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青い春。

それを青春と人は呼ぶ。

現に今の自分は、まさにソレの真っ只中
にいるのだろう。

青春。

なんて良い響きなのだ。


プロローグ





好きになったのは同性である男。

顔に惚れたと言えばそうなのだが、何より好きな人に向ける表情とオーラに惹かれた。

けれどそんな自分の目が、一体どれだけ節穴なのか後に知ることになる。


「吉丸(ヨシマル)ってさ、俺の事大好きなわけ?」

「は!?」


思わぬ事態に混乱する自分の脳みそ。

その問い掛けを上手く躱すための言葉が見つからなくて、相手を凝視した。

すると「ん?違った?」なんて相手は首を傾げる。

問い掛けではなく、確認だったんだなんて妙に納得してしまう自分が情けない。


「お前、いつも俺の事見てない?」

「み…見てない」

「見てんだろ」

「いや、見てない」

「穴が開くほど見てんじゃん」

「お前穴開いてねーだろ」

そう睨んでやると、相手はこちらに顔を近づけて耳付近の髪をかき上げる。


「ほら、ココ見てみ?」

「ソレはお前が開けたんだろ」

「最近付けてねーから閉じかけてんだよなぁ」


なんて話を自ら逸らす相手に「良かったじゃん」と、僅かな皮肉を込めてやる。
相手は明らかにむっ、とした様子で自分の耳を弄くりながら俺を見た。


「吉丸彼女作んねーから心配してやってんのに」

「いらない世話だし」

「よーしーまーるー?下のが使えなくなるぞー?」

「お前は遊びすぎなんだよ」


相手のそういった噂は飽くほど聞いた。
嫌でも耳に入ってくる程、尋常じゃない所業を繰り返しているのだ。
それなのに、相手への想いが募る自分は気持ち悪い。
自分だから言える、気持ち悪い。


「ここら周辺の美人探そっかなぁ…」


なんて呟きながら相手はあちらこちらと視線を泳がせている。
けしてその視線の中には含まれる事のない自分。
何故だか涙が出そうになった。









「吉丸、お元気?」


寮生活をしていると、変わった友人や変わったルームメイトが出来る。
というよりは、恐らく同じ屋根の下で暮らしているのでいつしか『他人の壁』が突き崩されているだけなのだろう。
おかげでスキンシップも実の兄弟とかよりも多いし、度合いが激しい。


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