Novel〜孕〜
19
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子竜の誕生で、うっかり忘れかけていたが一昨日エマを怒らせてしまったことを三兄弟は思い出した。子竜はひとまず父に任せて、昨日熱を出したという彼女のためにお見舞いの花を探しに出かけていく。
ティラはというと、畑と薬草の仕事を手早く片付け、さっそくコンの隠れ家となる薬部屋を片付けにかかった。
そしてそこで、まず一番に対策を練らなくてはならないことに気づく。
「あらっ片付けなんて珍しいわね!」
ウメだ。いまや自分の家のように勝手に入ってきてしまう彼女のことをすっかり忘れてしまっていた。
幸いコンは、薄暗い棚で遊んでいたので、咄嗟に目に入ることはなかったらしい。
ティラはさりげなくその棚を背に隠して、ウメを振り向いた。
「あぁ、ウメ。おはよう」
「おはよう。外の水やりは終わったの?お昼作るわ」
「あ、ちょっと待ってくれ…、ッうわ」
「??何?」
不思議そうに台所に向けていた体をこちらに戻して、ウメが見る。
咄嗟に呼び止めてしまったが、後から思えば、もっと戦略を立ててからでもよかったのだと気づいたがすでに遅かった。
しかも、見知らぬ人間にコンが驚いて、シャツの裾から背中に入ってきてしまう。
もぞもぞと腰のあたりで動くコンを、服の上からどうにか押さえられないと考えつつ、ティラはウメに話しかけた。
「いや、その…。やっぱりこういうのは、よくないんじゃないかと、ふ、思うんだ」
「こういうの?」
何を指すのか自分でも考え付かないため、ティラは「えーっと」と背中が痒いふりをしてコンを押さえつけにかかる。
しかし遊んでもらえると思ったらしい子竜は、今度はちょろちょろとティラの背中を逃げ回った。痛くない程度に皮膚をつまんでいるのだが、痛くない代わりにくすぐったい。
「あ、そのな…っうん!」
「???どうしたの」
不自然にもぞもぞしているティラを、徐々に心配そうにウメが見始める。
とりあえず早くこの場を収めたくて、「くすぐったい」で埋め尽くされそうな頭を何とか回転させた。
「その、うっ、やっぱり、家に勝手に、来られるのは、はぅ、困るんだ」
「え、どうして?」
どうしてって、とティラは呻く。コンは捕まえようとする手を掻い潜って、ティラの尻のほうに潜り込んだ。
「うっ、」
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