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どうやら二人のバトルが勃発した様で、仲介に入ってもロクな事にならないと知っている俺は、素知らぬ顔で自分の席に戻る事にした。
「「どこに行くんだよ吉丸」」
「え」
いつもの二人なら、お互いのいがみ合いに夢中になって俺が何をしていても眼中にないという光景が常だったのに。
いきなりどのような心境が現れたというのだろうか。
「吉丸のことで今揉めてんだから当事者がいなくなってどうすんだよ」
澄打に腕を掴まれて引き戻されてしまう。
ちらり、と秋屋を見れば、彼は腕を組みうんうんと唸っていた。
「吉丸」
「何だよ秋屋」
「友達を見捨てるのか?」
「そんなに緊迫した状況には見えなかったけど」
「俺は吉丸の事友達だと思ってたのに」
「変なところで絶望するなよ」
俺は勿論当惑するわけで。
澄打ならばそんな事言われても冗談だとわかる。
勿論秋屋だって冗談で言っていることは一目瞭然なのだが…特別な感情を抱いているだけでこうも衝撃が違うとは思わなかった。
「吉丸…俺の時と態度が違う」
「は!?そんな訳ねーだろ!」
目敏く気付いた澄打が不満の声を上げる。俺は見透かされてしまった胸の内を隠そうと必死になる。
「俺なんか放って、早くいつもの喧嘩しろよ!」
「今は吉丸の事で喧嘩してるんだから、そんな無責任な事言うなよ」
「!」
悲しげに歪む秋屋の表情。
その前に、俺はいつ責任を押し付けられたんだ。
認知すらしていない責任を負える程、俺は大きくないぞ。
「秋屋と同意見になるのは嫌だけど…吉丸、こんな時こそお前の責任能力が試される時だ」
「…………こんな所でそんなシビアな事すんな」
それに二人にそんな事されて結果が出ても、絶対に意味も根拠もないだろう。
むしろこっちから願い下げだ。
「吉丸」
「何」
秋屋が俺の肩をがしり、と掴み顔を近づける。
俺は変に反応してはいけないと自分に言い聞かせて、そんな秋屋と対峙した。
「俺はお前が好きだから、こんなに必死になってるんだ」
「なっ!?」
完敗。
少し前までの、強固な筈だった俺の意志は粉砕されてしまった。
思わず頬を赤らめてしまった自分が情けなく思えて、視線を逸らしてしまった。
「うーわー吉丸真っ赤!」
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