしてやろうか」
「脱がすな!…分かったよ、着ればいいんだろっ」
そう言ってカイの手から服を受け取る。ぶつぶつ文句を言いながらTシャツを脱ぎかけて、はたと動きを止めた。
「…カイ」
「何だ」
若干イラつき気味の声音に気付かず、タカオは出て行って欲しい、と頼んだ。
それにカイはしかめ面をして、
「さっさと脱げ」
脱ぎかけていたTシャツを鷲掴み、タカオの悲鳴を無視して服をひん剥いた。

「…ウソだろ。何でサイズ合ってるんだ…」
「オーダーメイドだからな、当たり前だ」
ふっ、と腕組みをして笑うカイに、若干殺意が湧いた。
「何でこんなのに金使うんだよ!」
「これが俺の愛だ」
「そんな愛いらね…って何、何でこっち来るんだよ」
「メイドだろ、言うこと聞け」
「真顔で言うな!って、ちょ、」
もともと壁際に追い込まれて逃げ場なし、だったため対した抵抗もできず、タカオはカイに腕を引っ張られた。
そのまま、じーっと頭から足先まで見られる。
さすがに居心地が悪くなって何、と問うと、うーん、と小さく呟いた。
「…何だよ」
「…膝丈にすればよ」
「気持ち悪い!!」
ぞわっと悪寒が走り、つい勢いでカイを殴ってしまった。はっ!と気付いた時には遅く、カイは低く笑い声を押し殺しながら、タカオの腕を掴んでいる手に力を
籠める。
「痛っ!」
「木ノ宮…」
「っ悪い!俺が悪かった、な!ごめんなカイ、っ」
握っている手とは反対の左手で顎を掴まれた。
「しょうがねぇなぁ…」
ああしまった、とその時後悔したが、今更ムダなことだとタカオ自身よく分かっていた。




「っ、ィ」
「どうした?」
「も、抜け…っ」
ギリ、と歯をくいしばりながら後ろを振り返る。
抜け。タカオがもう一度言うと、カイは前髪を掻き上げて一言。ムリ、と答えて上体を倒した。
「ぅあっ」
「それに、今抜けば辛いのはお前だろ?」
「っの、やろ、ぁ」
「まあ、まだ時間はある。せいぜい頑張れよ」




散々されて意識を飛ばして、気が付いたらベッドの中だった。
何時だろ、腹減ったな、と起き上がろうとして上体を起こす。途端に激痛が走ってまた布団にダイブした。
「ってぇ…!!」
あれ、何で痛いのかな。おかしいな俺何もしてないんだけど。てか思い出したくないことが多々あった気が…。アレか、そこに落ちてる服が原因か。そして俺何故裸。おいおい…!!
悶々と呟いていると、起きたか、という声と共にカイが部屋に入ってきた。
「何時?」
「20時8分。起きれるか」
「ムリ。誰かさんがムチャするから」
「最終的にヨガってたのはお前だ」
「うるっせ…」
ベシッとカイの後頭部を叩く。これ位はさせてくれてもいいだろう。
はあ。何でこんな奴、好きになったんだろ、俺。
暫く互いに無言になる。しかしそれを破ったのは、空腹を訴えるタカオの腹だった。
「っ、腹減ったぁ…」
「…冷凍物くらい、ないのか」
「さぁ?あったら持ってきて。なかったら、」
カイが何だ、と視線を寄越した。

もう一つ、仕返し。

「カイが買ってこいよ、コンビニで」

何も言わずに出て行ったあいつは、恐らく数分後にはコンビニ袋を提げて帰って来るだろう。
ひとまずありがとう。その後は−…

俺の気分次第だ。


あいのけいしき


(あの服どうする?)
(お前にやる)
(いらね)
(俺の愛を無にするつもりか!)
(…うぜー)


**************
カイさん=変態
は共通理解^P^←

20101019 玖樹

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