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その中でこの馬鹿犬だけが懲りずに何度も僕の所に来る

はっきり言って迷惑極まりない


最初は無視を決め込んで居たんだが、あまりにもしつこくて邪険に追い払おうとしたら「先輩が喋ってくれた」って大はしゃぎした

あの時は苛々した


こいつの中の僕のイメージを壊してやろうとしたのに、こいつは嫌うどころか益々付き纏う様になったんだ


「無駄話をしている暇があるなら早く食堂に行ったらどうだ?
僕には関係ないが昼飯は後、十分しかないぞ」


腕時計を確認すると、時刻は一時十分前を指している
午後の授業は一時からだ
だから、午後の授業を受けて尚且つ昼飯を食べたいのだったら急いで食堂に行っても間に合うかどうか分からない

僕は昼飯も授業も必要はないから関係ないがな


僕の言葉に槙原は慌てて小説を差し出した


「マジっすか!?
俺もう行きますね。
先輩も本読むのは良いですけど程々にして飯食ってくださいね?」

「気が向いたらな」


そんな事はないだろうけど

僕は帰って来た小説をめくり、活字に目を走らせ始めると槙原が"また"と言っていたが、僕は特に何も返さなかった

あいつも返事を期待していなかったんだろう、何も言わずにまた来た時と同じ様に五月蝿い足音を立てて走り去った


「だから五月蝿いと言っているんだ」


何度言っても学習しない奴だ

図書館にも本を読みに来るんじゃなければ来ない方が良い

五月蝿いだけだ


それに僕を好きだなんてあいつの頭はどうなっているんだ?
一度割って調べてやろうか……

僕の何処が良いのか理解できない
そもそもあいつも僕も男同士だ

イギリスでならその他の類の人種をよく見かけたが、日本じゃ可笑しいはずだ

はず、なんだが……この学園はそうじゃないらしい
閉鎖された空間の為か、やたらに多い

その性で僕達は良い注目の的だ


不愉快極まりない


早くあいつが諦めてくれる事を願って、やっと静かになった図書館で僕は小説の世界に浸って行った


その時にはもう昼飯の事等頭の片隅にも無かった








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あきゅろす。
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