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「アホと馬鹿ばかり繰り返してたら、巧の方がアホと馬鹿になるよ?」

「ほっとけ貴史」


隣で胡座をかく、穏やかな笑みをたたえた貴史の足を蹴る。
貴史は気にしていない様で、「心配なんだけどなぁ」とボヤいていた。


「俺秋屋嫌い」

「珍しいね。巧がそんなにばっさり切り捨てるなんて」

「だってアイツ…」

「昔の事だろう?」

「例え昔の事でも、アイツがした事は俺にとって忘れられないくらい罪の重いことなんだ」

「そうだね」


綾瀬は丸まった澄打の頭を撫でる。
小さい頃から、澄打がこうやって丸まる度に綾瀬は彼の頭を撫でていた。
澄打は落ち着いたかの様に目を瞑っていく。


「僕のものになれば良いのに」

「?」


薄れ行く意識の中、貴史の声が僅かに脳内へ響いた。









つづく。

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あきゅろす。
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