仲間意識で擦り寄ってくる

 いきなり「さみしいの?」って幼い口調で聞かれて、「何で?」って言おうとしたけど言葉に出来なかった俺の顔は、いったいどんなだったんだろう。クラウドが、一瞬泣きそうな顔をした。
 でも直ぐに優しい微笑を浮かべて、珍しく擦り寄ってくる。

「…泣かないで」

 そう言われて、涙は流れていないけど、自分は今泣き顔なんだと気付いた。

「…俺が…居るでしょ?」

 同情からか仲間意識からか、珍しく擦り寄ってくるクラウド。まるで捨て猫みたいだ。
 「お前は優しいな」って笑顔を作って言ってやると、「俺の前で無理に笑うな」って返ってきた。お見通しってわけね。
 自分の感情には鈍感なくせに、他人の感情には敏感なんだ。
 なんだかそれが可笑しくて、声を出して笑ってしまう。するとクラウドが一瞬安堵の表情をした後、むっと怒った顔をして離れていった。

 慰めてくれたんだよな。
 昨日、遠征先で仲の良かった奴が死んだから。いい奴だったんだけど、神羅に所属してるってだけで恨まれる。でももう、俺達は神羅の秘密を知ってしまったから。逃れられない。

 俺もいつかああなるのかな、なんて。
 こいつの前じゃ、とても言えないけど。


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あきゅろす。
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