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宝物


「例えばさ、僕が恭君の兄だったらどうする?」
ソファーに座り、書類に目を向けている恭君に言ってみる。
「別に」
気紛れの問い掛けにはまともに返してくれない恋人でした。
ううっ…冷たい。
書類読んでて相手にもしてくれないし。
「名前が兄の訳がない」
返してくれたっ!
でも、それはないよね。
「なんで!いいじゃん僕でも」
「やだ」
即答。
……。
ひどっ…実際僕の方が年上なのに。
「実は僕は恭君の兄なんだよ」
勿論出まかせだよ。
「僕にそんな嘘は通じないよ」
速攻でばれた。
解ってはいたよ、うん、恭君に嘘が通じないのはね。
でも、なんかつまらない。
「嘘じゃないよ」
少しシュンとしてみる。
「根本的に似てないじゃない」
どうやって僕が恭君を騙すか。
面白くなってきたと思ったのか、恭君は書類を置いて僕を見る。
うっ…。
そう、真っ直ぐ見られるとさすがに心苦しいよ。
ってか!
さっきまで無視だったのに!!
ホントむかつく…。
「兄弟だからって似るものじゃないよ」
「そうだね」
「あっでも恭君と僕も似てる所あるよ」
僕がそう言えば、恭君は不敵に笑った。
えっ…。
不敵?
なんで…あれ、嫌な予感が…。
「僕の質問に名前は肯定しか出来なくなる」
「なに?言葉遊び??」
急に始まったその行為に僅かな疑問と嫌な予感がする。
でもね。
僕はさぁ、ほら男の子だからね。
好奇心には勝てなかったよ…。

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あきゅろす。
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