ホクロ

「俺って、自分が思ってたより…ザックスの事、知らなかったんだ」

 隣で息を整えていたクラウドが呟いた言葉に、ザックスは目を丸くした。訓練で疲れているというクラウドに一回だけと頼み愛し合った後、ベッドに座って水を飲んでいる時いきなり言われたのだ。
 そんな事を言われるような、いつもと違う事をしただろうかと考えるが思い当たらない。約束通り一回でやめたのが意外だったのだろうかと思考を巡らせているザックスを見て、クラウドが声を出して笑った。

「何だよ」

「今、変な事ばかり考えてただろ」

「へ…」

 振り向いたザックスはクラウドからの指摘に肩を竦め、ベッドに手を付き仰向けに寝ているクラウドの耳元へ唇を寄せる。クラウドはザックスの唇が耳に触れ体を震わせたが、じっとザックスを見詰めていた。

「俺の、何を知ったんだ?」

 わざと低い声で訊いてくるザックスに呆れ笑いをすると耳に歯を立てられ、微かな快感が肌を走る。赤く染まった頬を笑われたクラウドは一瞬ザックスを睨んだが、妖しい笑みを浮かべるとザックスの背中に両手を回した。
 右手は添えただけで左手をゆっくり下に這わせ、腰を横に撫でるとザックスが口を開く。

「疲れてるんじゃ…なかったのか?」

「疲れてるよ」

「一回だけって…」

「今日は一回だけ。もうやらない」

 全く表情を変えないクラウドにザックスが苦笑すると、クラウドは勝ち誇ったような顔をして指でザックスの腰を撫で続けた。

「お前、なぁ…」

「ホクロだよ」

「あ?」

「あんた、この辺に小さいホクロがある。今日、初めて気付いた」

 いつもは疲れて、見る余裕ないから。そう言って微笑むクラウドが何だか嬉しそうで、ザックスは覆い被さるようにクラウドを抱き締めた。
 それから暫くクラウドはザックスの腰にある小さなホクロを見る度に目を細め、ザックスもそんなクラウドに益々愛しさが募っていった。


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