水面
ゆらゆら、ゆらゆら。
水に浮いて、波に揺らされる。
ゆらゆら、ゆらゆら。
横を見ると、水面に映った月も揺れていた。
ゆらゆら、ゆらゆら。
「はぁ…」
ふと、溜息が漏れる。冷水に浸かって、少し頭が冷めたみたいだ。
「………」
服の中まで侵入してきた水が、今はもう温い湯になっていて心地良い。
「…あんたに、触れられてるみたいだ」
呟いた声は、独りの空間に虚しく響いた。
隣で月が、笑ったみたいに歪んだ。
end
top
無料HPエムペ!