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Black Number
狂った世界。狂った僕等。D
クロから向けられる厳しい視線に気まずく縮こまりながら陽が答えた。

「この前賞金首易々と逃がしちゃったから心配でねぇ」
「そ…その節は、すみませんでした…。」


二人は明るい会話を響かせながら畦道を進む。荒んだ世界を照らし出す天の光が二人の真上に輝きだした頃、漸くB地区近郊まで辿り着いた。
元々、F-Town内で一番栄えていたB地区は中心部から外れに至るまで大きな建物が並んでいる。しかし、現在では賞金首やGCの絶好の隠れ場所となってしまい、行き交う人の姿も疎らであった。







二人は一つの建物の前で止まる。



「ここが美術館なのか?」
でけぇ、と声を上げながら陽は目の前にそびえ立つ白い建物を見る。
日中にも関わらず、どことなく薄暗い空間。
その中に多少のひび割れや痛みたあるも、宮殿を思わせる豪華な造りに浮き立つ白に統一された壁は、建物の持つ雰囲気を更に不気味にさせるものであった。

まるで、薄闇に浮かぶ要塞であるかのように



「よっしゃ、早速突入っ」
「よーちゃん。ちょっと待ち」
「うわっ!」


腰の結び目をキュッと締め、気合いを入れて格子を飛び越えようとする陽をクロはTシャツの襟足を掴み止めさせる。
バランスを崩した陽はそのままクロへ倒れかかり、スッポリと腕に収まった。
「何すんだよ、クロ!」
特に暴れることもなく腕に収まった状態の陽は、恨めしそうにクロを見上げ尋ねる。
「オレの指示なしに、勝手に突っ込まないの。真っ正面から突っ込んじゃったら敵さんからバレバレでしょうが…」

「へ…?」


言われた言葉の意味を理解出来なかった陽は間抜けな声を上げた。疑問符を浮かべて首を傾げつつ己を見上げている陽の姿にクロは小さく溜息を漏らす。

「あのね、情報屋から聞いた話によればこの美術館の入り口は4つあるの…」
クロは出来るだけ判りやすく陽に説明を始めた。



美術館には、正面ゲート・裏ゲート・非常ゲート。そして地下倉庫に繋がる搬入ゲートの4つがあった。また、人が居なくなり廃墟となった今でも自家発電によって電力が確保され、セキュリティシステムが健在しているという事である。
入口ゲートから館内の至る所に設置されたカメラは、最奥の警備のモニターに映しだされ、迂闊に館内を歩き回れば簡単に賞金首に己達の存在を知られ逃げられてしまう恐れがあったのだ。

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あきゅろす。
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