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枩浦の制服の袖から覗く白い包帯に、やれやれと首を振る

「枩浦、お前蓮見と仲が良いのか?」

不意に不機嫌であり不審そうな声音の方に視線を向けると、まだ教員がそこに居た

まだ居たんだな

「まぁ、一様これでもクラスメートなんで、それなりに」

「あまり一緒に居るんじゃないぞ。
お前と蓮見は違うんだ。
お前と関わって蓮見の成績が落ちたらどうする?」

「へいへい、善処しまーす」

枩浦の馬鹿にした様な態度は、教員を逆なでするだけ
ほら、今にも噛み掛かって行きそうだ

僕は仕方なしに口を開いた

「先生、僕は次の模試の勉強をしたいんでもう良いですか?」

「あ、あぁ引き止めていて悪かったな。
次も期待しているぞ」

「善処します」

枩浦と同じ台詞を吐いて、教員の返事を聞かずに枩浦の手を引っ張って歩き出した
癖の様な早歩きにも、僕よりも身長の高い枩浦には何でもない様でスイスイと着いて来る

まったくもってどいつもこいつも無駄にデカい奴ばかりだ
欝陶しい、忌ま忌ましい 、消えて失くなれ


誰も居なくなった教室に入り、僕は枩浦の手を離してジロッと睨み付けてやった

「お前、もう少し賢く生きれないのか?
絶対にあの教員の反感を買ったぞ」

「いやいや、これでも俺なりに賢く生きてるつもりだからな。
それにもう目は付けられ済みだ」

「……威張って言う事じゃない。
反抗的な態度ばかり取っていると、サッカー部に対しても何らかの嫌がらせを受けるんじゃないのか?」

「その辺は心配ない。
我がサッカー部は強いから。
今一番部活で活躍してるのはサッカー部なんだから、そのサッカー部に不利益になる事はしないだろ。
したら学園の評判が落ちるだけだ」

「まぁ、それは…そうかもしれんが」

スポーツマンらしく笑う枩浦に、心配してやる方が馬鹿に感じた
僕に関係ないのだから、心配してやる義理もないか……

「それで蓮見は金澤に何の用で呼び出されたんだ?」

「金澤…?
誰だそれは?」

「は?誰って、今さっきまで喋ってた俺達の担任だろ。
あっ、もしかしてお前名前覚えてないのか?」

「あんな奴の名前を覚える為の頭の隙間はない。
そんな無駄な事をするくらいなら、小説の内容を一字一句間違えずに覚えた方が僕に取っては有意義な使い方だ」

「そりゃそうだな。
自分の出世しか頭にないからな金澤は。
それに比べて俺は蓮見を大切にしてやってるだろう?」

「……何を言っている?」

気色悪い奴だな
いつお前が僕の事を大切にしていると言うんだ

眉間にシワを寄せていると、枩浦はニッコリと気持ち悪く笑い

「蓮見が金澤に絡まれてて嫌そうだったから、自分の身を犠牲にして勇敢に助けに行っただろ?」

「逆にお前をフォローしてやって、無駄な労力を使ったがな。
物言いを選ばん奴に言い合いで勝てる訳が無いだろ、痴れ者が」

僕を疲れさせたのはお前の性でもある
それを分かることだな
僕が助けてやったんだ、敬ってへつらえ








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あきゅろす。
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