猿の働かせ方
「あー…」
机の上の大量の書類に顔を埋めて呻いている猿。
「うー…だー…イデッ!」
余りに煩いので正宗の柄で後頭部を殴ってやると、ますます煩くなって失敗したと思った。
「セフィロス!何すんだよ!」
涙目になって後頭部を擦りながら睨んでくる猿。その喚き声はというと流石ゴンガガ出身の野生児というところか、低く渇いた音が耳に付いて鬱陶しい事この上ない。
「…猿」
「猿じゃねぇし!」
何か言ってやろうと呼んだら直ぐ言い返してきた猿に頭痛を感じて頭を押さえ、正宗の刃を少し見せてやると静かになった。
「貴様が蓄めた報告書だろう」
「………」
取り合えず正論を言ってやると、猿は黙ったまま項垂れた。
「全く…貴様が書き終わらなければ、俺の仕事も終わらないんだぞ。解っていてやっている…いや、やっていないのか?」
「…クラウドー…クラウドに会いてぇよー…」
人の話を聞いているのかいないのか、とにかくこの俺の話を無視してぶつぶつと呟いている猿。
「…クラウドに会いたいか?」
「当たり前だろ!誰もオッサンと二人っきりで籠もってなんかいたくねぇよ!」
余計な言葉にまた正宗の柄で殴ってやろうかと思ったが、先刻失敗したばかりなのを思い出し、満面の笑みを向けてやった。少し弾く付いて怯えた表情になり、目を逸らす猿。どうやらこっちのほうが効果的なようだ、覚えておこう。
「俺とて猿を監禁していても楽しくも何ともない。自分の部屋に帰りたいなら早く報告書を書き終えるんだな。ああ…それともクラウドをここへ連れて来てやろうか?英雄の執務室、あいつなら喜んで来るだろうな」
最も、貴様は仕事中な訳であるから俺が相手をする事になるが。
そこまで一気に捲くし立ててやると、猿は青い顔をして報告書に没頭し始めた。なるほど。クラウドという餌を使えば猿も無い頭を絞り、やるべき事をやる訳だ。
「クク…」
今度、ザックスの前でクラウドを可愛がってやるのも悪くないかもな。
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