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秋屋と友達らしきものになって以来、別のクラスだと言うのによくうちのクラスに遊びにきた。
秋屋曰わく俺と友達になったのは絡みやすいかららしく、何だかちょっと不思議な気持ちだった。
嬉しくもあるが、澄打の反応を見る限りすごく微妙な気持ちになる。




発展途上




昼休み。
秋屋は当然のように俺のクラスにやってきた。
澄打は教室の角でコチラの動きを窺っているようだ。


「澄打の言うことなんか気にすんなよ」

「?」

「お前さっきから澄打の方チラチラ見てんじゃん」

「あ、ごめん」

「アイツ俺とは関わるな、とかそう言う事ばっか言ってんだろ」

「う…まぁ…」

「俺は気にしてねーから、別にそんな挙動不審にならなくて良いって」


あははと笑い、秋屋は何故か体を前のめりに乗り出してきた。
俺は半身を後退させて首を傾げる。


「な…何」

「ほら」

「は?」

「また澄打の方見た」

「いや、別に」


澄打は大事な友達だし、秋屋も好意を持ってくれているのなら邪険には扱えないし。


「俺、実は心優に弟がいるって知ってたんだよな」

「え?」

「勿論名前も顔も知らなかったけど…よく心優が話してたから」


優しそうな笑みでそう語る秋屋は、あちらこちらで遊び回っている人間とはまた、違う表情をしていた。
きっとこうやって想ってくれる人間がいれば、その人は幸せなんだろうなと思う。


「姉ちゃんの事…聞いたりはしないけど、もし姉ちゃんの誤解だったら今解けば間に合うと思う…けど」

「……………」


何だかやり切れない気持ちになり、後半が尻つぼみになってしまった。
俯いた俺の頭上で、クスリと笑い声が降りかかる。


「誤解といえば誤解だけど、この誤解を解くわけにはいかないんだよ。ご忠告ありがとさん」

「…うん」


その言い方は、誰かを守ろうとしているようにしか聞こえなかった。
思わず理由を知りたくなる。
ソレが何故なのか、最近気づきそうになる。


「気付いちゃ駄目だ」

「ん?」

「な、何でもない!」


俺は思わず口にしてしまった事に驚きを隠せず、誰が見ても恐らく挙動不審としか思えない行動を取ってしまう。



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あきゅろす。
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