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long story
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きみのいるせかい。

チャイムが鳴る。グラウンドに散る生徒の群れ。聞こえてくる教師の声。わき起こる笑い声。

そんなものに、ちょっと心を向けるようになった。

どうして?なんて。理由はもう分かっている。

彼と出会ってからだ。彼が、僕のテリトリーに入り込んできてから。

些細なことでも、気にするようになった。

気にすることも、心が向くこともなかった世界に。

自分と無関係になっていた世界に、自ら切り離した世界に、憧れるようになっていた。


「…、…リ!ヒバリ!」

「っ!?」
「委員長?どうされましたか」
「…?え、あれ…?」
「…今、報告の途中なのですが…。続けてもよろしいですか?」
「あ、ああ。続けて」
「はい」

何だ。今のは幻聴か。そっと胸を撫で下ろした。

その刹那。

「ヒバリー!!」
「ちょ、山本!?な、ななな何言ってるのー!?」

「なっ…!!」

幻聴じゃ、なかった…!!?
じゃあ、さっき聞こえたのも…

「今日遅れるからー!!」
「山本!みんな見てるよヒバリさんに怒られるよねぇねぇ!!」
「ほっときましょ、十代目。こいつには何言っても聞きません」
「あ、だけど」
「じゃあなー!!」

「………」

絶句。もう何も言えない。あのバカには、何を言っても意味はない(そこらへんが不良とかぶるのが気に食わないが)。

でも、沢田の言う通りだ。こんな、公衆の面前で言わなくても!

ああ彼は何てバカなんだろう!!


机に向き直り、はあ…と息をつく。

気にしたのか、草壁が声を掛けてきた。

「あ、あの、委員長…?」
「あー、うん。大丈夫。続けて」
「山本は、いい奴ですよ」
「……」


「…え、君今なんていった?山本が?何て?」
「ですから、山本はいい奴ですよ、と」
「………は?」
「いつも委員長のことを話してくれますよ。副委員長として、嬉しい限りです」

うんうん、と満足げに頷く草壁が何だかむかついて、報告はいいから一度死んできて、と言い残し殴り倒した。

草壁を廊下に放り出し、深く椅子に沈む。

さっきから頭がぐるぐるする。

何だ?山本と草壁は何で仲がいい?接点もないだろうに。

でも、疑問と共に、なにかもやもやしたものがある。

ああもう。本当に分からないことだらけだ。


こんなに悩むのも。こんなに困るのも。

「…山本の、せいだ」

今度、その責任を取って、連れ回してやろう。



もうすぐ彼が来る。


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1000hitの蔦様に捧げます。長らくお待たせしました。不満な点が御座いましたらお知らせ下さい。直させていただきます…!!
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20080930 玖樹


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