小説(岩男)
喧嘩するほど 〜両想い〜 【光速】
そしてそのころのクイック…。
「うわああああああああああああああ!!!!!なんだよあいつ!!!!!ハズい!!!すごくハズい!!あいつの心の中なんて聞くんじゃなかった!!…てかそれに関しては不可抗力じゃねぇかよ俺ェェ!!」
ベッドの上で布団を頭から被り、なにやらブツブツいっているクイック。
もちろん頭のアレがはみ出している。
枕をつかみ立ち上がって床にたたきつけるという一人突っ込みをしてから、顔を真っ赤にして肩で息をしている。
「ハァ…ハァ…!こんなの…」
「俺じゃない!…ってか?」
ふと床から目を離し、声が聞こえた方を向くと、そこには今クイックがこんなことになってる原因の人物…いや原因のロボットが立っていた。
クイックはポカンと口を開けてそのロボットと5秒くらい見つめあった後、目を見開き、顔を真っ赤にして「ふ…ふら…ッ」とつぶやいた後
「いぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
と叫び声をあげて文字どおり光速でベッドに入り布団を被り、「なんだよこいつなんでここにいんだよなんで来たんだよなんd((ry」とブツブツ呟きながらチラッとフラッシュを見た。
もちろん頭のアレがはみ出している。
フラッシュはそんなクイックと目が合うと困ったような笑みを浮かべた。
…もちろん内心は「かわいいなぁ、まじかわいいなぁ。食べちゃいたいなぁ。もう襲っちゃいt((ry」などムラムラ。…ムッツリスケベとはこのことです。
だが、そんな内心を知らないクイックはその笑みにやられて「ッ…!!」と呻いてからシューという音と共に頭から煙を出した。オーバーヒートしたようだ。
「く…クイック!?おま、落ち着け!!…このバナナブーメランが!!」
フラッシュはオーバーヒートしたクイックを見てやばいと思ったのかいつものように馬鹿にしてみた。
すると布団の中でシューといいながら煙を出していた赤い機体が、バッ!と起き上がり「だれがバナナブーメランだ!このハゲがああああ!!!」と叫んだ。
このときばかりは「馬鹿で助かった…」と思わずにはいられなかった。
…もしもクイックが馬鹿じゃなけりゃそのまま修理…ってこともありえたんだからな…。そう思いながらフラッシュは安堵のため息をついた。
クイックは感情に素直だ。
怒るときは怒り、楽しいときは笑い、嫌なときは「嫌だ」と素直に口にする。
そういう意味ではすごく分かりやすいのだが、愛情表現に関してはすごく苦手のようで、どう接すればいいのか、どうやって言えば相手に伝わるのか、どう受け止めればいいのか、そういうことがうまく表現しきれていないらしい。
その証拠に、フラッシュもクイックからの愛情表現をつかみ切れていなかった。
仲良くなりたいというクイックの気持ちはどうも伝えにくかったらしく、宣戦布告のような意味になってしまった。
だが逆に、愛情表現を受けるとすごく分かりやすい。
言葉はどうしても強がろうとするが、もとが素直なクイックなので表情に出てしまう。
(そういうところもかわいいと思う俺は相当だな…。)
フラッシュは心の中でそう呟いてからクイックに近づいた。
クイックはそれまで怒りを込めたような目でこっちを見ていたが、フラッシュが近づいてきた瞬間ビクッと身をすくませた。
「は…ハゲ!こ…こっちくんな!!!」
クイックは真っ赤を通り越して真っ青な顔でそう言った。
もちろんフラッシュは不満そうな顔だ。
まず一つ目に自分の名前を呼ばないこと。
二つ目に何故か全力で自分を拒否されたこと。
三つ目にクイックが泣きそうな顔になってること。
「…なんで…だよ。」
フラッシュは苦虫を噛み潰したように顔をしかめながらその場で止まった。
クイックはそんなフラッシュを見て「…だって…よ…。」とささやくような小さな声でそう言った。
「今お前が俺のそばに来ると…さ…。俺…自分が意味分かんなくなるんだ…。」
「…そんな…
そんな可愛いこと言うんじゃねぇよこのバカが!!!」
クイックが申し訳なさそうにそう言った途端、フラッシュは逆ギレした。
もちろんクイック的にはすごく理不尽である。
「はぁ!?こっちは真面目に言ってんだよ!お前がいると俺が俺でいられなくなるんだよ!つか男に向かってかわいいとか言ってんじゃねぇ!ハゲ!!!」
「真面目だからなおさらひでぇんだよ!この天然!!可愛いと思うものに可愛いと言って何が悪い!!あとハゲじゃねぇ!!!」
「何がだ!!!!!つかお前が悪いんだぞ!!俺のことす…す…」
そこで二人の口げんかは止まった。
クイックが言い淀むのを見てフラッシュは悪い笑みを浮かべた。
「へぇ…?俺がなんだって?」
「だ…だから。俺のこと…す…」
「す?」
「す…
って言えるか馬鹿ぁぁぁああああ!!!」
そう言ってクイックは床に放置されていた枕をフラッシュに投げた。
フラッシュはその枕を食らってからもニヤニヤを押さえようともせずにクイックにこう言った。
「俺は別に何も言ってないはずだが?」
「いや言った!『俺は…』って!!」
「…ほう、オニーサマにはその続きが分かるのですか?」
「…ッ!!!!!」
フラッシュがそう言った瞬間クイックの顔が真っ赤になった。
たしかに核心的な言葉は言っていない。だがどう考えてもその続きは決まってる。それでもフラッシュがそう言うのはただ単にこうやってうろたえるクイックが見たいのであろう。
「…こんの悪趣味ヤロー…!!」
「なんとでもドーゾ。…で、続きは?オニーサマ?」
フラッシュはクイックの言葉を軽く流し、ニヤリと笑みを浮かべながらクイックに言葉の先を言わせようとする。
クイックは「…くそ…ッ!」と言いながらフラッシュに近づいていき、その顎をつかむとぐいと引きよせ、その頬にチュッとキスをした。
「…こういう…ことだろ…ッ!」
「……くッ
あははははははは!!」
クイックが装甲と同じくらい真っ赤になりながらそう言った後、フラッシュはしばらく沈黙していたが突然笑い出した。
「な、なんだよ!!!!笑うなッ!このハゲ!!!」
「っははははは!!いや、オニーサマがこんな可愛いことしてくれるとはね…くっ…いひひひひひッ…!!」
このまま笑い死ぬんじゃないかと思うくらい笑うフラッシュにクイックは真っ赤になりながら罵声を浴びせるが、フラッシュは全く笑い止む様子がない。
…そのうちクイックは恥ずかしすぎて泣き始めてしまった。
「…だって、お前が…やれ…って…!…だから嫌だったんだ!嫌いだ!フラッシュなんて嫌いだ!俺の部屋から出ていけッ!」
クイックはそう言ってフラッシュの背中を押してフラッシュを出そうとしたが、体重の差がありすぎて動かない。
だが次の瞬間、全力で押していたフラッシュの背中がスッと前に出たためにクイックは前のめりになった。
そして、そのクイックをフラッシュは抱きとめた。
一瞬何が起こったか分かってなかったクイックだったが、目の前にあるフラッシュの顔に驚き、何か言おうと口を開くが声が出ない。
フラッシュはそんなクイックに一瞬微笑みかけると彼の唇を奪った。
クイックはいろんなことに驚きすぎて、それがキスだと分かるまでにしばらくかかった。
触れるだけのキスだったが、クイックにとってはある意味最強のタイムストッパーになった。
フラッシュが離れた後も唖然として立っていたクイックにフラッシュは「お前の行為はまだガキだな。」と言って笑いながらクイックの部屋から出ていった。
あぁ、完全に堕ちた。
クイックがそう感じたのはフラッシュがクイックの部屋の扉を閉めたすぐ後だった。
End
あとがき
うわぁ!!遅くなった!!次の日になっちゃったよ!!
楽しんで書いてたから時間忘れてたぜ…←
あぁ、もう、時間がほしい\(^p^)/
とりあえずこれで完結となりますw
ここまで見てくださってありがとうございました!
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