一生懸命追い掛けてくる

 俺とクラウドは足の長さが違うから、勿論歩幅も違う。俺は女とは大抵店で会うし子供と歩く事もないから、気付いたらクラウドが少し後ろに居るんだ。
 でも立ち止まったりしたらクラウドが怒る。だから俺は気付かれない程度に歩くスピードを落として、一生懸命早歩きをする子供を横目で見ながら進む。

 クラウドが一生懸命俺に追い付こうとするのは、こういう場面でだけじゃない。訓練の時や任務の時、何気ない日常の中でも、気付けば俺の背中を見てる。
 クラウドにすれば「あんたに出来て俺に出来ない事はない」と虚勢を張っているのかも知れないけれど、まるで捨て猫が一生懸命追い掛けてきてるみたいで、立ち止まって振り返ってやりたくなる。でも俺の後ろで小走りしてる捻くれ者の猫は、そうすると追い掛けるのを止めるんだ。
 近寄れば一歩下がる。でも離れれば追い掛ける。その強がり、プライドの高さが愛しくて堪らない。

 まあもう少しはお前の前を歩いていよう。
 そしていつか、お前が自力で俺を追い越せたら言おう。

『スキだよ』


end

top



あきゅろす。
無料HPエムペ!